この映画に出会えたってことは、僕の人生はきっとうまくいってる! 映画『きっと、うまくいく』ネタバレ感想

Original

知人から猛烈なオススメを受けつつ「えー、でもインド映画でしょ(半笑)」という気持ちで観るタイミングが延ばし延ばしになっていた本作。
ほぼ公開終了のタイミングにギリギリ滑りこみで、ようやく観ることができました。

結果から言うと、いやもうほんっとに面白かった。
このブログでは観た映画に対して僕の感覚で点数をつけていて、ブログ開設からの約1年間で観た映画の最高得点は『桐島、部活やめるってよ』99点
『桐島』もケチのつけようがない映画ではあったんですが、100点を付けてしまうとこの後もっと良い映画があった時に困っちゃうってことで99点をつけていました。
でも、今回はまあ「この後もっと良い映画があったら、その時はその時考えよう」ってことで、行っちゃいます100点
だってもう、ほんっとに面白かったんだもん!!!

現在公開している映画館はかなり少なくなっていて、ここで猛烈にオススメしたところで、Blu-ray・DVDの発売を待たなきゃ観れない人が多いのかと思うとオススメし難いタイミングではあるんですが、まあでも面白かったんだからしょうがない!
とにかくもう、心から「この映画と出会えてよかった!」と思える最高の映画体験でした!!

作品概要

2009/インド 上映時間:170分 G
原題:3 Idiots
配給:日活
監督:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マーダビン

<あらすじ>
インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの3人が引き起こす騒動を描きながら、行方不明になったランチョーを探すミステリー仕立ての10年後の物語が同時進行で描かれる。

感想

100 100点満点 scored by ultimate-ezきっと、うまくいく

というわけで、当ブログ開設一周年を目前で、ついに出ました100点!(まあ、完全に僕の好みの話なので、この点数には何の価値も権威もないんですけど。)

正直この映画を観るまでは、散々オススメされながらも「えー、だってインド映画でしょ(半笑)」という気持ちが心のなかにありまして。
「あれでしょ?映画の途中で踊るんでしょ?(半笑)」
「テロテロ素材のシャツを着たヒゲ面で小太りのおっさんと、原色のサリーを着た顔の濃〜いお姉ちゃんが踊るんでしょ?(半笑)」
「しかも、上映時間3時間くらいあるけど2時間はダンスなんでしょ?(半笑)」

という、かなり小馬鹿にした気持ちが…。
(事実、これまで観たインド映画(といっても3本くらいしか見たことないですが。)は、どこかこの(半笑)を楽しむ映画という側面があったと思ってます。)

ところが、本作は映像のセンスから脚本の練り込みっぷりから、これまで僕が知ってるインド映画とはちょっとレベルが違う感じ。
どうやらインドアカデミー賞で16冠という史上最多部門受賞を果たした映画らしく、インド映画の中でずば抜けた完成度なのは間違いなくて。
しかも、ただ単純に「これまでのインド映画とは全然違うよね?」という話ではなく、ちゃんと“インド映画”してるのが本作のいい所。
顔の濃いヒゲ面で小太りのおっさんは出てくるし、原色の服を着た顔の濃〜いお姉ちゃんも出てくる。
上映時間はやっぱり3時間だし、ダンスシーンもクドいくらいの尺でやっている。
ちゃんと、僕ら外国人から見た「インド映画らしいインド映画」になっているんですよ。
それでいて、(半笑)を楽しむ映画ではなく、純粋に「笑って泣けるエンターテイメント映画」として世界で戦えるレベルに昇華されているのが素晴らしい!

