少しも寒くないわ、少しも。 映画『アナと雪の女王』ネタバレ感想

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2014年は映画は育休!なんてことを言ってた私ですが、奥さんから「アナタがディズニー映画を見ないのはむしろ違和感あるから行っておいで。」的な言葉をいただきまして。
ようやく2014年初の映画館に行ってきました。

結論から言えば、「いやぁ、映画って本っ当にいいもんですね〜」と心から思える映画でした。

ストーリーの出来はお世辞にも“良い“とは言えないし、雪だるまは“ジャー・ジャー・ビンクス(スターウォーズEP1に出てきたアレ。海外では「映画史上最も不快なキャラクター」の1位を獲得し、EP2からはほぼ登場しないという。)”っぽくてちょっとうざかったし。
売りの一つである映像美も「ジョン・ラセターが製作総指揮になって以降のディズニー映画のクオリティを考えれば、まあこのくらいのものは作ってくるでしょうね。」というレベル。
(まあ、それが世界最高峰っていう話なんですが、もはや「驚き」は感じないといいますか。)

やっぱり、良くも悪くも主題歌『Let It Go』の映画といった印象の映画です。

ただ、この『Let It Go』が本当に凄くて、私事としてガツンと魂に響いてしまいまして。
まだ「泣けた」とも「感動した」とも言えないくらい整理がつかない感情が胸を締め付けているような段階で、良い映画なのか悪い映画なのかも判断がついてない状況ではあるんですが、、、

とにかく、すごい映画でした。

『アナと雪の女王』の作品概要

https://www.youtube.com/watch?v=fO2IfRohYaw
2014/アメリカ 上映時間:102分 G
原題:Frozen
配給:ディズニー
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー

<あらすじ>
触れたものを凍らせる秘密の力を持ったエルサは、その力を制御しきれず、真夏の王国を冬の世界に変えてしまう。エルサの妹アナは、逃亡した姉と王国を救うため、山男のクリストフとその相棒のトナカイのスヴェン、夏にあこがれる雪だるまのオラフとともに、雪山の奥へと旅に出る。

感想

95 100点満点 scored by ultimate-ezアナと雪の女王

さて、そんなわけで、個人的には僕の人生における重要な映画になった本作ですが、冒頭でも書いたように『Let It Go』以外の部分については割と不満だらけ。

今までの「ディズニー映画的ミュージカル」ではなく「ブロードウェイ的ミュージカル」に挑戦しているのはわかりますが、オープニングの氷を切り出すシーンでの曲『氷の心』が、もろに『レ・ミゼラブル』のオープニング『LOOK DOWN』すぎて。
いきなりちょっと萎えてしまいました。

また、終盤にほとんど音楽がないのももったいないところ。
「凍りついた世界には歌もない」という表現を狙ってのことかもしれませんが、クリストフとアナのデュエットソングなり、アナとエルサのデュエットソングなり、クライマックスを演出する目玉になる曲があと一曲必要だったんじゃないかと思います。
アンとエルサのデュエットソング『生まれてはじめて』は、ずっとポリフォニーな感じだったので、最後はがっつりとハーモニーを聞きたかったな、と。

そして何より一番気になったのはハンス王子のキャラクターの一貫性の無さ。
塔の上のラプンツェル』でも、無理やり悪役を作り出した感はありましたが、今回はさらにヒドい。
「エルサを探しに行こう!」「あなたは残って!」のくだりで、アンが「じゃあ一緒に行きますか。」って言い出したらどうする気だったんだよ。。

最後の展開については、、、まあなんていうか、特に不満もないんですが、そもそも印象が無いという感じ。

あとは、、、アニメ版の聖闘士星矢を見ていた世代なら、「あれ〜、どっかで見たことある話だな〜」という感覚が、最初から最後まで拭いきれませんしね。

というわけで、「物語」としてはパッとしない凡作というのが正直な感想。
でもいいんです、なぜならこの映画は『Let It Go』の映画なのだから!

