好きか嫌いかはモヤっとするけど、やっぱりこの映画はスゴい! 映画『アバター』ネタバレ感想

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今日の感想は、『死ぬまでに観たい映画1001本』から、『アバター』。
いやー、『アバター』級にド流行りした映画の感想をこのタイミングで書くのって結構恥ずかしかったりもする(てゆうか、あそこまでの“流行りモノ”って、今さらレンタルすることすら若干恥ずかちぃ。。。)んですが、「『死ぬまでに観たい映画1001本』を死ぬまでに観る!」という謎の決心をしてしまったこともあり、引くに引けない感じで今回も感想を書いてみます。

と言いつつ、実は『アバター』に関する感想は、先日アップした『第9地区』の感想に結構書いてしまっていて。
要約すれば、「人間を過度に悪しく描きすぎているせいで、”人間は醜いから悪い、ナヴィは美しいから正しい”(美醜=善悪の構図)という見せ方になっているのがちょっと気持ち悪い。」という感じ。
そういう意味で、人間も異星人も共に醜く描いた『第9地区』の方が僕的には“推し”だな〜という感想を持っていました。

で、あの感想を書いてから改めて『アバター』を観なおしてみたわけですが、、、
まあ、やっぱり上述したような気持ち悪さは感じるものの、思ったほど悪くなかったといいますか。
『第9地区』の感想であそこまでディスっといてなんですが、素直になかなか面白い映画でした。

作品概要

2009/アメリカ 上映時間:162分 G
原題:Avatar
配給:20世紀フォックス映画
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー

<あらすじ>
22世紀、地球から遠く離れた惑星パンドラへとやってきた元海兵隊員ジェイクは、自らの分身となる“アバター”を操り、先住民ナヴィと交流するが、やがて鉱物資源を巡って勃発する人類とナヴィとの戦争に巻き込まれていく。

感想

70 100点満点 scored by ultimate-ezアバター

というわけで、嫌いなところはありつつも、何だかんだでやっぱり楽しめた本作『アバター』。
よく考えてみると、公開当時も全然嫌いじゃなかったといいますか、むしろ公開当時はあの3D表現に超興奮したものでした。

というのも、『アバター』以前の3D映画って「3D=飛び出す」という既成概念に縛られている作品しかなくて。
遊園地にあるような10分程度のアミューズメント映像ならまだしも、2時間前後の尺を持つ“映画”で飛び出しまくるのは疲れてしまうため、「疲れさせないために大人しめに飛び出させました!」という、「え?じゃあ別に飛び出さなくてよくね?」という残念な出来の作品ばかりでした。

しかし、『アバター』はその既成概念を盛大に打ち崩し「3D=飛び出す」のではなく、「3D=奥行き」という概念を設立。
画面の奥に続く“世界“の表現としての3Dは当時本当に衝撃的で、今でも「3D映画のスタンダードな表現方法」として定着しているもの。
間違いなく「3D映画」の歴史において決定的な一作だったわけです。

当然僕も「なんてスゲー映画なんだ!」と震えて、かなり満足して帰ったはずだったんですが、その直後に観た『第9地区』のあまりの素晴らしさに、「いや、よく考えたら『アバター』のストーリーはちょっと問題あるよね」と、段々と下方修正されていった感じで。
結果、いつの間にか「『アバター』、そんな良い映画じゃなかったよね」という風に記憶が書き換わっていたわけです。

しかし、やはり最初に「面白い!」と感じた気持ちに嘘がないのも事実。
改めて観なおしてみると、やっぱり最初の気持ちに立ち返るもので、最初に感じた印象どおり素直に「面白い!」と思える作品でした。

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とまあそんな感じで、「やっぱり面白い」ということを再確認する鑑賞体験となったわけですが、当時は全然グッと来なかったのに今あらためて観たことで非常に印象的に感じたシーンが一つ。

それは、主人公ジェイクが初めてアバターの体を動かすシーン。
周りの制止を振り払って走りだしたジェイクが一息ついて、足の指で土の感触を確かめるカットになぜだか涙腺が大ダメージを食らってしまいました。

この一連のシーンは、戦争での負傷により下半身不随になってしまったジェイクが、アバターの体で久しぶりに自分の足で立ち、歩き、走りだすことに喜びを見出すシーン。
クライマックスには程遠い前半も前半のこんなシーンにこんなにもグッと来た理由はおそらく、最近観た「24時間テレビ」のスピンオフ特番の影響なんじゃないかと思います。
その特番の内容は、脊髄小脳変性症という障害により車椅子生活を余儀なくされている姉妹が、小笠原の海でスキューバダイビングをするというもの。
この障害は進行性の障害ということで、以前は歩けていた姉妹は徐々に出来ることが減っていくことに苦悩しながらも、スキューバダイビングに挑戦を続ける姿は非常に胸を打ちました。

そして、この特番があんなにも胸を打ったのは、11ヶ月前に子どもが生まれ、僕が「父」になったことに大きな意味があったと思います。

というのも、実は僕は「24時間テレビ」って全然好きじゃなくて、なんなら「けっ!偽善番組が!」くらいのことを思っていたくち。
障害者を見世物にしているようにも見える番組コンセプトには今でも若干の疑問を持っていたりします。

