ピクサー史上最大のガッカリ映画かも。。。 映画『モンスターズ・ユニバーシティ』ネタバレ感想

Main1 mu large

ようやく観れました『モンスターズ・ユニバーシティ』。
一応これまでのピクサー作品は全て公開時に劇場で観ていたものの、今回はちょっとタイミング的に無理っぽいかな~と諦めていたんですが、なんとか間に合いました!

ただまあ、「なんとか待望の作品を観れた!」という喜びはあるものの、作品自体は割りと微妙だったと言いますか…。
映像のレベルはやっぱりこれまでの作品を明らかに上回っているし、物語そのものも決してつまらないわけではないんですが、良くも悪くも「安定のピクサー作品」っていう感じで。
テンションが全然上がらないといいますか、気持ちが入っていかないといいますか…。

ピクサー作品っていうことで僕の期待値がすげー高くなっちゃっていたっていうのも多分にあるとは思うんですが、素直に一言で言ってしまえば思いの外ガッカリな作品でした。

作品概要

http://www.youtube.com/watch?v=RYjysgFDcYc
2013/アメリカ 上映時間:110分 G
原題:Monsters University
配給:ディズニー
監督:ダン・スキャンロン

<あらすじ>
幼い頃から怖がらせ屋になることを夢見ていたマイクは、努力の果てに難関を突破し、モンスターズ・ユニバーシティ怖がらせ学部に入学。しかし、怖がらせ屋になるには、見た目がかわいすぎるという致命的な欠点に悩まされる日々を送る。そんなある時、マイクは、名家の出身で怖がらせの才能にあふれたサリーと出会う。マイクはサリーをライバル視するが、自信に充ち溢れたサリーはマイクを見向きもしない。夢をあきらめないマイクは、「最恐の怖がらせ屋」を決める怖がらせ大会に出場するが……。

感想

40 100点満点 scored by ultimate-ezモンスターズ・ユニバーシティ

というわけで、ちょっとガッカリ作品だった『モンスターズ・ユニバーシティ』。
(当ブログをはじめる以前のブログの頃からちょこちょこと映画の感想を書き綴ってきた私ですが、「神」集団ピクサーの作品にネガティブな感想を書くのは今回が初かも。)

僕は『トイストーリー3』をオールタイムベスト映画に挙げ、『WALL-E』『カールじいさんの空飛ぶ家』『トイストーリー』も神の産物くらいに思っているくらいピクサーが大好き。
むろん本作の前作に当たる『モンスターズインク』も超大好きな映画でした。
まして、『モンスターズインク』っていうのは“子どもが出来て生活が変化していく「父」の戸惑いと葛藤”がテーマの作品。
僕もまた「父」になって、改めてこの映画を見直して見るとサリーへの感情移入はハンパではなく、作品に対する思い入れもグイグイ急上昇している状況なんですよ。

そんな中、今年のピクサーの新作が『モンスターズインク』の前日譚らしいという話が公表されたわけですが、「続編」じゃなく「前日譚」にしたっていうところがナイス判断!

正直ディズニー映画の「続編モノ」っていうのはかなりガッカリさせられる作品が多く、ディズニーと提携しているピクサーの作品も「続編」に当たるものはちょっと微妙なものが多い傾向がありまして。
(僕個人の意見ですが、『トイストーリー2』も『カーズ2』もピクサー作品の中で順位付けをすれば一番下。長編映画と同時上映される短編も「続編」にあたるものは微妙なものが多いものです。まあ、『トイストーリー3』という例外中の例外の存在もあるわけですが。)

まして、『モンスターズインク』という作品は、構造的に「続編」を作っちゃいけない類の作品。
というのも、『モンスターズインク』って「夜になるとお化けがやってきて怖い!」という子どもなら万国共通で持っている観念に対し、「実は人間世界の裏側にはモンスターの世界がありました」という設定のお話。
しかも、「モンスターは人間と同じように生活をしていて、夜に子どもを脅かすのはサラリーマンとしてのお仕事です。」という設定が楽しい映画だったわけで。
それが映画の最後に世界のルールが一変して、「夜になると陽気なお化けがやってきて人間の子どもを笑わせる」というパラレルワールドが作られるという結末の映画でした。

つまり、あの『モンスターズインク』の続編を作るとなると、「モンスター世界」の裏側の「人間界」もまた、僕たちが生きている世界とは別の世界になってしまうわけで。
「モンスター」の世界はもちろんファンタジーなんだけど、それと対を成す「人間界」もファンタジーっていうんじゃ「設定を楽しむ作品」としては全然機能しなくなってしまうわけです。

