クリストフ・ワルツとレオナルド・ディカプリオのノリノリっぷりがヤバい! 映画『ジャンゴ 繋がれざる者』ネタバレ感想

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2013年のアカデミー賞受賞映画がどんどんレンタル開始していますが、脚本賞と助演男優賞を受賞し、作品賞にもノミネートされていた本作『ジャンゴ 繋がれざる者』がようやくレンタル開始していたので早速観てみました。
つい最近このブログに感想をアップした『イングロリアス・バスターズ』に続くタランティーノ作品だったわけですが、いやー、やっぱり超おもしろいわタランティーノ映画!!

『イングロリアス・バスターズ』は史実を変えるという荒業が見ものでしたが、本作も“奴隷制度”というアメリカの歴史におけるどデカい過ちを真正面からぶっ壊す作品で。
それでいて、「反・奴隷制度」というテーマの物々しさを微塵も感じさせない超絶エンターテイメント作品に仕上がっているのがステキ!!
“マカロニ・ウエスタン”(=中身がない映画)をオマージュしまくった作品だからこそどこかバカバカしさがあって、それゆえにテーマの重さが気にならないという効果を生んでいる作品なんですが、じゃあ「マカロニ・ウエスタン」の知識がないとわからない映画なのかといえば全くそういうこともなく、単純に超おもしろい!
(事実、僕も「マカロニウエスタン」なんてまともに観たことないんだけど、それでも全然おもしろいですからね。)

なんなんでしょう、この奇跡のバランス!
さすがに「タランティーノ映画」というジャンルを確立し、その作風が世界に認められている“天才”の作品はすごい!!

『ジャンゴ 繋がれざる者』の作品概要

2012/アメリカ 上映時間:165分 R15+
原題:Django Unchained
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ワルツ、レオナルド・ディカプリオ

<あらすじ>
南北戦争直前の1858年、アメリカ南部。黒人奴隷として売りに出されたジャンゴは、元歯科医の賞金稼ぎでキング・シュルツと名乗るドイツ人に買われる。差別主義を嫌うシュルツはジャンゴに自由を与え、賞金稼ぎとしての生き方を教える。ジャンゴには生き別れになったブルームヒルダという妻がおり、2人は賞金を稼ぎながら彼女の行方を追うが、やがて残忍な領主として名高いカルビン・キャンディのもとにブルームヒルダがいるということがわかり……。

感想

81 100点満点 scored by ultimate-ezジャンゴ 繋がれざる者

というわけで、シンプルに「超おもしろい映画」だった本作『ジャンゴ 繋がれざる者』。
何がおもしろいって、一言で言えばセルフオマージュ的に「タランティーノらしさ」が溢れているところですよ!
この映画で初めてタランティーノの作品に触れる人が楽しめる映画なのかはよくわからないんですが、一度でもタランティーノ映画を観たことがあって、それをおもしろいと思ったのであれば本作は間違いなく楽しめるはずです。

オープニングシーケンスの音楽の使い方や、途中ではさまれる字幕・テロップでの遊び方が、いつものようにハイセンスで。
そして何より、ジャンゴ一行の正体に気がついたキャンディ(レオナルド・ディカプリオ)が黒人奴隷の頭蓋骨を片手に「骨相学的に骨のくぼみがうんたらかんたら」とキレ顔で語るくだりとか。
白人の農園主が主体となったKKKっぽい集団たちが「白い覆面を被るか否か」で揉めるくだりとか。
物語を進める上であんまり関係のない話をたっぷり時間を使ってしゃべりまくるシーンが最高です!