ただ、子どもが生まれてから観るこの番組はちょっと印象が違っていて。
例え番組の方針自体には疑問があったとしても、そこで取り上げられる切実に生きている人たちの苦悩や想いは“リアル”以外の何物でもないわけですよ。
特に「親子」という切り口で取り上げられている人たちに対しては、ちょっと自分でも引いちゃうくらいに感情移入しちゃって、嫌いだったはずの24時間テレビに釘付けになってしまったのが今年の夏の思いでの一つでした。

そんなこんながあっての『アバター』。
“再び歩けるようになった喜び”を全身で表現するジェイクの姿にいろんなものを重ねてしまって、作中一番の感動を味わってしまったのでした。
そして、最もエモーショナルなシーンが、「走る」という直接的に喜びを表しているシーンではなく、一息ついたあとの”足の指で土の感触を味わう”というシーンっていうところもステキ!!
虎舞竜が歌う「なんでもないようなことが幸せだったと思う」的なことなんですが、一番の幸せを感じるのってきっとこんなに些細なことなんだろうなというのがビシビシと伝わってくるシーンでした。

思い返してみれば、ジェームズ・キャメロン監督のもう一つの超大作『タイタニック』でも、一番感動したのはディカプリオが沈んでいくあたりではなくて、船の楽団が「最後まで演奏を続けよう」と言い沈没の直前まで職務を全うするところだったわけで。
もちろん、どこに一番感動したかは個人差があるとは思うものの、こういう「クライマックスではないシーンにさりげなく“人の琴線に触れるシーン”を入れ込む」のがほんとに巧い監督です!

そんな風にアツい思い入れが出来てしまった『アバター』。
結果、作品のメッセージ性そのものに共感できなくても作品自体を嫌いになれなくなってしまいまして。
なんかちょっと悔しいと言いますか、ズルい気もするけど、、、感動しちゃうんだからしょうがない!

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というわけで、想像以上に”実はやっぱり感動する映画”だった本作。
ただやっぱり、冒頭に書いたように「ちょっとヤダな」と感じる部分が多い映画でもありました。

「人間は醜いから悪い、ナヴィは美しいから正しい」という描き方はわかりやすい構図ではあるんだけど、本質的に「美醜」と「善悪」は関係ないもの。
そして、さらにその「善悪」をわかりやすく見せるために、過度に人間を悪く描きすぎている気がします。

そして、この“過度に同族を嫌う考え方”って僕は個人的に超苦手!!
いやー、よくいるじゃないですか。
ちょっと海外に留学した途端、「これだから日本はダメなんだよ」みたいなことを語りだすヤツ。(ヒドいやつだと2,3日海外旅行しただけでこのモードに入っちゃうやつもいますが。。)
↓こういうの。

どうもあの“痛さ”に通じるものを感じてしまう映画でもあるんですよ。

結局のところ、文化と文化が交わるときって、どちらかが100%正しくてどちらかが100%悪いということはありえないもの。
「オレたちの文化は100%正しいんだから、他の奴らは殲滅してやるぜガハハハ!」という考え方と、「オレたちの文化は間違っている。今すぐすべて変えるべきだ!」という考え方は、否定している対象が逆なだけで、“ある文化を100%否定する”という暴力的な思考なわけで。

その考え方に通じる「人間は100%悪い。ナヴィこそが正義」と単純化された本作の論理展開はやっぱりどうにも苦手でした。

さらに言えば、アバター計画を実行している研究チームは被害者ぶりながら人間に反旗を翻すわけですが、そもそもアイツらも全然ダメ。
交渉の相手が「マネー至上主義」だってことがわかってるのに、感情に訴えるばかりのシガニー・ウィーバーはバカだとしか思えません。
星全体を覆う生体ネットワークの存在と、それにアクセスできる端末の存在を確認しているんだから、「有限の鉱物資源よりも貨幣価値が高いこと」を証明することはそんなに難しいことじゃないと思うし、むしろそういう政治活動ができない奴があそこまでのビッグプロジェクトに抜擢されることも考え難いと思うんだけどな〜。

人間たちがナヴィに総攻撃を仕掛けたことを嘆いてますけど、あんたらの交渉力がショボすぎることが引き金と言えないこともないんだからね!
と、この辺りにもイライラもやもやしてしまいました。

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さて、そんな感じでとんでもなく今さらなタイミングでの『アバター』の感想はこんな感じ。

『死ぬまでに観たい映画1001本』を死ぬまでに観てみようということで、この辺りの超超ブーム作品についても、改めて観直すいい機会になっています。
といのも、僕の映画の観方って、基本的にほとんどの映画は一回観たらそれで終わり。
Blu-rayやDVDを買って繰り返し観る映画もあるにはあるんですが、それってよっぽど大好きな映画に限られるものです。

でも、こうやって『死ぬまでに観たい映画1001本』に沿って、そんなに好きでもないと思っていた映画までも再度観直すことで、新たな発見があるのは間違いありません。
それは、一回目は見落としていたシーンの場合もあるし、前回観た時から僕自身の立場や置かれた環境が変わったことで”ツボ”が変化したことによる発見もあるんですが、映画ってやっぱりものすごい濃度で作りこまれているモノなので、一回観て終わりにしちゃうのはもったいないことなんだな〜なんてことを思ったのでした。

まあ、「超大嫌いな映画」までも観返すべきかどうかは微妙なとこなんですがね。。。

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