だから今回は、「続編」ではなく「前日譚」。

前作で活躍した“大好きなアイツら”にもう一度出会える「続編映画」としての魅力は残しつつ、キレイに終わった作品にクソみたいな蛇足を付けない方法として、「前日譚を描く」という方法を取ったということは本作に関しては間違いなく大正解!
この時点で『シンデレラ2』なんかとは全然違うわけです!
今日の感想記事では『モンスターズ・ユニバーシティ』についての不満を書き綴ることにはなると思いますが、“最低限の基準”を満たした上での話だということは、ここではっきり言っておきたい!

おそらく、本作はクリエイターの「この作品を作りたい!」という想いから生まれた作品ではなく、偉い大人の「この作品を作りたまえ。」という話から生まれた作品なのかな~とは思います。
でも、そういう“しがらみ”のなかでちゃんと「愛」をもって作品を作っているのがわかる作品で。
クリエイターまでもが「とりあえず作っとくか!」という姿勢で望んだと思しき「続編」作品群とは全然違うってことだけは、ここで声高に言っておきたい!!!

Mu sub2 large

さて、前置きは済んだところで不満点を。

と言いつつも、正直言ってこの作品「ここがダメ!」「ここがキライ!」と言いたくなるようなポイントって実はほとんど無いんですよ。
逆に、「ここがイイね!」「ここが好き!」と言いたくなるポイントも無い。
良くも悪くも「引っかかり」が無く、感情もすぅ〜〜〜〜〜〜〜っと流れてしまうような作品でした。

ピクサーの映画って、「大好き」な作品からそうでもない作品まで数々あるわけですが、基本的にはどの作品にも「思い返したときに必ず浮かんでくる印象的な“画”」があるように思います。
もちろんひとそれぞれなんでしょうが、「『トイストーリー3』の焼却炉」「『カールじいさん』の風船が広がるシーン」「『WALL-E』でWALL-Eが凍結状態のEVEと手をつなぐシーン」
本作の前編『モンスターズインク』でも、扉に乗ったサリー&マイクがブ~を争奪しながらランドールを追いかけて無数の扉の中を駆け抜けていくシーンは、今での鮮明に思い出すことが出来ます。

だけど、本作ってそういうシーンが全然無いんですよ。

最初にちっちゃいマイクが登場した時は「きゃわうぃぃぃ~~~」と思ったし、「超でっかい図書館の司書」とか「ウーズマ・カッパの面々の顔芸」とか「校長の登場シーン」とか、「『モンスターズインク』のサリー登場シーンを髣髴とさせる“怖がらせ屋”の登場シーン」など、「おぉ!」と思ったシーンは数々あるんですが、果たしてこれが1年後2年後に覚えているような印象的なシーンだったかと言えば、まあきっとそんなに心に残ることはないかな、と。

いつものピクサー映画のように「毛の質感やべぇ!!」と映像の表現に対し感動する瞬間はたくさんあったんですが、“演出”に関する感動がなかったってことなんでしょうね。。。

そして、心に「ひっかかり」を残す鮮烈なシーンがないと、映画について思い返してみようにもさらっとしか思い返すことが出来ないもので。
そして、映画ってそれを観ているとき以上に映画の内容を思い返す時間に“想い”が募る特性があるもの。
なので本作のように思い返すための「ひっかかり」に乏しい映画って、なかなか大好きになりにくいのかもしれません。

Mu sub1 large

そして、さらに本作が致命的なのは、映像面だけではなく物語としても「引っかかり」が無いところです。

ここから先はクライマックスの展開へのネタバレが含まれるので、これからこの映画を観ようという方はご注意願います!

本作の大きな筋として、マイクとサリーが率いる落ちこぼれ集団「ウーズマ・カッパ」が大学内で成り上がっていき、エリート集団を倒すという物語があります。
「負け犬たちが奮闘し勝ち上がっていき、最後にエリート集団を倒す」という話は古今東西無数に存在するベタ中のベタの物語。
そして、こういう類の物語の見所は何より「エリートを倒す瞬間」にあると思います。

本作でもアメリカの大学という“超ヒエラルキー社会”における最上位カーストに位置する「ロアー・オメガ・ロアー(ROR)」のその中でもリーダーというスーパーエリートモンスターのジョニー・ワーシントンに、落ちこぼれ中の落ちこぼれであるマイクが勝つという瞬間こそが最大の見所で、ここに物語としてのカタルシスがあるべきところ。
ただ、本作のクライマックスには、まったくカタルシスが無いんですよ。

