ブラピのしゃくれ顔を観るだけで満足! 映画『イングロリアス・バスターズ』ネタバレ感想

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以前もこのブログのどこかで書いたかもしれませんが、僕は「戦争映画」ってものにかなりの苦手意識を持っていて。
かなり話題になって、かなり絶賛されている作品だったとしても、あまり自ら好んで戦争映画を観ようと思うことはありません。
(長崎出身ってことで、小学校低学年のころから夏休みの登校日に“原爆”関連の映像を見るという文化がありまして。あれはあれで大事な文化だとは思うものの、僕は『戦争』というワードに対して「戦争!怖い!!やだやだやだやだ!!」というスイッチが入るようになっちゃいました。。。)

というわけで、超おもしろいという評判を聞きつつも、ここまで避けてきてしまった本作『イングロリアス・バスターズ』。
『死ぬまでに見たい映画1001本』掲載の映画ってことで、覚悟を決めて観てみたわけですが、、、何コレ!超おもしろいんですけどぉ〜!!
いやいや、「こういうジャンルは嫌だ」という先入観・思い込みでこんな面白い映画を見逃していたなんてもったいなかった!

『イングロリアス・バスターズ』の作品概要

2009/アメリカ 上映時間:152分 R15+
原題:Inglorious Bastards
配給:東宝東和
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ワルツ

<あらすじ>
1944年、ナチス占領下のパリ。ナチスに家族を殺された映画館主のショシャナは、ナチス高官が出席するプレミア上映会の夜、復讐を果たそうと計画を練る。一方、ナチス軍人を標的とするアルド・レイン中尉率いる連合軍の極秘部隊「イングロリアス・バスターズ」も、ヒトラー暗殺を企て映画館に潜入するが……。

感想

88 100点満点 scored by ultimate-ezイングロリアス・バスターズ

というわけで、想像以上に“おもしろい映画”だった本作『イングロリアス・バスターズ』。
まあ“おもしろい映画”って抽象的な表現で、“おもしろい”にもいろんな意味合いがあると思うんですが、本作はただただ純粋に“笑える”という意味でおもしろい!
全編を通しての“会話の妙”と、B級感満載の数々の演出がたまんなくて。
そしてなにより、2時間半の間ずっと“若干しゃくれている顔”をキープしているブラピが完全にツボに入ってしまい、ちょっとシリアスな展開になっても「プッ」「くすくす」系の地味〜な笑いを止めることができませんでした。

そんなわけで、“ブラピの若干しゃくれ顔”を見ているだけでも2時間半飽きがこない映画ではあるんですが、それ以上に本作の見所はクリストフ・ヴァルツ演じるハンス・ランダ大佐大佐の存在感!

DVDのパッケージはブラピだし、クレジット上もブラピ主演ってことになってるんだけど、本作は完全にランダ大佐のための映画。
“会話劇”としての本作の印象は、ドイツ語・英語・イタリア語・フランス語を完璧に使いこなすランダ大佐によって牽引されていて。
さらに、「ドイツ将校を演じるイギリス人(ここにも出てますマイケル・ファスベンダー。いやー、この人もやっぱり存在感あるなぁ!)」や「イタリア人を演じるブラピ」の正体にいち早く気づき、いやらし〜く追いつめていくことで物語を勧めていくのも、ランダ大佐の言語力がカギ。
印象の面でもストーリーテリングの部分でも“ランダ大佐の外国語ネタ”が本作の最重要ポイントになっているわけです。

そして、英語すらまともに使いこなせない僕は、クリストフ・ヴァルツが各言語をどのくらい流暢にしゃべっているのかはよくわからなかったりするものの、例えばブラピが使うイタリア語がひっどいカタコトなのはさすがにわかるわけで。
“白いタキシードで、若干しゃくれながら珍妙なイントネーションのイタリア語を話すブラピ”でしっかり笑わせてくれて。
これは監督の演出が巧いのか、ブラピ演技が素晴らしいのか、はたまたクリストフ・ヴァルツの完璧な外国語が効いているのかはよくわかりませんが、“ヨーロッパにおける外国語ネタ”という日本人にはとっつきにくい題材でこんなにわかりやすいエンターテイメント作品になっているなんてすごいもんです!
(外国語ネタという意味では序盤の“めっちゃ流暢に英語を話し出すフランス酪農家”のシュールさも笑えたんですが、その笑いが冷め切らないタイミングで超シリアスな展開に凹まされてしまいました。)

タランティーノ監督の映画って確かに“会話のおもしろさ”が売りの映画というイメージはあって。
僕は『ジョジョの奇妙な冒険』というマンガが大好きで、かつイタリアを舞台とした「第5部」が好きなんですけど、ジョジョ第5部の「唐突にはさまれる本編に関係のない会話(と、会話途中の“間”や“ナランチャのまぬけ面”)とか、「日常会話を通してキャラをたたせていく演出」とかって完全にタランティーノ映画、特にレザボア・ドッグスの影響がアリアリで。
まあ端的に、「ジョジョ第5部が好き」⇒「タランティーノいいね!」という順番でハマっていった僕としては、“僕の思うタランティーノらしさ”の集大成と言える“会話劇”な本作はそもそもツボだったってことなのかもしれません。

いやー、改めて、こんな映画を観ていなかったなんてもったいなかった!!

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さらに、全編を通しての“B級映画”っぽかったり“マカロニウエスタン”っぽかったりする演出もいちいちおもろい!