そんな本作『きっと、うまくいく』の魅力を何が支えているかといえば、やっぱり「学校モノとして普遍的なテーマを扱いながら今のインドの勢いも感じさせ、思わぬところが伏線として機能していく脚本」の完成度がまずスゴい。
そして、主人公ランチョ―のキャラクターの魅力が良い!(ここ掘り下げちゃうと話が超長くなりそうなんでちょっと深堀りはやめときます。)
そして、個人的にこの映画の魅力の象徴だと思っているのが、ラージューの顔
コイツがたまに見せる“泣きながら笑っている顔”はまさにこの映画の象徴とも言える表情。
まさに僕はこの映画を観ている時、感動に胸を打ち震わせて涙を流しながら笑っていたし、なんなら今感想を書いている僕の表情も「泣き笑い」
この映画を思い出すと、必然的に「泣き笑い」の顔になっちゃうんですよ。

そして、この「泣き笑い」の顔をしている時の感情を一言で表すとすれば「幸せ」以外の何物でもなくて。
「幸せ」を与えてくれる映画なんてそうそうあるもんじゃないぞってことで、本作の点数は100点!!
100点なわけですよ!!

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そんなわけで、映画を見終えてだいぶ時間も経って、今こうやって映画の感想を書いているわけですが、正直今なお心が震えていて
気を抜いたら涙が出てきそうで、今日の感想文がかなりおかしな文章になっているような気もするんですが、これはこれで「感情の鮮度!」と自分に言い聞かせながら続けていきます。

僕は一体この映画の何にこんなにもグッと来ているのか?

ちょっといろいろ考えてみたんですが、一言で言えばこの映画、というよりはこんな映画が作られる「インド」という国が”羨ましい”んですよ。
だってきっと、今の日本にはこの映画は絶対作れないから。

きっと一昔前は「社会のシステム」ってすごくシンプルで。
農家の息子は農家になって、漁師の息子は漁師になるという単純な構造の社会があって。
そこから飛び出すなんてことは考えることすらないのが、ほんの数十年前までの“当たり前”だったわけです。
この日本においても。

でもいつしか、“自由”が与えられて、みんな好きなことがやれる時代がやってきて。
きっとみんな「好きな事がやれるぞ!」って浮かれていたんだけど、やがて「なんだかんだ言って世の中ってそう簡単じゃない。なかなかうまくいかないよね」っていう現実に打ちのめされて。
そうしているうちに社会全体が「世の中そんなにうまくいかない」っていう思考にとりつかれているのが、今の日本。

一方インドという国はいままさに高度成長のまっただ中。
いうなれば一昔前の日本と同じように「きっと、うまくいく」という期待感が渦巻いている社会なんだと思います。
もちろん、社会が劇的に変化していく中で「自由」だからこそ親は子どもに過度な期待を持ち、それが様々な悲劇を生んでいる“現実”も社会問題として存在していて。それを思うと「世の中そうそううまくいかない」という思想が根底にある今の日本と比べた時にどちらが“よりよい社会”なのかはすげー難しいところ。
それでも、誰も彼もが希望に満ちて“自由”を、そして“きっと、うまくいく”という想いを信じられる社会って、単純にものすごく羨ましい!
「何が起こっても変じゃない!」「これからもっと凄いことが起こるぞ!」という期待感が満ちている社会って単純にスゲー羨ましいんです。

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ある程度社会が成熟してしまった日本において、「好きな事をやれ。きっと、うまくいく」っていう言葉を“心から”言える人ってなかなかいないもの。
家入一真とかイケダハヤトとか「会社やめて好きなことやろうぜ!」って言ってる人はいるけど、無責任に煽っている感があるといいますか。
普通は、「世の中あんまりうまくいかないから、安易に背中を押してその人が失敗したらどうしよう?」っていう危惧をするもので。
無邪気に、そして無責任に「好きなことをやれ。きっと、うまくいく」なんて言えないものです。

いやもちろん、今だって「きっとうまくいく」と100%信じて生きることは出来るはずなんですけど、高度経済成長もバブルもしらない世代なもんで、「世の中そんなにうまくいかない」っていう思いがどうしても根っこの部分に染み付いちゃっているんです。
僕だけかもしれないけど。
だからこそ、ただただシンプルに「好きな事をやれ!きっとうまくいく!」と言い切る映画が迷いなく作られて、しかもそれが国内のアカデミー賞でダントツ史上最多の受賞を果たしちゃうほど国民に受け入れられる社会って、羨ましいもんです。

