That’s Marriage! That’s Entertainment!! 映画『ゴーン・ガール』ネタバレ感想

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現役バリバリの映画監督の中で、僕が一番好きな監督であるデビッド・フィンチャー監督の最新作ってことで、早速見てきました『ゴーン・ガール』。
いやー、すごいですね!最高ですね!!
あくまで“現実に遭遇しないとも限らない”というラインを保ったまま、どんなホラーよりもホラーな、どんなスリラーよりもスリラーな。ともすればファンタジーな。
そんな緊張感と恐怖を感じさせる第一級のサスペンス映画でした。
さすがに、傑作ぞろいのデビッド・フィンチャー監督作品の中で「一番好き」「一番面白い」とまでは言えないんですが、いますぐ観て絶対に損しない映画なんじゃないでしょうか。

『ゴーン・ガール』の作品情報

2014/アメリカ 上映時間:148分 R15+
原題:Gone Girl
配給:20世紀フォックス映画
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス

<あらすじ>
幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。
しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。
警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。

感想

78 100点満点 scored by ultimate-ezゴーン・ガール

というわけで、「フィンチャー推し」の僕的には非常に満足できた映画だった本作『ゴーン・ガール』。
ただ、この映画の宣伝、とくにクチコミで観に行った人たちの中には、ちょっと消化不良に終わってしまう人もいるんじゃないかというのが気になってしまいました。

例えば、この映画についてよく言われるのが「ネタバレ厳禁!」というフレーズ。
ミステリー好きにとっては、このフレーズ自体がネタバレみたいなもので、序盤~中盤に描かれている“何か”にトリックが仕掛けられていることを宣言しているようなもの。
このフレーズがあることで過剰に疑惑のてトリックに気がついてしまい、うまく騙されられずにモヤッとしてしまうことにもつながる危険なフレーズの一つです。
(有名なのが『シックスセンス』の冒頭、“この映画の結末を、、、”ですね。)

ただ、『ゴーン・ガール』に関してはネタバレに身構えていると思わぬ肩透かしをくらってしまいます。
というのもこの映画、別に予想もできないような大どんでん返しがあるわけでもないし、思いもよらぬ伏線がバシっとつながるわけでもないし、そういうストーリー上の“仕掛け”で驚かせるような映画ではないんですよ。
確かに映画の中盤でガラっと物語を動かす“真相解明”はあるんですが、最初から「実は主人公が奥さんを殺したのかも?」と視聴者に思わせるように作られていなくて、「世間に『実は犯人かも?』と疑われている主人公が、誰にも信じてもらえずに追い込まれていく」という描写をしているわけで。
「何ぃ〜!そーだったのかーー!!」と派手に驚くような場面は、この映画には存在しません。
そもそも、あれだけのベストセラーが原作という時点で、大まかなストーリーは興味が無い人にもなんとなく伝わっている前提なわけで。そこで“ネタバレ厳禁”な“オチの一発勝負”な展開を仕掛けるはずがないですよ、あのデビッド・フィンチャーが。
唯一の可能性としては、『ミスト』のように原作にない映画版オリジナルのオチを作るというアプローチはあり得たかもしれませんが。
いやー。なぜこの映画にたいして、ことさら「ネタバレ厳禁」を強調する人たちがいるのか不思議でなりません。
「ネタバレ禁止」と宣伝することで、じゃあネタバレを目にする前に観なきゃ!というプロモーション効果があるのは事実かもしれませんが、それだと「大きなオチ」を期待する人たちが集まってしまうので満足度は下がってしまうような気がしちゃうんですが…。

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また、この映画のテーマを「結婚って怖いな」みたいなところに置いているクチコミもよく見かけましたが、これもまたちょっと違う気がします。

ちょっと話がずれますが、僕の中でのトラウマ映画の一つに、まさに「結婚って怖いな」を描いた傑作映画『ブルーバレンタイン』というヤバい映画があります。

『ブルーバレンタイン』は、「成長していく愛」を求める女性と、「変わらない愛」を求める男性とのギャップを軸に、“結婚が終わる日”を描いたとんでもない映画で。奥さんとあの映画を観たことがいろんな意味で結婚生活に変化をもたらした思い出の映画ではあって、素晴らしい映画だし好きな映画なんだけど、二度と見たくない映画なんです。何度も観ると心がもたない映画ですので。。
だから、「『ブルーバレンタイン』みたいな映画」を思わせるようなクチコミに触れてしまうと、ちょっと観ることをためらってしまうといいますか、引いてしまうといいますか。

でも、この映画は大丈夫でした。
『ゴーン・ガール』、これは純粋にめちゃめちゃ楽しい映画です!

