“Why So Serious? I’m an agent of chaos” 映画『ダークナイト』ネタバレ感想

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久々に『死ぬまでに観たい映画1001本』より、『ダークナイト』を観ました。(参照:『死ぬまでに観たい映画1001本』を全部見る。の軌跡

今さら感想記事をアップするのがはばかられるような“名作認定済”な作品である本作、『ダークナイト』。
僕にとっても、アメコミ映画史上で一番好きな映画だし、「IMAXで映画をみること」の価値を教えてくれた映画で。
超思い入れのある作品です。
クリストファー・ノーランは決して好きな監督ではないし、ダークナイトシリーズも本作を除く2作(『バットマン・ビギンズ』『ダークナイト・ライジング』)は正直モヤモヤしてしまってあんまり好きではないんですが、その2作のマイナスを相殺して「ノーラン版バットマンシリーズが大好き!」と言えるくらいには『ダークナイト』は好きで。
それはやっぱり、なんといってもジョーカーのカッコよさにつきるわけですよ!
いやー、何回観ても痺れますね、ジョーカー。

作品概要

2008/アメリカ 上映時間:152分
原題:The Dark Knight
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート

<あらすじ>
ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマン=ブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらと共にジョーカーに立ち向かうが……。

感想

97 100点満点 scored by ultimate-ezダークナイト

というわけで、“バットマンシリーズ”でありながら、僕にとっては(というよりは多くの人にとってなんでしょうけど)ジョーカーの映画である本作『ダークナイト』。
この映画におけるジョーカーの存在は本当に“強烈”です。
ちなみに公開当時「ダークナイト」という呼称はジョーカーのことを指していると思っていたのはナイショの話です。

そもそも、僕は本作を観るまでバットマンのことはほとんど知らなくて。
過去のTVシリーズも観ていなければ、ティム・バートン版の映画も観たことがなく。
それどころか、『ダークナイト』の前作にあたる『バットマン・ビギンズ』すら観ていなかったんです。

そんな僕がなぜこの映画を観たかと言えば、“劇映画として初めてIMAXカメラで撮影された作品”がどんな映像なのかを観てみたかった、というのが一つの大きな理由でした。
これはもちろんものすごい体験で、本作の翌年に公開されたアバターでの「IMAX3D」体験と相まって、今なお「IMAX推し」を続けている大きな要因になっています。
(『ダークナイト』はブルーレイも購入していて、今回ブルーレイ版で再視聴したわけですが、黒い背景の中を黒いキャラクターが動く本作はブルーレイでさえ非常に観にくい映画で。やっぱりIMAXカメラ+IMAXシアターの「黒」の表現力があってこそ素晴らしい映画なんだってことを再確認しました。)

ただ、当時それ以上にこの映画を観たかった理由はやっぱり「ジョーカー」の存在なんですよ。

実は私、この映画を観るちょっと前に、ヴィレッジヴァンガードで見つけた2冊のアメコミの影響で、ジョーカーに超ハマっていたんです。
その2冊っていうのが、『バットマン:ラバーズ&マッドメン』と『バットマン:キリングジョーク』。
それぞれ異なる作家が描くジョーカーの誕生譚なんですが、これがどっちも超カッコいいんですよ。

バットマン:ラバーズ&マッドメン
バットマン:キリングジョーク

『ラバーズ&マッドメン』は、内容もさることながら帯に書かれたキャッチコピーが最高!
作中でのジョーカーの台詞の抜粋なんですが、

「あんたがコウモリごっこを始めるまで、俺は自分が何をしたいのか分からなかった」

この言葉、こ・れ・は・かっこいい!!

アメコミは表紙がカッコいい作品が多く「ジャケ買い」してしまうことは多いんですが、これは「帯買い」をしてしまった唯一の作品です。
ここ数年、お仕事で“コピー”を考えることがあるんですが、こういうコピーを考え付きたい!と常に頭の片隅に置いている言葉でもあります。

バットマンという存在が、実はジョーカーという存在を生み出していたという残酷さと、それを皮肉たっぷりに伝えるジョーカーのタチの悪さをギュッと凝縮した、本当に秀逸なこの言葉。
映画『ダークナイト』においても、バットマンがあそこまでして街を守りたい理由にイマイチ共感できないのと同じように、ジョーカーがあそこまでして街を混乱させたい理由にも共感できないつくりになっていて。
そういう意味では、どの作品においてもバットマンとジョーカーって表裏一体の存在なのかもしれないと思うわけで。
その設定とジョーカーのキャラクター性をわずか1センテンスで表現しているこの言葉。ホントに痺れます!

