映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』ネタバレ感想

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子どもがうまれてからすっかり映画に行かなくなった私ですが、やはりこの映画は見ないわけにはいかない!というわけで「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」観てきました。

観に行く動機としては、「やっぱり観てないのに批判はよくないからな!」という超後ろ向きな動機。
というのも、私、息子に「じょう(※漢字は内緒。)と名付ける程度にはジョジョファンなんです。
長男は「じょう」で次男は「はる」
「はる」の由来はもちろん、一番好きな第5部の主人公ジョルノ・ジョバーナの本名「汐華初流乃(しおばな・はるの)」から。(あと2001年宇宙の旅も込めてます。)

アニメ化すらあんまり受け入れていない私ですから、当然ディスる気満々で観に行ったわけですが、これが意外にも「あれ、結構おもしろいじゃん!」となってしまいました。
なんでしょう、この敗北感…。
でもまあ、結構おもしろかったんだからしょうがないわけで、こうやって久しぶりに映画の感想記事を書いてみたいと思います。
(どうでもいい話ですが、映画の感想書くの気づけば一年以上ぶりです!)

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』作品概要

2017年/日本映画 上映時間:118分 G
配給:東宝、ワーナー・ブラザース映画
監督:三池崇史
出演:山崎賢人、神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、新田真剣佑

あらすじ

美しい海辺の町・杜王町(もりおうちょう)に暮らし、見た目こそ不良だが心根は優しい高校生の東方仗助は、「スタンド」と呼ばれる特殊能力の持ち主。仗助のスタンドは、触れるだけで他人のケガや壊れたものを直すことができるというものだった。一見すると平和に見える杜王町では、このところ不審な変死事件が続発しており、一連の事件が自分とは別のスタンドを使う者たちによる犯行だと知った仗助は、町を守るために立ち上がる。

感想

62 100点満点 scored by ultimate-ez『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

“ジョジョの世界観”を上回る”三池監督の世界観”!「ジョジョらしくはない。だが、それが良い」

ジョジョを実写化するにあたって一番やっちゃいけないこと、というか一番サムいのって“ジョジョらしさ”を前面に出しすぎることだと思ってました。
例えば、わかりやすいとこだと“ジョジョ立ち”とかをほんとに実写でやっちゃうとか。
擬音を絵として出しちゃうとか。
正直、それをやられちゃうと、もうパロディとしてしか観れないし、真剣には受け取れないと思うんです。

アニメ版のジョジョは、”ジョジョらしさ”をかなり前面に出していて、あれはあれで原作ファンにも評判良かったとも聞きますが、個人的にはあんまり好きじゃなかったんですよね。
アニメなので実写でやるのに比べればパロディ感もそこまで出てないし、”サブい”とまでは思いませんが、ああいう構成だとどうしても“原作が主役で、アニメは脇役”みたいな印象になっちゃって。
“作品”を作るうえで、それでいいんだっけ?みたいなモヤモヤを感じちゃうわけですよ。

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▲アニメ版ジョジョは、僕の中ではこんな印象。

まあ、ジョジョってファンが多い上にファンが濃い漫画で、第一部のアニメ映画とかゲームのASBとかの炎上を見ると難しいところもあるとは思いますが…。
(スーファミ版のジョジョをやりきった経験を持つ私としてはASBは十分及第点だったと思いますよ!念のため言っておきますが。)

ただ、今回の実写映画はちゃんと、ジョジョを“素材”として使っているのがすごく好印象。
三池監督も賛否が分かれる映画や、”否”一色の映画を作ったりする監督ではありますが、持っている作家性の強さや濃さはジョジョに勝るとも劣らないわけで。
ちゃんとジョジョを素材として乗りこなしているのは流石だし、ジョジョの実写化としては下手に原作に寄せすぎてサブくなるより、自分の色で責めるのはよっぽど正しいアプローチだったと思います。

「ジョジョらしくはない。だが、それが良い」と素直に思えました。

オープニングからの10分間が特にまったくジョジョじゃなくて、それが良い。

特に”ジョジョらしさ”が無いのがオープニングからの10分間。
メインパートの舞台となる”海外の風景に日本語の看板がある違和感がすごい風景”に対し、スタンド発動前のアンジェロを描いたオープニングは暗く、普通に日本の犯罪映画風。
犯行現場でオムライスを食べるシーンなどアンジェロの“サイコパス”っぷりがしっかり描かれているのもたまりません。

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[ via ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 : 作品情報 – 映画.com ]

アンジェロって四部冒頭の噛ませ犬的キャラですが、本来はIQ160の天才だし、スタンドもポテンシャルを考えると鬼のように強い。(ジョジョって強すぎるスタンドがあまり活躍できないイメージですが、ポルポルくんなんかと比べるとアブドゥルとかアンジェロって鬼強いはずですよね。自然系(ロギア)ですからねー。)
そういうアンジェロのヤバさみたいなのが、三池監督的な描写でしっかりと掘られているのがすごくよかったです。

矢に射られてスタンド発動シーンの水がざわざわざわ〜っと動くシーンもすごく好き。
ちょっと古いですが三池監督の『殺し屋1』で、イチの精液の中からタイトルが浮き出てくるあのシーンのヤバさに通じていて。
そこから本作で唯一ポップなオープニングロゴの映像が出て来る、っていうあの展開、あのリズム感はすごく良かったです。

実写のメリットを感じるキャラクターの生々しい実在感もいい!

