ちょっと前に、iTunesの100円レンタルキャンペーン『今週の映画』に選出されていた時に「100円なら見てみるか。」という軽~い気持ちで観てみた本作。
iTunesで観た予告編から抱いていた印象は、「男たちを手玉に取っているつもりだったが実は逆だった・・・的」コメディーで。
女性が主役のラブコメディーということで割とありがちな映画を想像していたんですが、観終わった印象としては「思うてたんと違う!」という感じ。
描写は思いっきり男性目線。
「うーん、きっと監督がこういう女の子にこういう愛され方をしたいんだろうな。」と思わせる“性癖”がぎっしりと詰まった映画でした。
そりゃあ吉高由里子は超かわいいし、ハマケンさんも最高だったけど、、、この性癖に全くグッと来ないタイプの人間としては、「ふーん、そうですか。」という以上の感想を持つことができないような映画でした。
『婚前特急』の作品概要
2011/日本 上映時間:107分 G
配給:ビターズ・エンド、ショウゲート
監督:前田弘二
出演:吉高由里子、加瀬亮、浜野謙太、杏
<あらすじ>
24歳のOLチエは、時間を有効活用しようと5人の男性に“5マタ”をかけていた。しかし、親友(杏)の結婚に触発され、5人の恋人の査定を開始すると、本当に自分を愛してくれている人が誰なのかわからなくなっていく
感想
というわけで、想像していたのとはずいぶん違うテイストの映画だった本作『婚前特急』。
“予想を裏切られた”という意味では十分楽しめたし、主演の吉高由里子が超ハマり役なのも素晴らしかったし、SAKEROCKやEテレの『ムジカ・ピッコリーノ』のイメージしかなかった浜野謙太(ハマケン)さんの名演っぷりも楽しかったわけで。
そういう意味では、満足度が低い映画というわけでは決してありませんでした。
特に、今回は「iTunes100円レンタル」という格安で見れたこともあり不満なんかあるわけない!
ただ、同じだけ“ちょっと嫌だな”と思う場面もちらほらありまして。
まず、杏演じる友人は基本、常に嫌な感じでした。
結婚初日の夜に友人の生き方を全否定しておいて「結婚っていいもんだよ〜。」と言い切れる神経!アレは引くわ!
横でニコニコしている夫も、何ていうか、、、まったく魅力的には見えなくて。
あの流れで吉高由里子が「よっしゃ、いっちょ結婚意識してみるか!」と考える流れが全く見えてきません。
まあ、それもそのはず。
冒頭にも書いたように、これはけっして吉高由里子を主役においた女性向けムービーではないわけで。
この辺りは予定調和で進んでいくんでしょうけど…ちょっとモヤモヤ感が残ります。
そもそも、この映画が男性向けのフェティシズムの映画なのであれば、物語を大きく動かすハマケンの台詞「え?オレたち付き合ってないじゃん。でも、身体の関係は続けようよ。」という台詞も、ホントに都合の良い台詞といいますか。
監督が、こういう気の強い美人にこういう台詞を言いたいんだろうな〜、という印象にしかならないわけで。
ただ“面白おかしい台詞“というだけで、この言葉によって一人の女性の人生が大きく変わっていく台詞としての現実感はないし、ましてその台詞によって観ている側の人生観に影響を与える言葉にはなりえないな〜と思ってしまいました。
予告編を見る限り、この言葉がもっと大事なものなのかと思っていたんですけどね。。
さらにもう一人、イヤな感じなのは、ハマケンが恋する女性ミカちゃん。
吉高由里子の対抗馬というポジションで登場する女性なんですが、この人のキャラクターが全く実在感が無いといいますか、“吉高由里子の対抗馬”という役割を全うするためだけに存在する「村人A」といった印象。
なんであんなにいい子なのか。
なんでハマケンを好きになったのか。
そのあたりが全く、一つも描かれていません。
その後、ハマケンが「やっぱり吉高由里子がいい!」となる展開においてすら、ミカちゃんには何のキャラクター性もなく、ただ物語から外される感じ。
せめて、「ずっと憧れてた人といざ付き合ってみるとなんか違った」とか「憧れを上回るものが吉高由里子と築いていた生々しい関係の中に見つかった」とか、そういうものがアレばよかったんですが、それも全く無く。
ただただ、ハマケンと吉高由里子を盛り上げるためだけに人格すら与えられずにつくられたキャラクターといった感じです。
そういう意味では、むしろ、こちらのキャラクターの描かれ方は嫌という感情すらも湧いてこず。
杏のキャラクターに感じたほどの腹立たしさすらない、といったところでしょうか。
というわけで、いつもの長ったらしい感想に比べるとあっさりな感じですが、本作への感想はこんな感じ。
勝手な想像ですが、「監督の私的な妄想」を映像化した作品なんじゃないかと思わせる作品で、ハマケン演じる「田無」という男にただただ優しいだけの映画でした。
いや、もちろん僕も男なんで、こういう吉高由里子みたいな美人とセフレ関係を続けながら、自分は純愛を追いかけてロマンチックな感情に胸を焦がしつつ、なんやかんやで吉高由里子とゴールイン!みたいな妄想に身を委ねる気持ち良さはわからないことはないですよ。
このキャラクターが吉高由里子にバッチリハマっているので、確かに「最高だ!」と思わなくもないですよ。
でも、残念ながら、こと作品としてグッと来るかと言えば、それは無い!
だって、田無という男、こいつ全然愛せないですもん!
そう考えると、この田無という男も実は実在感が全然無く、結局は「吉高由里子」演じる理想像を引き立てるだけの脇役!
監督が理想とする「吉高由里子」像を魅力的に見せるための舞台装置にすぎないのかも。
この構図、何かに似てるな〜と考えていたんですが、あれですね、田無はAVにおけるAV男優。
いや、もっと「妄想」を描いているという意味で、エロ漫画に登場する男っぽい!
(女性の方は知らないかもしれませんが、エロ漫画の男は顔が影で見えなかったり、女性の身体が見えやすいように身体が透明になったりするものです。)
もちろん、この“性癖”にがっちりはまる人であれば当然最高の映画になるんだろうし、女性目線で見るとまた印象が違うのかもしれません。
でも、僕にとってはやっぱり「エロ漫画みたいな映画だった」というのが正直な感想なのでした。
いや、まあ、吉高由里子が超かわいかったから、それはそれでいいんだけどね。
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