本編とは全然関係ない修羅場シーンが壮絶! 映画『ロスト・メモリー』ネタバレ感想

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「あの森で起きたことを、私は覚えている」
そんななにやら象徴的なキャッチコピーと、「ラストの衝撃!」を謳うパッケージ裏のあおり文句に魅かれレンタルしてみた本作。

以前何かの感想で「キャッチコピーで“ラストの衝撃”を謳っている映画で本当に驚く率は3割もない」みたいな話を書いたような気がするんですが、その法則で言えば本作はがっつりと7割側
「つまらない!」とまでは言いませんが、100分くらいの尺のミステリーで「だるい」と感じさせる緊張感の無さたるや!

まあ、テーマ的にもありがちな作品であることは想像が付いていたんですが、本作と同じくドイツ映画でちょっと前に見た『ルーム205』というホラーの演出がなかなか楽しめたこともあって、ちょっとだけ期待してしまったんですが…
まあ、「ありがちなテーマをありがちに描いた映画で、こういうところが残念なのもありがちだよね~」という、40文字程度の感想に3回も“ありがち”というワードを入れたくなるような映画でした。。。

作品概要

2012/ドイツ 上映時間:102分
原題:Du hast es versprochen
配給:アース・スターエンターテイメント
監督:アレックス・シュミット
出演:ミナ・タンデル、ラウラ・デ・ベーア、カタリナ・タルバッハ

<あらすじ>
地元病院で医師として働くハンナのもとに、幼い頃親友だったクラリッサが患者としてやってくる。それをきっかけに2人は旧交を温め、子ども時代に互いの両親とバカンスへ出かけた小さな島を訪れることに。しかし、島には不気味な雰囲気が漂い、住民のマリアは失踪して行方がわからなくなっていた。2人は子どものころに一緒に遊んだはずのマリアの存在をすっかり忘れ去っていたことをいぶかしく思い、過去を探り始めるが……。

感想

25 100点満点 scored by ultimate-ezロスト・メモリー

というわけで、冒頭から批判っぽいことを書いてしまっていることからもおわかりいただけると思いますが、僕はこの映画をあまり楽しめませんでした。
そんなわけで、もし「この映画が大好き!」という人がこのページに辿り着いてしまった場合、結構な不快感を与えることになってしまうかもしれませんので前もって謝っておきます。
ごめんなさい。

さて、そんな本作『ロスト・メモリー』のあらすじですが、少女二人が自然の中で遊ぶ幻想的なオープニングシーケンスを経て、医師としてバリバリに働く女性ハンナの日常風景から物語は始まります。

ただまあ、“日常”といいつつも、のっけから修羅場
ハンナの誕生日ってことで娘を寝かせておしゃれなレストランで夫と食事中、プレゼントを受け取ったハンナが「何の罪滅ぼしかしらないけど、私はあんたが浮気してるの知ってるからね!」と切り出した瞬間に夫が仕込んだサプライズ演出が炸裂!
「陽気なレストラン店員がケーキを運んでくるけどハンナも夫も真顔」という想像するかぎり最悪のサプライズパーティーが繰り広げられます。
(本筋とはあまり関係のないエピソードではありますが、だんなの顔面蒼白っぷりが素晴らしく、正直、ここがこの映画で一番の見所だったりします。)
結局、病院からの呼び出しがかかったハンナは、サプライズのケーキに手をつけることなくレストランを後にしてしまいます。

病院へ駆けつけ急患患者の対応をするハンナですが、その患者が幼い頃の親友クラリッサであることが発覚。
運命の再会に興奮した二人は一気に意気投合。
クラリッサが病院に運び込まれた理由が「オーバードーズ」っぽいことで自殺の疑いがありつつ、ハンナも旦那の浮気の相談をしたりなんかして。
「お互いちょっと休養したほうがいいのかもね!」ってことで、二人が幼い頃両親にバカンスに出かけていた“とある島”を訪れることにします。