もう一冊の『キリングジョーク』の方は、『ウォッチメン』の原作としても知られるアラン・ムーアの作品。
80年代に発表された作品なので、絵柄はちょっと古めかしいところがありますが、カット割りから配色から言葉の選び方まで、とことん“センス”を感じる作品で。
どのページ、どのコマを観てもかっこよくて、とにかく魅力的なんですよ。
事実、アメコミの最高傑作と賞賛する人も多いようです。

この2つのアメコミ作品で「ジョーカー」というキャラクターに圧倒的な魅力を感じてしまった僕は、「バットマン映画」の知識はゼロのまま、本作『ダークナイト』を観ることになったわけですが、、、
そこで描かれていたのは、予想や期待を上回る、さらに超魅力的なジョーカーだった、というね。。

いやー、ほんとに魅力の底が見えませんよ、ジョーカー!!

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ただ、本作におけるジョーカーって、「ちょっとズルいな〜」と思うところもありまして。

というのも、ノーラン版バットマンシリーズって、“「バットマン」をリアルに、シリアスに描く”というコンセプトを掲げているシリーズなわけですよ。
ハッキリ言って、ノーラン版バットマンの“特徴”ってそれしか無いんです。
そのリアルな世界観において、果たして「ジョーカー」がリアルな存在かと言えば、これは全然リアルな存在じゃないと思うんです!
じゃあどんな存在なのかと言えば、西洋文化においては“悪魔”ってことになるんでしょう。
日本人である僕にも理解できる言葉を使えば、作中でジョーカー自称するように「混乱の使者(agent of chaos)」というところでしょうか。
少なくとも、“実在感のある悪党”という風には、絶対に見えないわけで。
だからこそ、リアルでシリアスなゴッサムシティという街を、根底か破壊することができる存在たりえたということなんでしょう。

“リアルに描きました”という世界観に“悪魔”を放って、世界をひっちゃかめっちゃかにかき回すって、、「それはアリなのか?」と思う気持ちも少なからず持ってしまいます。

ただ、続編にあたる『ダークナイト・ライジング』での、“リアル”な存在感のあるヴェインという敵キャラを出して「ボコられたけど結局筋トレして強くなって勝ちました!」という展開が超つまんなかった僕としましては、なんだかんだずるいけど、やっぱりジョーカーは最高だ!!と思わずにはいられないのでした。

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また、ノーラン映画らしく、作品内に突っ込みどころはたくさんあります。
ゴッサムシティがそれほど腐敗しているようには見えず、街並みもキレイだし警察もちゃんと機能していて、「バットマンが必要な街」に見えないところなんて、作品の根底としてもうちょっとなんとかしてほしいし。
「ヒロイン、もっと美人にしてよ。。。」と何度も思ったしね。。

それでも、本作はジョーカーというキャラクターの存在感が、それらのツッコミ所を帳消しにするほどに強烈。
一挙手一投足すべてが残酷な行為を選んでいるくせに、なぜかそこに“コミカルさ”を内包していて。
まさに、「具現化した狂気」「混乱の使者」

さらに、(こんなこと言うと非常に不謹慎ですが、、、)ジョーカーを演じたヒース・レジャーが、ジョーカーという役に飲み込まれたままの状態で急逝してしまったこともあり、「伝説の悪役」と言わざるをえないわけで。
古い映画の中にいる「伝説のヒーロー」や「伝説の悪魔」と肩を並べる「伝説」をリアルタイムで目撃してしまった、という意味でも、非常に思い入れのある映画になってしまった感もあります。

そして、それほどまでに強烈な“悪”を描けたからこそ、最後の最後、どれだけ殴っても絶対に勝てない“悪魔”に対し、”悪魔”の領域ではただの無力な人間にすぎないバットマンが、文字通り”全てを投げ打つ”ことでようやく手にする「勝利」の崇高さが非常に胸を打つわけで。
さらに言えば、すでに『ダークナイト・ライジング』を観てしまった今、彼の最後のあの決断が、数年間の短い間とはいえ確かにゴッサムシティーに平和な時間をもたらした=ジョーカーに完全勝利したことを知っているので、その感慨はなおさらなのでした。

いやー、良い映画だ。
やっぱり、良い映画だ。

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さて、『死ぬまでに観たい映画1001本』を全部観るという自分で打ち立てた企画のせいで、2014年現在に『ダークナイト』の感想を書くことになったわけですが、、、
なんでしょう、最新作の感想を書くのは全然気にならないし、もっと古い映画の感想を書くのも全然平気なんですが、5,6年前の映画(しかも大ヒット)の感想を書くのって、なんだかすごく恥ずかしい!
こうやって感想を綴りながら、「それ、今言う〜?」と自分に何度もツッコミを入れる事態になってしまいました。。。
これからしばらくは、こんな感じで「少し前の大ヒット映画」の感想を書いていくことになると思うと、ちょっと気が乗らないところもありますが、、、いつか“映画通”と呼ばれる日に向けて、こっそりと進んでいこうと思います。。。

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