32歳。そろそろ身につけたい“官能”リテラシー! 映画『イノセント・ガーデン』ネタバレ感想

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全くの前情報なしでたまたま手に取った本作『イノセント・ガーデン』は、オープニングからの十数秒で只事ではない“センス“が迸る映像作品で。
「むむむ!これは普通の映画ではないぞ!」という予感のある映画なんですが、よくよく調べてみると、あのド級の後味を残す映画『オールド・ボーイ』のパク・チュヌク監督の作品じゃないか、これ!!!

韓国映画特有の”むき出し”感といいますか、“生々しさ”や“血なまぐささ”のようなものが感じられず、ヨーロピアンテイストな仕上がりの映画になっているのがちょっと残念ではあるものの、1カット1カットの映像美と、少女が覚醒を果たすカタルシス!そして、エンディングとオープニングが円環構造を描く脚本の完成度がかなり高い作品でした。

ただ、僕の中の“官能映画リテラシー”がショボすぎるってだけなんでしょうけど、随所で見られる「官能の顔」に今一つ乗り切れなくて。。。
うーん、あの「恍惚っ!」の顔さえなければよかったんだけどなぁ。。。

作品概要

2013/アメリカ 上映時間:99分 PG12
原題:Stoker
監督:パク・チャヌク
出演:ミア・ワシコウスカ、ニコール・キッドマン、マシュー・グード

<あらすじ>
外部と隔絶された大きな屋敷に暮らす繊細な少女インディアは、18歳の誕生日に良き理解者だった父親を事故で失う。母とともに葬儀に参列していたインディアだったが、そこへ行方不明になっていた叔父が突然現れ、一緒に屋敷で暮らすことになる。そのことをきっかけにインディアの周囲で不可解な現象が起こるはじめ……。

感想

57 100点満点 scored by ultimate-ezイノセント・ガーデン

というわけで、面白かったし凄かったけど“ちょっと乗れなかった”という評価になってしまった本作『イノセント・ガーデン』。

ただ、映画自体の出来はなかなか素晴らしい作品で、特に“文字”の使い方が超ステキ!
オープニングでのクレジット表記で、画面に対する文字の置き方がいちいち美しいです。
さらに、1カット毎にほんの一瞬だけ画面が一時停止するんですが、これがなんとも不自然で気持ち悪く、心に強い“引っ掛かり”を残します。
映画は始まったばかりなので、まだどういう話なのかは全く分からない段階なんですが、この“引っ掛かり”がなんとも不穏な未来を予感させて、一気に物語に引き込まれてしまいました。

また、このオープニングと呼応するのがエンディングでのスタッフロール
これがまたちょっと変わっていて、エンドロールって普通は下から上に流れるものだと思うんですが、この映画のエンドロールは上から下に流れるんですよ。
これがまたなんとも居心地が悪い!

しかもこれ、単に「変わったことをやってみました!」というだけの演出ではなくて。
主人公の少女インディアが物語の終盤で覚醒し、本来の自分の才能を解放させるんですが、それはつまり、この映画の“エンディング(終わり)”は新たな物語の”始まり”になっているということ。(実際にオープニングのシーケンスは、エンディングとつながっていたわけだし。)
つまり、オープニングで感じていた”不穏な予感”というのは、映画の中できっちり決着がつくものではなく、映画が終わった後も続いていくわけで。
「この映画は不穏な未来の“はじまり”であること」を感じさせるエンディングとして、エンドロールの逆再生(つまり、「エンディング」ではないもの)を見せるというのは、本当に巧い構成です。

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と、いきなり、映画のエンディングのことを書いてしまいましたが、そこに至るまでの過程。
つまり、少女インディアの覚醒に至るまでの展開も、これまた凄い!