ハンナ、クラリッサ、そしてハンナの娘レアの三人で島を訪れ、幼い頃に使っていた別荘を利用することにするんですが、もうここからはベタ~に“不穏な雰囲気”が出まくり。

そして、別荘で昔の写真を見ながら昔を懐かしんでいると、まったく記憶にない少女が写真の中にちょいちょい登場することに気がつくハンナ。
「この子誰だっけ?」とクラリッサに尋ねるんですが、「アンナよ。本当に忘れたの?」と“コイツマジカ?”のテンションで聞き返されてしまいます。
この“アンナ”という少女こそが、タイトルにもなっているハンナの「ロスト・メモリー(失われた記憶)」
この“失われた記憶”を巡るサスペンスとして、物語は展開していくことになります。

その後、島でしばらく過ごすうちに、アンナが幼い頃に失踪したままであることが判明。
別荘の管理人からは「何故来た?帰れ!おまえがその女を連れてきたんだ!」と、よくわからない理屈で責められて。
さらに、ハンナ自身もよく眠れない上に、だんだんと幻覚っぽいものを見始めます。

そして、そんなゴタゴタの中、ハンナは幼い頃の記憶を徐々に思い出していきます。

幼い頃、ハンナは島にすむ同世代の女の子アンナと親友で、いつも一緒に遊んでいた。
でも、しばらくしてクラリッサという親友と一緒に島を訪れるようになったので、アンナとの中はちょっと疎遠に。
それでもハンナと仲良くしたかったアンナは、ハンナとクラリッサにくっついて来ていたんですが、調子にのったハンナはアンナに度胸試し的なことを強要。
そして、森の奥の“防空壕跡地”らしき洞窟内の穴にアンナを転落させてしまいます。

びびったハンナとクラリッサはそのままアンナを放置して逃亡。
そのまま島も去り、ハンナにいたっては記憶さえも消してしまっていたというわけです。

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そして、ここからが本作の“どんでん返し”ポイント。
というわけで、ここから先は完全なるネタバレになります。

ようやくアンナのことを思い出し、自分のやったことをアンナの母に告げたハンナ。
ここから、洞窟内の穴からアンナの死体の引き上げミッションが待っているのかと思いきや、どうも島の住人たちのリアクションがおかしい。
そうこうしているうちに、別荘の管理人がハンナの娘を誘拐。
なんとか追い詰めるも、「俺はこの子を守る!」とわめき、クラリッサともみ合いに。
そんなクラリッサを守るために、ハンナは管理人に手斧を振り下ろしてしまいます。

その後、管理人の最期の大暴れに巻き込まれハンナは気絶。
「なんやねん。。。この展開。。。」と思う僕の前に、ようやく真相が明かされることになります。

なんと、実はアンナは死んでなくて。
今までクラリッサだと思って行動を共にしていた女こそが、成長した復讐戦士アンナだったというのが、本作の真相。

穴の底で生きていたアンナ(そもそも『リング』とか『ルーム205』での井戸みたいな「穴」を想像していたんですが、そもそもこの穴は転落死するような深さの穴じゃなくてめっちゃ浅い!は、しばらくたって島の大人たちによって発見、保護されていたんです。
でも、穴の底で死の恐怖にさらされたアンナの精神は社会復帰不可能なレベルにぶっ壊れていまして。
施設に収容され薬漬け⇒施設の男性看護士に孕まされるという負のスパイラルを転がりつつも、「こんな目にあわせたアイツをゆるさねぇ」というモチベーションだけをもって生きていて。
その後施設を出たアンナは、どこで身につけたのか知識なのか、急に綿密な「アンナ復讐計画」を練り上げたわけです。
ハンナを追い詰めるために「ハンナに人を殺させて、さらにその姿を娘に見せる」というえげつない計画を。。。

そう、「この子を守る」といっていた管理人は実はいいヤツで、「なんであの女を連れてきた!」というのもアンナの幽霊が取り憑いている的な話ではなく、一緒に来た女(クラリッサのふりをしたアンナ)のことを言っていたのね。
いやー、これは流石に管理人さん、言葉足らず!!