パルプ・フィクションレザボア・ドッグスでこの”タランティーノ映画の無意味な会話シーン”にはまり、そのオマージュと思しきシーンが多数あるジョジョの奇妙な冒険第5部が大好きな僕は、やっぱりこの“タランティーノ節”が大好き!
165分となかなか長い映画ではあるんですが、飽きが来ることはまったくなく。
ホントにあっという間に感じる映画でした。

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ただまあ、「タランティーノらしさが溢れる映画だった」っていうところを悪意を持って言い換えれば「過去作からの成長がなく、新たなことに挑戦していない映画」とも取れる映画ではあるわけで。
“らしさ”の安心感はあるんですが、“新鮮さ”に欠ける映画だといってしまえば、そういう側面があるのは否定出来ないわけです。

おそらくは“『奴隷制度』というアメリカ近代史の最もタブーな部分に切り込んだ”というのがこの映画一番チャレンジングなところで、そのことはおそらくすごくセンセーショナルなことだったんでしょう。
ただ、『奴隷制度』というものについて「昔そういう非人道的なことがあったらしいよ〜」という以上の知識を持っていない僕としては、そのセンセーショナルさはいまいちピンと来ないわけで。
「奴隷制」を破壊するヒーローが“黒人のカウボーイ”っていうインパクトも頭では理解できるんだけど、感覚的にグッとくる要素ではないわけですよ。
日本で生まれ育ったコテコテの日本人なもんで。

なので、「ヒトラーを殺して史実を変えてみせた。」そして、その歴史の改変は「“映画”によって成された。」という『イングロリアスバスターズ』のインパクトと比べると、どうしても本作の印象はやや弱め。

というわけで、僕の感想を厳密に言えば、「すげーおもしろかったけど、タランティーノ映画にしては普通。まあ、すげーおもしろかったけど。」という感じでしょうか。
いやまあ、すげーおもしろいんですけどね。

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とまあ、「すげーおもしろい」と書いておきながら、ケチをつけたような感じになってきましたが、あくまで「『パルプ・フィクション』を初めて観た時や、『イングロリアス・バスターズ』を初めて観た時のインパクトに比べるとちょっと、、、というだけの話。
本作が超おもしろいってのはゆるぎない事実です。

特に、事実上の主役であるシュルツ(クリストフ・ワルツ)と、悪役のカルビン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のノリノリっぷりがたまりません!
その他の登場人物たちにも言えるんですが、演者がこの映画を楽しんでいるってことが画面からビンビンに感じられて、そのノリに巻き込まれていくかのようにこっちもノリノリになってしまう作品なんですよ。
結局のところ、「このノリがすげー楽しかった」というのが本作の「おもしろさ」の本質なのかもしれません。

逆に、本来の主役であるジャンゴはその場その場の状況に流されていくだけで、一番目立たないキャラになっちゃっていて。
最終的に”囚われの姫を救うナイト”というヒーローの型を体現するという意味で主役の役目は果たしているんですが、完全にシュルツとディカプリオの二人に食われてしまっていました。
(と言いつつ、ファッション映画という意味でのジャンゴ(と、青い服)はちゃんと主役だったし、クライマックスでのグチョッとした汁っぽい銃撃戦も最高だったけど。)
それぞれが“ちょっとズレた正義”を胸に一歩も譲らない(特にあの当時の感覚から言えば、ディカプリオの“正義”こそが正しいんでしょうし。)言い合いはものすごい緊張感があったし、何より、シニカルなキャラクターに見えていたシュルツが最後に選んだ“あの結末”にはシビレました!!

『イングロリアス・バスターズ』も、実質クリストフ・ワルツが主役の映画でしたが、あのランダ大佐という超濃厚なキャラをさらに上回るようなシュルツのキャラは最高!
クリストフ・ワルツの怪演っぷりという一点だけをとれば、本作も『イングロリアス・バスターズ』に勝るとも劣らない作品でした。
(アカデミー賞を撮ったのが主演男優賞ではなく助演男優賞とういことなんで、やっぱり脇役ではあるんですけどね。)
乗ってる馬車(の上でブランブラン揺れる「歯」)からしてイカしたヤツでしたが、想いに殉じた生き様は本当にかっこよかった!

