映画『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』の感想

「『死ぬまでに観たい映画1001本』を死ぬまでに観てみよう!」と掲げていた目標をだいぶ見送ってしまっていましたが、新しい年も始まったことですので、改めて“死”へ向けて映画を観ていこうと思います。
ちょっと古めの映画で、かつ、名作認定済の映画ばかりなので、感想は軽めに行きます!
他にいくつかサイトを立ち上げたせいで、このブログに対する僕のモチベーションが下がっていたりもしているものの、いつかはこのブログに戻ってくるために細々と更新をつないでおこうという、超個人的な事情がありまして。当面は軽め更新で続けていきたいと思います。読者の皆さまには全然関係ない話ですみませんが。。

『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』の感想

Poster2

『死ぬまでに観たい映画1001本』の中でも珍しいドキュメンタリー映画です。

“夢を諦めきれない男たち”という副題がすべてを表現しているんですが、全く売れずに50代になってもロックにすべてをささげるヘヴィメタルバンド「アンヴィル」を描いた本作。
ボン・ジョヴィ、ホワイトスネイクといった超一流ロックバンドと同じステージに立ち、メタリカのラーズやガンズアンドローゼスのスラッシュといった超一流プレイヤーからも尊敬を受けているにも関わらず、、、売れない。
そんなアンヴィルのメインメンバーの二人、リップス(ボーカル、リードギター)とロブ(ドラム)に肉薄した、泥臭いドキュメンタリーになっています。

誰でもトシを取る。腹が出て顔がたるみ、時間がなくなる。だから今やるしかない。
音楽は永遠に残る。借金も残るかもしれないがな。
—スティーヴ・”リップス”・クドロー

もはや名言なのかもよくわからないリップスの言葉ですが、このダサさ、かっこ悪さこそが、超かっこいい!
自分にはこういう生き方はできないけれど、こういう生き方しかできないからこそ持てる“輝き”を、持ち上げるでも貶すでもなく、極めてフラットに描いている視点が印象的な作品です。

特に、僕が個人的に好きなのが一度ブチ切れてロブに絶縁に近い形でケンカを吹っかけた後、リップスが再びアンヴィルを動かすそうとするシーン。
かっこいい言い回しはできないし、泣きが入ったおっさんは画的には醜いんですが、もう!このリップスがたまらなくかっこいい!
リップスは本当はずっとわかっていたんですよ。自分がロブにとってのヒーローであることに。でも、そのプレッシャーからずっと逃げてたんだと思うんです。
でも、その想いに、ここで初めてちゃんと向き合って、ちゃんと“ヒーロー”であろうと、“スーパースター”であろうと立ち上がるわけです。

このシーンは、僕が大好きな漫画『ピンポン』で、主人公のペコが親友であるスマイルの元に向かうシーンにとてもよく似ています。
ずっと自分が“ヒーロー”であると信じていた友達のため、いつもなら逃げていたはずのタイミングで、腹を括って立ち上がり前へと足を進めるシーンに、心が激しく揺さぶられ、ほとんど“嗚咽”に近い声を出して泣きまくってしまいました。

ただ、、、
全面的にこの作品に肯定的かと言えば、そうとも言えないところもありまして。。。
というのも、この映画のクライマックスで最終的にアンヴィルが立つステージが、本当に彼らにとって望んでいた場所なんだろうか?ってのが気になっちゃうわけです。
それを足掛かりについに世界的に大ヒット、、、という感じじゃないのは、本作公開以降のトップチャートで彼らの名前を見ないことからもわかっていて。

何と言いますか、本来はああいう生き方で大変ながらも幸せに暮らしていたリップスを、無理やり表舞台に引っ張り出して、生活を引っ掻き回して、それを見て感動している自分に、モヤっとしたものを感じてしまうんですよ。
「グラップラー刃牙」という漫画を読んだことがある人ならわかると思いますが、夜叉猿を前に戦うことに疑問符を持ってしまった刃牙の心境に近い感覚。伝わるのか、この例え?
「感動はしたけれど、そっとしておいて上げた方が彼らは幸せだったんじゃ、、、」とも思ってしまうわけです。
もちろん、リップスはあのステージに呼ばれたことを心から喜んでいたみたいだし、それを素直におめでとうと言うべきなのかもしれませんが、、、なんとなくハッピーエンドっぽい終わりながらも心が晴れない後味が残ってしまいました。

最近だとAKBのドキュメンタリー映画なんかもそんな感じですよね。
観てしまうと感動するのは間違いないんですが、どう考えても、視聴者である自分が少女たちを傷つける行為に手を貸し、そこで傷ついた少女を観て感動するという構図に心苦しさを感じちゃう。
すげー泣けるし、感動するし、色々と励まされたりする部分もあったりはするんですが、苦しむ誰かの姿を見て感動するというエンターテイメントの形って、罪深いものだなーなんてことを思い知らされるドキュメンタリー映画なのでした。。

作品概要

2009/アメリカ 上映時間:81分 PG12
原題:Anvil! The Story of Anvil
配給:アップリンク
監督:サーシャ・ガバシ
出演:スティーブ・リップス・クドロー、ロブ・ライナー

<解説>

1973年にカナダで結成され、「メタリカ」「スレイヤー」「アンスラックス」といった多くの人気バンドに絶大な影響を与えながら、自身はブレイクすることなく世間から忘れ去られた不遇のメタルバンド「アンヴィル」。かつて彼らのツアーにローディとして参加した経験を持つ「ターミナル」の脚本家サーシャ・ガバシがメガホンを取り、現在も夢をあきらめずに地元でバンド活動を続ける彼らの姿を追った音楽ドキュメンタリー。
via アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち : 作品情報 – 映画.com

65 100点満点 scored by ultimate-ezアンヴィル! 夢を諦めきれない男たち

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