『死ぬまでに観たい映画1001本』より。
本作の鑑賞は、僕にとってこれで2度目。
一度目の鑑賞の時も「超いい映画だった」と思った作品で、間違いなく大好きな一本なんですが、描写が結構エグくて、再鑑賞することにちょっと抵抗があった(ママンの組織の“あの行為”もきついけど、それよりも、序盤でのウ○コのシーンがね。。。)んですが、見返し見ると確かにやっぱり超おもしろい!!
ダニーボイル監督と言えば、“オシャレ映画”としてはぜったい外せない映画『トレインスポッティング』の監督だし、ロンドン五輪のオープニング映像も超かっこよかったし、『127時間
』での“痛み”の映像化も凄かったし、“センス”がすごい監督なのは誰しもが認めることだとは思いますが、本作もやっぱり超オシャレ!
はっきり言って、「この映画の内容に対して、さすがに映像がおしゃれすぎる」というくらいしか文句のつけようがない映画でした。
まあ、ウ○コはやっぱりエグかったけどもさ。。
『スラムドッグ$ミリオネア』の作品概要
2008/イギリス 上映時間:120分
原題:Slumdog Millionaire
監督:ダニー・ボイル
出演:デブ・パテル、フリーダ・ピント、マドゥル・ミッタル
<あらすじ>
インド・ムンバイのスラム街出身で無学の青年ジャマールは、TV番組「クイズ$ミリオネア」で最終問題までたどり着き、一夜にして億万長者となるチャンスをつかむが、不正を疑われてしまう……。
感想
2008年のアカデミー賞では、作品賞をはじめ8部門を受賞した本作『スラムドッグ$ミリオネア』。
さすがに、“よくできている”映画で、文句なしに面白い作品でした!
「タイトルにもなっている「スラムドッグ$ミリオネア」とういクイズ番組の収録風景」。
「その番組での不正を疑われた故に行われた警察による取り調べの様子」。
「そして、そこで語られる主人公ジャマールの凄惨なこれまでの人生」。
3つの時間軸が変則的に入り乱れる複雑な構造のお話ではあるんですが、初見からほぼ混乱することなく全体像を把握できるくらいに“シンプル”にきちんと整理されています。
オープニングから、ダニーボイル監督の作品らしくスタイリッシュすぎるシーンの切り替わりがあったりもするんですがビンタされたら過去から現在に戻るところとかね。、そういう表現を使ってもなお、観ている人を混乱させない絶妙なバランスになっているのがとにかく素晴らしい!
国内外問わず「とにかくただかっこいい画づくり」をしちゃう監督もいますが、やはりダニーボイルの”センス”はそういう人とたちとは一線を画した“ホンモノ”だな!と思わずにはいられない、圧倒的な才能を見せつけてきます。
ゴミ山や川岸での洗濯の情景など、本来汚いであろうはずの場所すらも美しく描いているかと思えば、「より稼げる物乞いにするために、歌がうまい子供の目がつぶされる」などのキッツ〜い描写はダイレクトに描いていたり。
監督が見せる「絵」によって、まさに監督の意図通りに感情が動かされてしまい、ちょっと悔しさすら感じてしまうほどです!
ただ、観ているうちに、監督のセンスがあまりによすぎることこそが、この映画の唯一の欠点なのかもしれないな〜とも思えてきまして。
というのも、本作で描かれる「ゴミ山」や「洗濯風景」の美しさ、それからスラムでの生活の凄惨さって、どちらも「外から見たインドの姿」という印象があるんですよ。
「オリエンタルな魅力もあるけど、社会的には成熟してない側面もあるよ」、と。
例えば、昨年公開されたインド映画の大傑作『きっと、うまくいく』なんかを観ると、インドって確かに社会問題をいっぱいはらんだ国なんだろうけど、そこに生きている人の姿っておそろしく前向きでエネルギッシュで。
なんていうか、陳腐な表現かもしれないけど、生々しい「生きていく力強さ」に満ちた国なんだろうな、というのが伝わってくるんですよ。
そして、そういう力強さにものすごい魅力を感じるし、だからこそ今のインドの成長があるんだろうな、とも思えるんです。
その点、本作はあくまでやっぱり“イギリス人監督が撮ったインド映画”なのかな〜という感じと言えばいいんでしょうか。
スタイリッシュで、他国の人間である僕たちが「きっとこうなんだろうな。」と想像するインドの姿ではあるんだけど、一歩、血が通っていない印象を持ってしまうのでした。
(この辺り、原作『ぼくと1ルピーの神様』(著者のヴィカス・スワラップはインド人)ではどういう印象で描かれているのか、読んでみたい気もしますね。)
そんなわけで、なんだかケチをつけたような感想になってしまいましたが、超おもしろいし、超かっこいいし、完璧な映画ってことを否定する気はさらさらありません!!
ただもう、完璧すぎてうまいこと褒めることもできないくらいの作品ですよこれは!
だからこそ、あえてなんとか感想をつづろうとすると絞り出した不満点くらいしか書けなかったような感じなわけですよ。
その不満っていうのも厳密には「不満」じゃなくて、天才ダニー・ボイルの傑作映画は完璧すぎるというお話。
「完璧すぎる絶世の美女」よりもちょっとくらい粗がある人の方が“接しやすい”よね〜という、超絶下から目線の感想で。
そういう下から目線にならざるをえないくらい、この映画はあまりにも完璧な美女すぎるんですよ!!
というわけで、いつもはダラダラ長文の感想を書いている当ブログですが、これ以上は「凄かった!」以上の感想が出てきそうにもなくて。
今日のところはわりと短めに、ここら辺で〆たいと思います。
いやー、凄すぎた。。。
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