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そんなわけで、クリストフ・ワルツ演じるシュルツのキャラが最高な映画だった本作ですが、それが逆に欠点となってる部分もありまして。

というのも、シュルツとディカプリオのキャラがあまりに立ちすぎていて、二人が死んでしまって以降の展開がイマイチしまらないわけですよ。
一応、物語のラスボスとしてスティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)が出てきて。
コイツはコイツでジャンゴを食うくらいには濃いキャラで、かつ、“白人に媚びへつらい、同じ黒人を苛める黒人”という奴隷制度の嫌な部分を体現したキャラクターという意味で、本作のラスボスに最適な人物ではあるんですが、、、
やっぱりキャラが弱い。
いや、普通の映画だったら全然弱いキャラじゃないし、この映画においてシュルツとディカプリオの不在を補える人物なんていないんでしょうけど、どうしても失速感が…。

そして、スティーブンのキャラには1つすごくもったいないところがありまして。
スティーブンって足に障害を持っていて片足を引きずって歩いていたんですが、ディカプリオが死んでジャンゴと相対する時に、実は足の障害が“演技”だったってう展開があるんですよ!
そう、ユージュアル・サスペクツ好きにはたまらない、“引きずっていた足を正し、スクッと立つ”というシーンなんですが…、その後の展開が特に何もない!
ここで、「真の姿を見せたスティーブンがジャンゴを圧倒する」という一盛り上がりがあれば、スティーブンがラスボスでも全然問題なかったんですが、せっかくスクッと立った直後に足を撃たれて「この野郎!!ゆるさねぇぞー!」ともがいているだけですからね…。
まあ、その姿がおもしろくなかったのかと言えば、アレはアレでおもしろかったんですけど。。

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というわけで今日もまたダラダラと感想を綴ってしまい、ちょっと文句っぽいことも書いてしまいましたが、基本的にはすげーおもしろい映画。

「ここが面白い」というポイントはいくつもあるんですが、何よりも言いたいのは、本作が「クエンティン・タランティーノという監督が“やりたいこと”を詰めこんだ映画」であり、「クリストフ・ワルツやレオナルド・ディカプリオをはじめとする演者たちもまた、タランティーノ作品という土俵の上でやりたいことをやりきっている映画」だということ。
それが一視聴者である僕にもビンビンに届いてくる映画っていうところが素晴らしいんですよ!
先日の『パシフィック・リム』の感想でも、「やりたいことをやりきった映画だ!」と褒めちぎったんですが、拙いながら僕も“クリエイティブなお仕事”に携わっているわけで、こういう“作り手の情熱”にはグッと来てしまいます。

といいつつ、一方では『へルタースケルター』という映画を“蜷川実花がやりたいことをやっただけのクソ映画”みたいに酷評したりもしていることもあって、我ながらこういうところはダブルスタンダードだよな~と反省したりもしていて。
こうやって、観た映画の感想を理屈っぽく書いているわけですが、結局のところ「映画の良し悪しなんて「好み」の問題なのかな〜」っていう想いもあったわけなんですが、、、
今回『ジャンゴ』を観て気付かされたのは、そこにはやっぱり「好み」の問題ではなく歴然とした差があるということ。
『ジャンゴ』や『パシフィック・リム』だって、監督の“我”を通してやりたいことをやりきった映画なのは間違いないんですが、“我”を通すモチベーションが「本当におもしろい物を作りたい!」という情熱である作品は、(面白い・面白くないはあるかもしれないけど)間違いなく“好感”があるんですよ。

一方、「こうした方が楽」とか「こういうことやる私って、イケてるでしょ。」というスタンスで“我”が通されたと思しき作品って、やっぱり観ていて不快なもので。

観客に対して「見下ろした視点」で通された“我”とフラットな視点で通された“我”の違い、つまり「観客を楽しませよう」という作り手の想いが一番にあるかどうかって、やっぱりちゃんと画面から伝わるものなんですよ。

そういう意味で、本作『ジャンゴ』は、(“好みの問題としての好き/嫌い”はあるにせよ、)「面白い映画作ったから観て!観て!」という超フラットな“我”が垣間見える好感度が高い映画なのは間違いありません!
(本人登場のシーンも、「俺、こういうの大好き!」っていうのが伝わってくるもんな~。)

というわけで、なんだか2作連続で諸手を挙げての大絶賛な感想を書くと自分がすげーバカになったような気分にもなるんですが、今回もこの言葉で〆たいと思います。
『ジャンゴ 繋がれざるもの』、最高だった!!

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