マカロニウエスタンっぽい妙に情熱的な音楽でバスターズの面々を紹介する演出はいちいちくだらないし(いい意味で)、特に「ユダヤの熊」ことドニー・ドノウィッツ(イーライ・ロス)の登場シーンの意味無くもったいぶった演出は一体何がしたいんだ!(褒め言葉)
「ナチス兵を拷問して殺害、さらにアーミーナイフで頭皮を剥ぎ取ってコレクション」「全滅させずに一人だけ逃がすんだけど、額にハーゲンクロイツの傷を刻んだ上で解放」と、残虐な行為を繰り広げる「バスターズ」なんですが、ミスマッチな音楽や、ヒーロー物のようにタイトルのカットインなど小ネタっぽい悪ふざけが満載で、超楽しい!!

「プレミア大作戦」の時の手書きのテロップ芸もまったく意味がわからないんだけど、「おもしろいからいいんです!」という勢いに完全にやられてしまいますよ、コレは!!

さらに、“悪ふざけ”が行き過ぎて“何でもあり”のレベルまで行っちゃってるのが「プレミア大作戦」の“オチ”ですよ。
というのもほら。
こういう歴史上の人物が出てくる映画って、それなりに脚色はするにしても“史実に沿う”のが当然だという前提があるじゃないですか。
そして、決して歴史に明るいわけではない僕であっても、「ヒトラーがあんなとこで死んでない」ってことくらいは知っているわけで、そうなると「プレミア作戦」は失敗するってことを想定しているのは当然のこと。

そういう前提で見ていると、どんどんことがすすんで「あれ?このままじゃ『プレミア大作戦』成功しちゃうぞ。どうすんの?どうすんの?」と思っていると、、、ヒトラー死んだぁぁぁ!!!!!
実は死んだのは影武者で、、、みたいな展開もなく、ごくごく普通に蜂の巣になって死んだ!!

正直、ぽっと出の無名の監督が、こんな風に史実を捻じ曲げたような映画を撮ったらボロクソに叩かれるんじゃないかって気がするんですが、これを“良し”としてしまうのが“クエンティン・タランティーノ”というブランドの力なんでしょう。
そして、どんだけ突飛なことをしていたとしても、結果的に「超おもしろい」んだからそりゃあ全然OKですよ。

さらに、この「面白ければ歴史を変えてもいいじゃない!」って展開が、“映画で歴史を変える”展開になっているところがニクイ!!
「“戦争”だとか“暴力”だとかってものは、映画館の中で完結させる!」
それがタランティーノがこめたメッセージなのかどうかもよくわからないんですが、ゲラゲラと笑いながらも僕はそういうメッセージを受け取ってしまいましたよ。

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というわけで、純粋に“おもろい映画”という意味で、非常に満足度の高い映画だった本作『イングロリアス・バスターズ』。
2時間半という上映時間はやや長めではあるものの、まったく飽きが来ず、終始ハイテンションで鑑賞できる映画でした。

それは上述したような細かいネタがことごとくおもしろいという点はもちろんのこと、物語をしっかりと章立てて、全5章の連載っぽく見せてリズムを作っているのも巧いところ。
そして、ブラピを中心としたバスターズの話と、ショシャナをメインとした話の2本が並行で進行し、「第4章:プレミア大作(OPERATION KINO)」から「第5章:巨大な顔の復讐(Revenge of the Giant Face)」の中でで並行する話が交錯するんですが、最後までバスターズとショシャナはお互いを認識していないというプロットの重なり具合も絶妙!
「複数の伏線が一本に繋がる」というわけではなく「伏線が一瞬だけ絶妙に重なり合う」というバランスが見事。
純粋に“よくできたプロット”として楽しさでも、ぬかりない作品なのでした。

そして最後に、「ナチス」といえば“プロパガンダ映画”を製作したり、制服や敬礼の仕方などで“ブランディング”していたことが有名で。
もちろん虐殺行為は最悪なんですが、現代社会においても参考になる部分ってすごくある組織だったりします。

そんな「ナチスのセルフブランディング」の一翼を担った“プロパガンダ映画”でもある『国民の誇り』という作中作が、結構しっかりと作りこまれているのも、これまた見もの。
もちろん、狙撃兵が敵を撃ち殺していくだけの映画で決しておもしろいものではない(主演のフレデリックの空気の読めなさが単純にキライってのもありますけど。)んですけど、こうやって国民を洗脳していったのか!という資料的な意味でも一見の価値がありました。

まあ、ブランド力という意味では、何の説明も無いまま登場したにもかかわらず、ぴっちり横分けとちょび髭で「あ、ヒトラーだ!」と認識させてしまうヒトラーのアイコン性の高さに勝るものも無いんですけどね。
<参考:ヒトラー〝激似〟やかん広告 全米騒然!?

というわけで、情報量がかなり多めの映画で、いろんなところに見どころが散りばめられていて、2時間半ずっと楽しい気分でいさせてくれる映画だった本作。
まあ、冒頭でも書いたとおり“ブラピの顔”がツボった、という部分が大きいのかもしれませんが、とにかく楽しい。
最後の最後で、超頭脳のランダ大佐よりも、ブラピのDQNが勝ってしまうオチも「う〜ん。」と思える展開ながら、そのときのブラピがおもしろいんだから、いいんです!!

というわけで。どうやって今日の感想文を終えたらいいのかわからない感じにダラダラしてきましたが、まあそれもいいでしょう!
やはり、“楽しい”は正義です。

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