ちなみに僕は、もうすぐ11ヶ月になる子どもを育てている真っ最中。
「子どもには好きな事をやらせたい」という想いはもちろんあるし、「絶対にこうなれ!」なんて何かを押し付けるつもりは微塵もなかったんですが、もしこの映画を観ていなかったら、きっと僕は子どもに対して「世の中そううまくいくもんじゃないからガンバレ!」なんて言葉を言うつもりだったんですよ!
“社会”ってもんの最小単位は“家族”なわけで。
つまりこれは言うなれば、僕は自分の“家族”を、みんなが「きっとうまくいかない」と思っている社会にしようとしていたってこと。
でもねえ、僕は自分の”家族”を「きっと、うまくいく」と思える社会にしたいんですよ!!

もちろん、自分の子どものことなんだから無責任になんてなれないし、明らかに間違った道に進もうとしていたら正したいとは思うんでしょう。
でも、もし子どもが大失敗をしたんならそのケツは自分が拭く覚悟をした上で、息子に対して「好きなことをやれ!きっとうまくいく!」と言いたい。
それを聞いた子どもがどう思うかなんてわからない。でも、僕が、僕自身が、子どもに対してそう言いたい
「言ってあげたい」んじゃなくて、僕が「言いたい」んですよ!

と、そんなことを思わせてくれる映画に、子どもが物心付く前(僕が子どもに「そんなにうまくいかないよ」と言ってしまう前)のタイミングで出会えたこと。
ちょっと大袈裟だけどこれもまた奇跡的なことです。
この奇跡を起こせたってことは、僕の人生なかなかうまくいってるじゃない!と、早速ポジティブな気持ちにつつまれていますよ!

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というわけで、「映画の感想」という体でこんな長文を書いておきながら今のところ映画の中身に一個も触れていない状況はいかがなものかと自分でも思うんですが、これが僕の『きっとうまくいく』に対する感想です。

もちろん、冒頭にちょっとだけ書いたように「脚本が素晴らしい」という前提がありきの大絶賛。
冒頭のちょっとしたエピソード(宿舎のドアに立ち小便をしようとした先輩への仕返し)が、後半クライマックスの展開への伏線になっていて、さらにエピローグでも伏線として機能していたりする小粋な展開は盛りだくさん。
僕の涙腺が大決壊したファルハーンとラージュがランチョ―の前でパンツを下ろすシーン(ここだけをつまんで書くと「どんな映画やねん!」という話ですが、これが大号泣のシーンなんです)も、オープニングのエピソードが伏線になっていたわけだし。
さらに中盤どまんなか(海外ではここでちゃんと休憩が入ったようです。)で急にサスペンスの要素が入ってきて物語がガラッと動いたり。
3時間というのは結構長い映画のはずなんですが、本当にあっという間に感じてしまう映画。というか後半1時間くらいは「どうしよう、もうすぐ終わってしまう!嫌だ!」とまで思えるほど、のめり込んでしまう物語でした。

ただまあ一つ欠点を言うとすれば、その脚本が出来すぎているところ、言うなればきっと、うまくいきすぎ!ってとこなんですが、それも前述したような「インドの社会が持つ期待感」の現れとして好意的に見れるもの。
ただ、本作はアメリカを始めとする各国でリメイクの話が上がっているようですが、先進国がこの映画を作ったところで“嘘っぽい映画”にしかならないと思うんですよ。
社会の状況の反映がない「きっと、うまくいく」はただのご都合主義でしかないわけですから。
そういう意味でも、この映画は今のインドだからこそ生まれた奇跡的な映画なんです!

とまあ、言いたいことはまだまだ尽きませんが、一言、ただただおもしろい映画だった本作『きっと、うまくいく』。
信じられないほどの精度での“笑って泣ける映画”っぷりにただただ感動することしか出来ませんでした。

今日の感想の中で既に何度も書いたような気もしますが、いや〜ホントに面白かった。
そして、今隣で超カワイイ寝顔で眠っている息子よ!好きなように生きろ。きっとうまくいく!!

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