そして、アンナの幽霊的なものが存在していないとすれば、ハンナの前にちょこちょこ現れていたアンナの幽霊は一体なんだったんでしょうか!!
(一応、アンナがハンナに薬を盛っていたっぽいシーンもあったんですが、まったく覚えていないアンナの姿を幻覚で再現できるもんなんだろうか。まあ深層心理の記憶はあったんでしょうかね。。。)

その後、ハンナと娘を自分が落ちた穴に落とし、復讐を完遂したかに見えたアンナですが、最後には二人を救出。
改心したのかと思いきや、、、

目を覚ましたハンナは病院でベッドに拘束されていて。
付き添ってくれていたのは旦那とアンナ!
「薬を大量に飲み娘を連れて穴に飛び込み心中しようとしていた」としか説明のつかない状況に追い込まれたことで、まだ復讐は終わっていないことに気がつくハンナ。
「テメェ、マジ許さんからな!」的なことを言うハンナを、「やーね。まだ幻覚と妄想が出てるみたいだわ。」とかわすアンナ。

「まったくどうしてこうなったんだ」と相変わらず顔面蒼白な旦那とアンナは病室を去り、ものすごい余韻を残して映画が終わるんですけど、、、
いやいや、あのタイミングで嫁が自殺未遂したとすれば、一番可能性が高いのは冒頭でのお前の浮気問題が原因なんじゃないの!
おい!
それなのにお前はなんでそんな「やれやれだぜ」テンションでいられるんだい、コラ!!
と思っているうちにエンドロールまで終わってしまっていたのでした。

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というわけで、ダラダラとあらすじを書いてしまいましたが、なんと言いますか、映画自体が“ダラダラとしている”という印象のある作品で。
確かに二転三転としているはずなのに、全く興奮しない作品だったんですよ。

例えば、以前感想を書いた『少年は残酷な弓を射る』という映画は、オチそのものは決して驚くべき内容でもなかったんですが、オチへ向けて物語を引っ張っていく力はかなり強い作品で。
“この先に、見たくない・知りたくないほどのおぞましい何かが待っている”という予感を抱き続けることのできる作品でした。
何がこの“予感”を生んでいたのかと言えば、それは“血”を暗示させる演出の数々。
“トマト投げ祭り”のカットだったり、“投げつけられる赤い絵の具”だったり。
「血」を連想させるカットを多用しつつ具体的な描写を避けることで、“血みどろで凄惨な何かしらの出来事”が起こることを示唆していたことが、画面に緊張感をもたらしていたんだと思うわけです。

一方本作は、「幽霊らしき少女の姿」でビックリさせる演出ばかり。
いや、確かに「ビックリさせる」演出ってその瞬間は緊張するんですが、ビックリの後に反動で弛緩してしまう作用もあるわけで。
まして、一個一個のビックリにちゃんと“溜め”があればいいんですが、本作にはそれも無い。
結果、「たまに唐突にビックリさせられるけど、すぐ元に戻る」というだけの演出が、ダラダラと何回も繰り返されるだけ。
これじゃあこっちの気持ちも作れないんだよな~。

しかも、序盤で「ミイラ化したアンナの姿」が現れてビックリするシーンがあるんですが、そこはそこでやっぱりビックリするものの、「アンナは死んでいなかった」というオチがある本作においては、「ミイラ化したアンナ」なんてものは存在しないものなわけで。
これって、はっきりって“嘘”の演出といいますか。
ただ単に鑑賞者をビックリさせたいためだけに存在する“物語上は何の意味もないモノ”じゃないですか。

この辺りの雑さって、最終的に“お化けがやったこと”であれば何でもありに出来ちゃうんでしょうけど、本作では生身の人間が復讐しているわけで。
アンナが「自由に幻覚を見せる特殊能力」(そして、ドロドロになったところでDiscを奪う)は持っていないわけでしょうし。。。

こういうところを適当につくっちゃっている本作。
いやー、やっぱり僕は好きになれません。

さらに言うと、まったく記憶を失っていたハンナが記憶を思い返していくタイミングもかなり作為的。
シナリオありきの「THEご都合主義」なタイミングで、「あ、今思い出した。そうだった!」を繰り返すのも、なかなか残念な展開でした。

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“失った記憶”をめぐるミステリーって決して目新しい作品じゃないんですが、そこに“新鮮な演出や斬新な展開”が何か一個でもあればいいかな~という期待値で観た作品でしたが、コレといって発見は無く。
プロットの適当さ、そしてそのプロットのための個々の演出もかなり適当につくられている印象で、なかなか残念な映画だったといわざるをえない作品でした。

ただ、冒頭にも書きましたがオープニングでの修羅場っぷりはスゴイ!
だって、「サプライズパーティーを企画しておいて、サプライズを発動する直前に浮気バレを指摘されて。その直後にサプライズ発動!」って。。。
こんなもん、想像しうる限り最悪のサプライズパーティー過ぎますよ、コレ!
リアルな話、この状況って一体どうやったらいいもんなんすかね?