物語のあらすじとしては、自分の誕生日に最愛の父を交通事故で亡くしたインディアが、父の葬儀の最中、行方不明になっていた叔父のチャーリーと再会するところから物語が始まります。
海外を放浪していたというチャーリーは、しばらくインディアと母(ニコール・キッドマン)の元に滞在するんですが、それをきっかけにインディアの周りで失踪事件が頻発するようになります。

母親にまったくなついていなかったインディアは、毎年の誕生日に父親から送られていた「靴」のプレゼントに囲まれて心を閉ざし気味。
そこに絶妙な距離感でチャーリーが忍び寄ってきます。

と、ここで一気にオチを書いてしまいますが、このチャーリーという男が完全なるサイコパス
幼少期に弟を砂場に生き埋めにして殺害していたチャーリーは、長いことずっと精神病院に監禁されていて。(海外を放浪していたというテイで。)
そして、チャーリーがよやく退院できることになった日、迎えに行ったインディアの父親をチャーリーが殺害していたんです。
その殺害の動機っていうのが、インディアの存在。
チャーリーは、インディアの中に自分と同じ「快楽殺人者」の因子があることを見抜いており、インディアを自分の元に引き込もうとしていて。
それに気が付いた父親はチャーリーをインディアから引き離そうとチャーリーを説得。
しかし、父親のその態度にブチ切れたチャーリーは、あっさりと父親を殺してしまっていたというわけなんですよ。

ちなみに、毎年インディアの元に届いていた「靴」のプレゼントも実は送り主はチャーリー。
今年の誕生日にインディアの元に「靴」ではなく「鍵」が届き、その「鍵」によってたどり着いた真実によってインディアもようやくチャーリーの本性に気が付きます。

さらに、インディアの周りで起こっていた数々の失踪も、チャーリーの手によって行われていた殺人だったことが発覚。
インディアもそのことに恐れを感じていたんですが、ある日、自分に好意を寄せている同級生の男の子をチャーリーが目の前で殺害したことでついにインディアは覚醒!
調子に乗ったチャーリーは、インディアとともにニコール・キッドマンも殺そうとするんですが、覚醒したインディアはチャーリーが想像していた以上の器で。
父親によって腕を仕込まれていた猟銃(父親もまたインディアの因子には気が付いていて、狩猟によって殺人衝動を抑えさせようという意図があったんですが。。)によって、チャーリーを射殺!

そのまま猟銃を片手に町を出たインディアは、本能の赴くがままに人を撃ち殺し、才能を完全開花。
そのまま、上述した「エンドロール」へとつながっていきます。

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オープニングからエンドロールまで約100分。
この間ほぼ無駄がない作品で、「予測不能なオチ」ではないものの、少しづつインディアが花開いていく様子が丁寧に描かれた佳作であることは間違いない本作。
観ている人の心にちょっとづつ“引っ掛かり“を残して、「うまく説明できないけどなんか不安」という違和感を埋め込む演出は完璧です!

ただ、冒頭でも書いたように、インディア(ミア・ワシコウスカ)やニコール・キッドマンが時折浮かべる“恍惚”の顔に、どうしても笑いが出てしまうんです、私!!
なんなんでしょう、キリッとした顔の男が後ろから女性の首元にゴニョゴニョすると、なんで女性があんなに悶えるのか。。。
うーん、僕自身があんな感じでキリッとした顔のままで女性とゴニョゴニョしたことがないせいなのか、ああいう“絡み”が全然ピンとこないんですよ!
みんな、女の子とあんなことやこんなことをするとき、あんなにキリッとした顔ができるもんなの???

ミア・ワシコウスカの自慰シーンなんかは素晴らしいんですけど、どうしてもマシュー・グードと絡むと笑いが出ちゃうんだよなぁ。。。
いやー、苦手です、官能表現!!

というわけで、僕の中の思わぬ苦手分野が露見してしまった本作『イノセント・ガーデン』。
スピーシーズ 種の起源』みたいな映画をみて、「おっぱい!おっぱい!わっしょい!わっしょ!」とテンションを挙げるのではなく、こういった「大人の映画」といった趣の演出にも真顔で向き合えるようにならなきゃな〜と思うのでした。
僕ももう32歳で、立派な成人なんだからさ。。。

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