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と言いつつ、公開前から絶賛の嵐だったこの曲についても、実際に映画館で観るまではちょっと懐疑的な気持ちを持っていました。
そもそも僕が圧倒的アラン・メンケン信者で、ディズニー映画に対しても「アラン・メンケン作品」とそれ以外を区別しているところがありまして。
言うても、アラン・メンケン作品ではない『Let It Go』はそんな大したことないだろう。と思っていたわけです。

さらに、これまた世界中で絶賛されていた日本語吹き替え版の『Let It Go〜ありのままで』についても、「そんなに良いかな〜?」と思っていました。
というのも、僕はこの曲は映画のクライマックスに流れる曲だと思っていて。
それまでの抑圧を乗り越えたエルサが自由を謳歌する曲で、ハッピーな気持ちで伸びやかに歌い上げるシーンなんだと思っていたんです。
だから、松たか子の歌声に含まれる「乱暴」なニュアンス、もっと言えば「雑」なニュアンスを含むような張り上げる声に違和感を感じていました。

でも、そうじゃなかった。
『Let It Go』って全然そういう曲じゃなかった。

この曲が流れるのは物語の割と序盤。
ずっとひた隠しにしていた魔法の力が周りにバレてしまい、国を逃げ出したエルサが、コンプレックスを捨て素の自分に戻るシーンで。
それはすべてを捨てて自分だけの強固な“殻”に閉じこもることでもあり、本作の原案でもあるアンデルセン版の『雪の女王』における“ヴィラン(悪役)”が誕生するシーンなんですよ。

「少しも寒くないわ」と扉を閉める彼女の表情は、まさに、「全て」と決別するという強い意志を主張しているわけです。
(さらに、オリジナル版の歌詞では「The cold never bothered me anyway」で、「とにかくもう、寒さ<自分の魔法の力>は私を悩ませることはないわ」と、悪役感がより出ているように感じます。)

これをわかったうえで聞く『Let It Go』は、予告で聞いていた時とはまったく別物
松たか子の歌い方は完璧だし、本当に心に響く曲になってしまいました。

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と、ここからは映画とは関係ない僕の話になります。
しかも僕にとって「黒歴史」的な恥ずかしい過去の話で、リアルで僕を知っている人には「そっ閉じ」をお願いしたい感じです。よろしくお願いします。

僕は、高校卒業頃に「家出」的なことをしたことがあります。
“的“とつけたのはわずか数時間の出来事だったからで、夜中に突発的に家を飛び出して、朝型には親に見つかって迎えに来てもらうというなんとも恥ずかしいもので。
携帯を置かずに出てきたところからも、ただの「かまってちゃん」だったとしか言いようのないイタい出来事でした。

原因もコレという決定的なことはなく、「親の期待に応えられない自分」とか「学校でうまくやれない自分」とか、そういうもろもろに押しつぶされそうになっていたから。
『桐島、部活やめるってよ』の感想にも書いたんですが、あの頃の悩みなんて今となっては全然大したことがない悩みで。
それでも、あの頃はそれが“全て”だと思い込んでいて。
そこからただ逃げ出したくて、本当に逃げ出してしまったという…ね。。。

なんで唐突にこんな話をしているかと言うと、『Let It Go』のシーンで、その日見た風景を思い出してしまったから。

『Let It Go』のあの一連のシーケンスって、確かに美しくって、確かに自由で。
でも、全然「幸せ」ではなくって。

その日、僕が見た風景も、まさにそんな感じだったんですよ。
夜中に家を出て、僕の実家はとんでもないド田舎なんで、家を出たところで周りには何もなくて。
公園で缶コーヒーを飲みながら朝を迎えたんです。
その朝日はすげー綺麗だったし、確かに自由を感じる風景で、でも全然幸せじゃなくって。
僕は多分その日の朝の風景を一生忘れることはないんだろうけど、自分でも「イタいエピソード」だって自覚があるからなるべく思い出さないようにはしていて。
でも、『Let It Go』って曲は、あの日の景色を想起させてしまう曲だったんです。