正直、このエピソードが修羅場過ぎて、オチでマリアに騙された形になっている旦那が、「実はうすうす真相に気がついているけれども浮気の件もこのままうやむやにしてしまうためにはマリアに騙されておいた方が楽かも!」と考えているクズ野郎なんじゃないか?世間体的にはコレでラッキー!なんて思ってるんじゃないか?、なんてことも考えてしまいました。
うーん、我ながらこの発想、ゲス過ぎる!

ただまあ、そうやってゲスいことばかりを考えてみると、このゲスい妄想は本作の効果だとも言えるわけで。
そういう意味では、“新鮮な演出や斬新な展開”はあったとも言えるのかなぁ。。。

Commentsこの記事についたコメント

6件のコメント
  • Chie より:

    ハンナの前にちょこちょこ現れていたマリアの幽霊は、施設で身籠ってしまったマリアの子供です。マリアに命令されて仕方なく幽霊をやっていました。
    プロットもただの殺す為でなく自分と同じ目に、しかもハンナの作り話が現実となってしまったというラストからの、さらにハンナの娘に復讐心が芽生えるという負の連鎖が続くのでは、、と思わせる最後。結構作り込まれているな私はと思いました。

  • 通りすがり より:

    幽霊はマリアの娘ですよ。
    精神病院にいた時にできた子供です。復讐にかられたマリアの命令で、幽霊のふりをしてハンナやハンナの娘に接触していたようです。後半でマリアの娘が勝手にハンナの娘と仲良くなったことをマリアが叱責していたり、マリアの母親がマリアの娘を抱きしめて「お芝居はおしまい」とか、そんなシーンがありました。
    細かな演出が光っている良い映画だと思いました。
    マリアの復讐の全てがされたことになぞられている辺りとか特に。見ていて後味が悪いことと、管理人さんの口足らずぶりには突っ込みたくなりましたけどね。

  • ultimate-ez より:

    幽霊の正体がアンナの娘なのは理解してるんですが、序盤でゾンビ化させる演出が“盛り過ぎ”なんですよね。アレをやったせいで実は生身の娘だったっていう驚きを弱めちゃってると思うんですよ。こういうプロットの映画で「幻覚」を見せちゃうのは禁じ手だと思います。

    • 通りすがり より:

      なるほど、
      そう感じられたのですね。
      そこら辺は感じかたによるかもしれないです。
      盛りすぎといえば盛りすぎかもしれませんが…

  • らら より:

    文章が拙過ぎて伝わらないのでは?わたしも管理人さん理解してないなと見受けましたし。なんでこんな中学生が書いたような文章のサイトが検索で一番上にでてくるのか、、、
    ↓せめてこの文章消されたらどうですか?アンナ〔っつーかマリアじゃないの?〕を幻覚で再現したかのような表現にしかみえませんよ。

    >そして、アンナの幽霊的なものが存在していないとすれば、ハンナの前にちょこちょこ現れていたアンナの幽霊は一体なんだったんでしょうか!!
    (一応、アンナがハンナに薬を盛っていたっぽいシーンもあったんですが、まったく覚えていないアンナの姿を幻覚で再現できるもんなんだろうか。まあ深層心理の記憶はあったんでしょうかね。。。)

    • ultimate-ez より:

      正直3年前の記事なので細かいことは覚えてないんですが、アンナ(マリアでしたっけ?)を幻覚で再現してませんでしたっけ?なんか顔がゾンビ化して。
      あの”ゾンビ化”が幻覚ではないとすればなんだったと解釈すればよいのでしょう?

      あと、一つ前のコメントの方や私が書いている「管理人さん」は私のことじゃなくて、別荘の管理人のおじさんのことですよ。

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