“ジョジョらしくない。だが、それが良い”で言うと、演者たちの”生きてる感”といいますか、生々しく実在している感じが結構強調されていたのも好印象です。
たとえば、山﨑賢人や神木くんのニキビとか皮脂とか、伊勢谷友介の顔のシワとか。
メイクで消せるし、消した方が漫画の再現度は明らかに上がるけど、あえてそれを見せることで、漫画ではなく実写の生々しさがすごく強調されていました。
スタンドの攻撃やバトルシーンでの”血”も、絵的な派手さではなくリアル路線が徹底されていて。
画面に映える赤というより黒っぽい血が多用されているのも生々しさ、生きてる感のためなんでしょう。

「こういう描写がしたいから、アニメじゃなく実写なんだ」という確かな説得力がありました。

それから、死体がちゃんとグロいのも良かったですね。
ジョジョって「絵がグロい」というイメージを持たれがちですが、実は内蔵とかあんまり描かれなくて。
攻撃によって腹が吹き飛んだり腕が千切れたりするんだけど、傷や切断面は黒く塗りつぶされて空洞っぽい描写が多いので、実は結構絵としてはキレイなんですよ。(5部のメタリカ戦とかグログロですけど。)
それが今回の映画では、死体や傷口がちゃんと汚くてグロい!
現実にスタンドバトルがあれば、こうなるのか…と、納得できるビジュアルだったと思います。
(ただ、その傷を治す時のクレイジーDのぽやーーんと光が射す感じの演出はクソダサかったけど…。アンビリバボーの再現映像みたいですよ、あれじゃあ。まあ奇跡体験ではあるけども。)

さらに、実在感というのとはまたちょっと違うんだけど、虹村父の造形もすごく好みでした。CGじゃなくて着ぐるみなんですかね、あれは。
80年代の映画の『エレファント・マン』とかああいう感じの造形で。
思わず目を背けたくなるような、でも目を背ける自分がなんか悪いことをしていると思わされるような。
よくもまあここまで不快感のあるものをブチ込んできたなといいますか、京兆と億泰の絶望感、虚無感をも納得させてしまうビジュアルでした。
あれは、すごかった。

4部ってジョジョの中でもちょっと明るいイメージがあるし、映画も予告編やパンフレットはそういうノリ。
でも蓋をあけると匂い立つ人間の生々しさと汚ねえ絵が満載
まったくジョジョではないけど、それが素晴らしかった!

とはいえちゃんと”原作リスペクト”の部分もおもしろい。特に承太郎の帽子は素晴らしいぞ!

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[ via ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 : 作品情報 – 映画.com ]

“ジョジョらしくない”部分で個人的いいね!が溜まりまくった本作ですが、当然”ジョジョらしい”部分もあり、そこもなかなか良かったと思います。
台詞まわしは要所要所でちゃんと原作の台詞をそのまま使っているし、ピンクダークの少年の背表紙とかの小物も「お!」と思うポイントでした。

原作読んでないとまったく意味不明なカット(でも原作読んでれば「お!来たね」と思える)などもちょこちょことあり、“らしくなさ”と”らしさ”のバランスはかなり絶妙だったんじゃないでしょうか。
(余談ですが、承太郎登場のとこでの「やかましい!俺は女が騒ぐとムカつくんだ!」の台詞は伊勢谷さんが発言することで原作での承太郎の発言とちょっとニュアンス変わってる感じがして、怖かったっす…。)

リスペクトで言うと、やはり承太郎に対する描画の丁寧さが際立っていて、髪の毛と一体化した謎の帽子が再現されていたのはもちろんですが、帽子の”演出”はかなりこだわりが感じられました。
漫画と同じように帽子のつばをちょっとななめに被っている承太郎ですが、画面の中で承太郎がどっちを向いているかに合わせて帽子の向きが左右入れ替わってるんです。
さらに、帽子についている「JO」のエンブレムの位置もそれに合わせて左右が入れ替わっていて。

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ジョジョのアイコンでもある「空条承太郎」という男を絶対にカッコよく描くというこだわりと言いますか、“静止画”としてちゃんとかっこよくなるように描いてくれたのは素晴らしかったです。

