その列車、何両編成やね〜〜ん!!! 映画『グランド・マスター』ネタバレ感想

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『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』と、近年イップ・マンを描いた映画が作られていて、それが結構おもしろかったもんで、同じようにイップ・マンを描いたうえ、さらに3人のグランドマスターたちまで登場するってことでおもいっきり期待値を上げてしまった本作『グランド・マスター』。
感想を一言で言えば、思うてたんと違う!

まあ、映画の感想で「思うてたんと違う!」って言うのは鑑賞する側の勝手すぎる意見で、「いやいや、そもそもお前の設定してた“想像”がズレてるのよ」って話ではあるんですが、、、
うーん、それはわかってるんだけど、思うてたんと違うんだよなぁ。。。

『グランド・マスター』の作品概要

2012/中国 上映時間:123分 PG12
原題:The Grandmasters 一代宗師
監督:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン

<あらすじ>
1930年代の中国。引退を決意した北の八卦掌の宗師(グランドマスター)・宮宝森(ゴン・バオセン)は、一番弟子の馬三(マーサン)と、南の詠春拳の宗師・葉門(イップ・マン)を後継者の候補と考えていたが、バオセンの奥義を受け継ぐ娘の宮若梅(ゴン・ルオメイ)も自ら名乗りを上げる。しかし、野望に目のくらんだマーサンがバオセンを殺害。ライバルでもあるイップ・マンに惹かれていたルオメイは、その思いを封印して父の復讐を誓い、後継者争いと復讐劇は複雑に絡みあっていく。

感想

31 100点満点 scored by ultimate-ezグランド・マスター

というわけで、本作『グランド・マスター』は、ハッキリ言ってしまえば“ちょっと期待外れ”な映画でした。

なんなんでしょう、この映画で主人公と呼べるのはイップ・マンだけではなく、女性ながら八卦掌をほぼ受け継いでいるルオメイという女性もほぼ主人公。
この二人の複雑に絡み合う運命を描いている作品で……あれば全然許容範囲なんですが、、、
なぜかところどころで「カミソリ」と呼ばれる八極拳つかいのエピソードがはさまれていて。
このカミソリという男が、ルオメイと絡みかけるんですが、、、結局深くは関わらない。。
そのままイップ・マンとの絡みもなく、まったくの「独立したエピソード」のままエンディングを迎えてしまいます。

これ、この映画を観た人全員が思ったと思うんですが、「カミソリ」のエピソード一つも要らなくないっすか?
現在のカンフーの礎を築いたグランドマスターたちの群像劇、という映画にしたかったのかもしれませんが、“群像劇にしたいだけ”でおなじみの伊坂幸太郎原作映画でも、もう少し個々エピソードは絡むぞ!と。
そう、思わずにはいられませんでした。
どさくさ紛れに伊坂幸太郎原作映画をディスってる感じになっちゃってすいません。。。

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さらに、「カミソリ」のことは完全に無かったものとして、本作を「イップ・マンとルオメイの映画」として観たとしても、それはそれでモヤモヤが残ってしまうのがこの映画。

「カンフーは横か、縦か」負けて地面に倒されるか、立ったまま勝利を手にするか。要するに、カンフーは流派がどうのこうのではなく、「勝つ」か「負けるか」の世界なんだ、という話
イップ・マンが語るカンフー哲学のかっこいい独白から始まる映画のわりに、今一つイップ・マンが戦う理由が描かれていなくて。
実際、イップ・マンは自分の力を使う場面において、全然「横か、縦か」のカンフーをやらないんですよ。
相手を叩きのめして勝利するのって、それこそオープニングのあまり意味のない殺陣のところくらいで、あとは北のグランドマスターと理を交わしたり、自身の道場を開くために実力を披露したりするくらい。
オープニングでもエンディングでも「哲学」を語っているわりに、結局イップ・マンが本気で“勝つか負けるかのカンフー”(縦か横かのカンフー)をしている場面は描かれていないに等しいわけで。

うーん。
なんなんでしょう、このバランス。。。

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その分、本作でしっかりカンフーしているのはもう一人の主人公ルオメイ。
彼女のカンフーシーンは確かに凄いですよ。

ただ、イップ・マンとの恋愛要素みたいなのは描きたいのか描きたくないのか、なんともモヤーっとしたエピソードがだらだらと展開してしまって。。
まあ、そういうものを描きたかったんだとしても、その恋愛要素が映画の中で何の意味を持っているのかも全然ピンときません。

例えば、八卦掌はルオメイの代で絶えてしまうことになるんだけど、このイップ・マンとの微妙な恋愛関係があることでイップ・マンが自身の流派の中に八卦掌のエッセンスを取り込み、詠春拳の完成に至った、という展開であれば、あの恋愛っぽいニュアンスに意味があると思うんですよ。
でも、本作でのイップ・マンは、「なんかいろいろあって、奥さんの元にも結局帰れなくて辛かったけど、ブルー・スリー君という後継者に恵まれて。落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」みたいなスタンスで。
その横で急に、「突然ですが、カミソリです。映画では描かれていませんがいろいろありましたが、私は元気です。元気な床屋です!」と言い出しちゃうもんだから、もはや基本的に何を言いたい映画なのかがよくわからなくなっちゃいますしね。

ルオメイだけが、「私の人生なんだったのかしら。。。」と“演歌”な感じの世界観に浸っている感じ。
そして、そこで唐突にブルース・リーの言葉をバックに映画はエンドロールに入ってしまうので、最初から最後までただただ独立したエピソードがバランス無視で描かれているようにしか思えなくて。
最終的な印象は、やっぱりモヤモヤーっとしたままなのでした。

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そんなわけで、終始「思うてたんと違う!」とつぶやきながらモヤモヤーっと過ぎていく感じの映画だった本作。
そんだけ「思うてたんと違う!」を連呼するなら、一体どんなのを思ったんだ?と聞かれれば、それはもうバキにおける「大擂台賽(だいらいたいさい)」です。
中国のいろんな流派の憲法家が集い、中国武術の最高峰「海皇(≒グランド・マスター)」を決める一大トーナメント大会「大擂台賽」を描いた映画、『中国大擂台賽 THE MOVIE』だと思ってたんですよ!

そういう意味で、物語よりもむしろカンフーバトルこそが見たかった映画で、カンフーシーンの監修はユエン・ウーピンがやってるってことで、これまた期待値があがるんですが、、、この映画はカンフーシーンさえも微妙でした。。

カミソリが唯一輝く殺陣シーンはかっこいいし、オープニングのイップ・マンの無双っぷりもかっこいいし、ルオメイの復讐バトルも超かっこいいし超美しいことは否定しないんですが、、、どのシーンもすげー似てるんですよね。

戦いはいつも夜。
演出は、スローモーションを使って緩急をつけた、よくある迫力演出。
破壊されたものの破片や、水滴などが飛び散る様子を接写して見せるカットも、この映画だけでも見飽きるほど使われているうえに、最近のアクション映画では非常によく使われる演出で、新鮮さは全然感じられません。

正直、本作のアクションシーンで一番インパクトがあるのは、ルオメイvsマーサンのバトル中に後ろを通過する電車の“長さ”なんじゃないかと思います。
あれ、何両編成やねん!

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そんなわけで、我ながら超“雑”な感じになってしまった今日の感想文ですが、これが本作に対する僕の素直な感想。
この「モヤモヤ」を晴らすため、誰か本気の『中国大擂台賽 THE MOVIE』、作ってくれないかなぁ。。。

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