その先に「楽しいこと」や「良いこと」が待っていないことは完全に理解していて。
それでもそっちに進む以外に道がわからなくて。
そっちに進むべきじゃないって知ってるから、足が止まりそうになって。
引き返しそうになって。
そんな自分に「自由だ!これで俺は自由なんだ」って叩きこむように言い聞かせて。
「これでいいの」「これでいいの」と何度も自分に言い聞かせて。
そうやって進めたあの日の一歩一歩のことを思い出さずにはいられなかったんですよ。

「少しも寒くないわ」って何度も繰り返すのは、ホントは心が凍りそうだからなわけで。
あの日の僕は結局その寒さに耐えられずに、親が探してくれるのを待っていたんです。
そりゃあもう、根性なしのヘタレで、単に癇癪起こしただけなんだけど、それでもその数時間で気づけたことはたくさんあったような気がするんです。

自由を阻害する“しがらみ“っていうのは、言葉を変えれば自分と自分以外とを結ぶ“つながり”で。
今風に言えばそれこそが“絆”なわけで。

「自由になった喜び」を歌う『Let It Go』という曲は、まさに全ての“絆“との決別を歌った歌。
だから、それこそ『塔の上のラプンツェル』における『自由への扉』などとは決定的に違う、辛くて切なくて、それでも美しく、力強い歌になっていて。

ここまでの「重さ」や「深さ」を持った曲。
確かにいままでのディズニーの音楽にはこれほどのものは無かったかも。

そういう意味でもディズニーの歴史に残る一曲なんじゃないかと思います。

純粋に歌の魅力という意味では神田沙也加が超すばらしかったです。いや、ほんとに。SAYAKAでデビューした時のあの頃とは決定的に違ってたんですね。

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さて、ずいぶん長くわけのわからない自分語り的な言を書いてしまいましたが、まあ、そういうわけで、どんなにプロットに不満があろうとも、本作『アナと雪の女王』は僕にとっての“魂の映画”の一本になってしまいました。

映画っていうのは、もちろん「話が超おもしろい」とか「映像が超スゴい」とか、いろんな魅力がありますが、極稀に「この映画は俺のために作られたんじゃないか?」と錯覚してしまうほどガツンと響いてしまうことがあります。
本作はまさにそういう映画。
そういう映画って、それこそ何十本、何百本と映画を観る中でようやく出会えるくらいの頻度でしか出会えないと思うんですが、映画育休中にたった一本見た映画にそれを感じてしまうとは、“運命”的なものを感じずにはいられません。

子どもとの時間優先で映画を育休していたわけですが、この“運命“に導かれてみよう!ということで、やっぱりたまには映画館に足を運ぶことにしようと思うのでした。
それでいいの!

というわけで、なんだか随分と恥ずかしい話を書き綴ってしまったような気がするけど、、、まあそんな恥ずかしい過去も掘り返してしまうスゴい映画だったということなんでしょうね。

余談ですが、、、

最近のディズニー映画で毎度悩むのは「字幕版」「吹き替え版」のどちらで観るかに加えて、「3D」「2D」どちらで観るか問題。
「字幕/吹替」は「魂に触れる音楽『Let It Go』」をよりソウルフルに感じるためには、ソウルを感じる言語(つまりは母国語への吹替版)を選ぶ方がいいんじゃないかと思います。
「3D/2D」に関しては、本編こそ強い思い入れはないものの、同時上映の短編アニメーション『ミッキーのミニー救出大作戦』のためだけに、3Dでの鑑賞を推したい。
アレはほんとに素晴らしい。
ていうか、欲を言えば、東京ディズニーランドの『フィルハーマジック』シアターの仕組みでアレを観たい!
いやー、なんとか『フィルハーマジック』対応してくれないかな〜。

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