もちろん、テーマが結婚生活にあるのは事実だし、奥さんに対して、「ああ、こういうところは直していかなきゃな~」と考えさせられるシーンがたくさんあるのも事実。
(言っときますけど、考えさせられたのは「浮気」のことじゃないよ。僕は浮気はしないですよ!!あ!それはそうと、あの浮気相手の女の子、素晴らしかったですね!いやー、素晴らしかったです!!)
中盤でテレビ越しにエイミーに呼びかけるニックのセリフには心を打たれるし反省させられるものがあり。
物語の終盤でエイミーが声高に告げる「That’s mariage.」というセリフにはガツンと打ちのめされます。

それでも、さすがにエイミーの行動が度を越していて、これを「自分にも起こるかもしれない“結婚”における等身大の問題」とは受け止められません。
それこそ、『ブルーバレンタイン』のあの生々しさで迫ってくるようなことはないわけです。
いやー、一安心です。

そんなわけで、『ゴーン・ガール』は、決してネタバレ禁止の大どんでん返しミステリーでもなければ、「結婚って怖い」を描いた生々しいホラーでもない。
どういう映画かと言われれば、ある策略にはめられ、絡み取られるように追い詰められていく主人公を描いたサスペンススリラーなんです、この映画。
奥さんという身近な存在に徹底的に証拠を固められてはめられてしまうと、まさにジェットコースターのレールの上を想定通りに真っ逆さまに転がり落ちていく。
今の社会におけるある意味での「男の立場の弱さ」も突きつけられながら、一瞬も目を離せない強烈なスリラー映画なのでした。

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そういう意味で、映画を観る前に感じていた不安感(「ネタバレ禁止!っていうのがネタバレになっちゃっるんじゃないか?」「『ブルーバレンタイン』級のダメージをこうむるんじゃないか?」の2点)は払拭されて、純粋に男性目線で楽しめたスリラーだったんですが、じゃあ過去のフィンチャー作品と比べてどうだったかと言えば、、、ちょっと上位には入ってこないかなぁというのが素直なところ。

いつもの、ちょっと銀が残った絵づくりは色っぽくてかっこいいし、映画代金1800円以上の満足度がある映画なのは間違いないんですが、『セブン』『ファイトクラブ』『ソーシャルネットワーク』などの傑作と比べてしまうと、一つランクは下かなぁと。そういう意味でちょっと物足りなさがあったのもまた事実なのでした。

デビッド・フィンチャー監督といえば、本作と同じくベストセラーを原作とした映画『ドラゴンタトゥーの女』も有名ですが、あれも原作の内容が有名すぎるほど有名で、そのうえで“ミステリー”というオチ勝負のジャンルという、明らかに難易度が高い映画でしたが、原作を知っていても驚愕し満足する圧倒的にかっこいいオープニング映像が用意されていたのがかなり印象的。
本作にもひとつそういうポイントがあれば、この物足りなさも消えていたのかなぁと思ってしまうのが少し残念でした。

シナリオに関しても、エイミーが微妙に行き当たりばったりなのがちょっと気になるところ。
最初は死ぬつもりだったという前提があるにしても、ああいう連中に一杯食わされてしまうのはちょっとガッカリ。。
はじめから金持ちの元に転がり込むルートを選ばせていた方が良かったような気がします。
せっかくのエイミーというキャラクターですから、あの展開でちょっとバカに見せてしまうのはもったいない気もしました。

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という感じで、デビッド・フィンチャー監督作品という高いハードルがあるが故の不満点がちらほら気になる作品ではあるんですが、それでもやっぱりメチャメチャ高いレベルで楽しめる作品なのは間違いなく。
派手な映像、派手なシナリオではなく、緻密で丁寧に“面白さ”を作り上げている作品で。それでいて小難しく頭を使わなければいけないものではなく、受け身の姿勢で楽しめる映画なのが素晴らしい。
こういう言い方は誤解を招くかもしれませんが、めちゃくちゃ高いレベルの“おバカ映画”という表現が一番適切な気がするような、楽しい映画なのでした。
いやー、これこそエンターテイメント映画ですよ!

というわけで、なんだか今日の感想は物語の中身にまったく触れていないことに薄々気がつき始めていますが、僕が伝えたいのはただ面白かったよ!ってことだけなので、そんな感じで…こちらかは以上です!

余談ですが

最後にどうしても気になることがあったので、それだけ書き残しておきたいと思います。
あんなに作品全体を通してベン・アフレックのケツアゴをいじり倒すとは!!
アメリカ分化における“ケツアゴ男子”のポジションってどんな感じなんでしょう?かっこいいんでしょうか?ダサイんでしょうか?
そこに謎が残る映画でした。うーん、ミステリー。。。

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