散々褒めといてアレですが…

というわけで散々褒めておきましたが、一つの作品として考えると、話の展開は正直ちょっと微妙です。
つまらないとまでは言いませんが、そんなに面白い話ではないんですよね…。

もちろんストーリー展開を知っているからというのもあるんでしょうが、2時間というまったく普通の尺の作品なのに、やたらと長く感じられる。
まとまってはいるんだけど、なんだか展開がだる〜く感じられるちゃうんです。

おそらく、ジョジョ4部の良さって、あの短編集っぽい感じというか、一話完結(一話ではないけど)の感じなんだと思うんですよ。
一つ話が終わると一旦仕切りなおして次が始まるというのが、気持ちの良いテンポを生んでいたんじゃないかと。

映画はいろいろな制限があるのは仕方ないとは思いますが、続編への伏線を仕込んだり、冒頭から京兆とアンジェロをしっかり絡ませたり、億泰の初登場タイミングに脈絡がなかったりと、話と話を繋ごうとしすぎすぎて、リズムがなくだらっとした印象になっちゃってました。

由花子さんが序盤からいるのは許します。でも…

まあ、でも。エピソード同士を絡ませすぎてリズムが悪いなかでも、由花子さんは許します。
ヤンデレ感すごいけど、可愛い!とにかく可愛い!!

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でも、結局最後まで由花子さんのスタンドが発動しなかった、という点がちょっと気がかり…。嫌な感じしますよね…。

バッドカンパニー戦で康一くんのスタンドが卵→Act1まで成長しちゃったことからもわかるように、続編があるとはいえ映画版は原作のストーリーをかなり圧縮しています。
そうなった時に、由花子さんの役割が実は重ちーなんじゃないか、つまり第2章で吉良に殺されるのは由花子さんなんじゃないかと思えてしまって。(爪をきれいに手入れしちゃったし…。)
で、康一くんがキレて覚醒でAct1⇒Act3に進化。吉良を追い詰めつつも敗北→仗助参戦!みたいな。。。

ていうか、そういう役回りでもないと今のところ由花子さんが登場している理由がないような…(若くて綺麗な女の子がいないとマーケティング的に…みたいな大人の事情要員なのかもしれないけど。。)

死んじゃやだよ、由花子さん!!
というのはさておき、重ちーの代わりが由花子さんになると、若干恋愛要素的なノイズが入ってきそうで…。そういうのジョジョには要らないんすよね…。

最後のアレはほんとに大丈夫なのか?(※めっちゃネタバレ注意!)

なんとなく続編に対する妄想で不安が高まってしまいましたが、続編に関してさらにちょっと不満&不安が。。。

というのも、最後の展開を思いっきりネタバレしますが、映画版では京兆を殺すのがレッド・ホット・チリペッパーじゃなく、唐突に屋敷に入ってきたシアー・ハート・アタックなんですよ。

いや、確かにサプライズとしてはめっちゃびっくりしましたけど、まずあの動き!ラジコンか!
本体の色もなんか塗装感がすごいビビッドな青!ラジコンか!

まあ、ラジコンっぽい動きのダサさは百歩譲りますが、あそこにシアー・ハート・アタックがやってきた理由についてちゃんと納得できるのかがすごく不安。
というのも、ああいう唐突な攻撃ってまったくもって吉良っぽくないんですよ。

吉良は決して快楽殺人者じゃなくて静かに暮らしたい男。
何らかの理由で弓と矢を狙っていたとしても、ああいうバリバリ好戦的なアクションは起こさない性格だと思うんです。
逆に、吉良が理由あってああいう行動を取らざるを得なかったとしたら、静かに暮らしたいアイツは京兆だけじゃなくあの場の全員を殺すはずなんですよ。レーダーにはみんな映っていたわけだし。

そんなわけで、最後の最後に続編に対してめっちゃ不安になってしまって、結果面白かったけど超不安という不思議な感想になってしまいました。
大丈夫なの?ほんとに。。


そんなわけで、最終的な感想の着地点は続編がめっちゃ不安になっちゃいましたが、本作単体としては素直に面白かったと思います。
想像していたよりはずっと良かった。
もちろん、「ジョジョの実写がおもしろいわけがない」というクソ低いハードルしか持ち合わせていなかったというのもあるかもしれませんけども…。

ちなみに、映画を面白く感じた要因の一つとして、僕は本作を台風5号吹き荒れる中観に行ったんです。
横浜なのでそこまでひどくなかったんですが、雨は結構降っていて。
映画館に入って映画が始まると、雨の中アンジェロが覚醒していくじゃないですか。
現実から映画へ雨を通してシームレスにつながったことで、オープニングの一連がよりリアルに感じられて、結果的に映画の満足度も高まったような気もするわけです。

というわけで、本作を観るなら雨の日!これ、おすすめですよ。