というのも、実はマイクがジョニー・ワーシントンに勝ったのには理由があって、サリーが“親切心(ただし、マイクの気持ちを傷つける行為でもあるんですが。。)からある不正を行っていて、その不正のおかげでマイクは勝てた、という裏がありまして。
ただ、その裏が明かされるのは“怖がらせ大会”の後なので、マイクとジョニー・ワーシントンの戦いのシーンの段階ではその不正は明らかになっていなくて。
「特に理由は無いけど、何故かあっさりとマイクが勝ってしまう」ようにしか見えないわけです。
その結果、マイクの勝利に対してピクリとも心が動かないというか、「え~~?」という困惑しか出てこないんですよ。

しかも、それまでのウーズマ・カッパ対RORの対決の中でも「落ちこぼれのウーズマ・カッパ」と「スーパーエリートROR」が描き分けられていないと言いますか。
両サークルに在籍しているモンスターの“怖さ”の違いが明確に描き分けられていないのも問題。
ジョニー・ワーシントンとサリーの二人が超怖いっていうのはわかるんですが、後のモンスターはウーズマ・カッパもRORも“そうでもない”というか、まあ“かわいらしい”わけですよ。

ここで、「ウーズマ・カッパは怖くない」「RORは怖い」をきちんと描き分けつつ、「ウーズマ・カッパの奴らは怖くないけれど、工夫を重ねて自分を怖く見せる“演出”によって勝利している」という見せ方が出来ていれば戦いにもっと説得力が出ていたはず。
そして、その前提があった上で「マイクが特に工夫することなくジョニー・ワーシントンに勝ってしまう」のであれば、そこに違和感が生じ、何か”不正”があることを察することができたはずなんですよ。
でも、基本的に全ての戦いが「何で勝ったのかはよくわからないけどウーズマ・カッパが勝った」ように見えてしまうもので、最後のマイクの勝利にも困惑しか出来ない。
それが非常に残念でした。

もちろん本作のクライマックスはこの戦いではなく、その後「マイクが幼い頃からの夢を諦めつつも、真の勝者になっていく」ところがクライマックスっていうつもりなのかも。
でも、やっぱりあの順序で物語を紡ぐことはノイズにしかならなかったと思うわけです。
はっきり言って、あの戦いで「ウーズマ・カッパ」は負けても良かったとすら思っているし、どうしてもマイクが勝つ物語にしたかったのならば、やはりそこにカタルシスを感じさせて欲しかったのでした。
(マイクが小さい頃社会化見学でモンスターズインクを訪れた時、マイクは“一流モンスターに気づかれること無くこっそりと部屋に進入していた”という展開がありました。この超スニーク能力が伏線になるもんだとばかり思っていましたが、これも特に回収は無し。いや、この能力を活かして勝てばいいじゃん!!)

Mu other large

というわけで、映像表現的にも物語的にも“感情のピーク”が生まれなかった本作。
もちろん、“グッと来るシーンが無かった”というだけでこれといった大きな欠点はないんですが、「こんな当たり障りのない映画に、あの“マイクとサリー”を使わないで欲しかった」というファン心理が働いてしまい、そこはかとない不快感すら持ってしまっているわけで。
次回作として「ファインディング・ニモ」の続編も予定されているようですが、これまた公開当時と違い“父親”になってしまった僕のなかで“思い入れ”が盛り盛りになってきている作品ってこともあり、超不安!!
当たり障りのないファンサービス映画を作るくらいなら、新キャラで作ってもらった方がナンボかましだな~なんてことを考えてしまいます。

ただ、『トイストーリー』も「2」は結構“アレ”な作品だったけれど、その後に「3」という奇跡を起こしたわけで。
『カーズ2』『モンスターズ・ユニバーシティ』もピクサー作品の中ではイマイチパッとしないし『ファインディングニモ』の続編も不安ではありますが、もしかしたら「奇跡」が再臨するかもしれないわけで。

ここ数年のピクサー作品は若干がっかりさせられることが多い気もしているので、以前のように100%全力で期待値を上げるのは正直難しいんですが、期待と不安を入り混ぜながら、次なる奇跡を待ちたいと思うのでした。
それにしても、今年はディズニークラシックスもピクサーもやや残念な出来だった・・・。
こんな“外れ年”もあるんだなぁ。。。

Commentsこの記事についたコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です