う〜ん。モヤッとする。。。 映画『オブリビオン』ネタバレ感想

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「エイリアン襲来!」といえばSFの超定番設定ですが、エイリアン襲来の“その後”の有り様を描くという観点にグッと引かれる本作『オビリビオン』。

白を基調とした無機質な近未来描写は超イケてるし、二転三転していくストーリーも想像以上。
そういう意味では“教科書通り”な理想的SF映画なんですが、、、うーん、なんでしょう。。。
「いや、お前らがそれでいいんなら、それでいいんだろうけど、、、う〜ん」という、非常にモヤッとした余韻を残す映画でした。

うん。まあ、いいんだけどさ。。

作品概要

2013/アメリカ 上映時間:124分 G
原題:Oblivion
配給:東宝東和
監督:ジョセフ・コジンスキー
出演:トム・クルーズ、オルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン、メリッサ・レオ

<あらすじ>
スカヴと呼ばれるエイリアンの攻撃により地球が壊滅し、生き残った人類は遠い惑星へと移住を余儀なくされる。最後まで地球に残り監視任務に就いていたジャック・ハーパーは、ある日、墜落した謎の宇宙船の中で眠っている美女を発見。彼女を保護したジャックだったが、そこへ現れたビーチと名乗る男に捕らわれてしまう。ビーチはジャックに驚くべき真実を告げ、そのことからジャックと地球の運命が大きく動き始める。

感想

44 100点満点 scored by ultimate-ezオブリビオン

というわけで、のっけからネガティブなことを書いてますが、正直、映像的にもプロット的にも全然悪くない映画ではありました。

まず本作の舞台設定として、「スカヴと呼ばれるエイリアンの襲来を受け、その戦いに勝利した後の世界」というのがおもしろい!
スカヴたちが「月」を破壊したことにより地震と津波が多発⇛地球はガタガタ。さらにスカヴを撃退するために核兵器を用いたことで放射能汚染も深刻。
そのため人類は木星の衛星「タイタン」への移住を計画し、暫定の拠点である「テット」という巨大建造物を地球の軌道上に置き、海水を吸い上げ核エネルギーを集めているというのが映画の前提となる人類の現状
地上にはスカヴの生き残りたちが生息しており、エネルギーのための吸水プラントを破壊するというゲリラ活動を続けているため、吸水プラントの護衛ミッションを担い地球に駐在しているのがジャック(トム・クルーズ)とヴィクトリアの二人というわけです。

上述したように「人類がエイリアンを撃退した後の世界」という舞台がおもしろいことに加え、「勝利した側の人類が地球を追われている」というありえそうな設定がまたおもしろい!

さらにジャックとヴィクトリアが暮らす家のデザインがすさまじく洗練されていて、SF映画好き的にグッと来ます!
あの細〜い柱といい、透明プールの浮遊感といい素晴らしい!
(まあ地震多発しているとは思えないデザインですが。。ヘリポートから家への通路の手すりの切れ目も危ない!!

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ジャックとヴィクトリアは、“記憶を抹消されて”任務についているという設定なんですが、ジャックにはうっすらと以前の記憶があって、その記憶の中に登場する女性の姿を追っているところがあったりして。
一方のヴィクトリアは、過去なんてどうでもいいんだから、淡々とミッションをこなしてタイタンで暮らそうよ!というスタンス。
まあ、序盤から明らかに「ジャックの記憶を疎ましく思っている」感に溢れているんですが、もちろん「オブリビオン(忘却)」というタイトルからもわかるように、この“忘れていた記憶”が本作のキーになっています。

中途半端に記憶が残っているせいで、ヴィクトリアに対しても、テットにいるボスに対しても“しこり”のようなものを感じているジャックですが、まあそれはそれ。毎日、淡々と任務をこなしています。
そんなある日、スカヴが宇宙へ向けて“何かしらの信号”を発していることを確認。
信号の内容を解読してみると、それはどこかの位置座標で。
ジャックがその場所に行ってみると、いきなり宇宙船が飛んできて不時着。
「スカブの援軍か!」と思いきや、、、宇宙船はかなり旧型の地球製で、中に数台の冬眠ポットを発見。
その中にいたのは、、、なんとジャックの記憶の中にいた女性の姿だった!!
さらに、その場に到着した「ドローン」(テットを護衛しスカブと戦っている自動操縦の飛行ロボット)が宇宙船を攻撃。
冬眠ポットをドカンドカン破壊し、さらにはジャックへも攻撃をしかけてきて。

なんとか「謎の女性」を救出するんですが、意識を取り戻した彼女がジャックの名前を口走ったことから物語は怒涛の展開を見せます。

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さて、ここからはガッツリネタバレです。

ネタバレ①:「スカヴ」は宇宙人ではなく人間だった!

本作の大きなキモとなる展開がコレ。
実は「テット」こそが宇宙からやってきた存在で、人類の敵だったんですよ!

どこからやってきた「テット」は月を破壊し、人類を駆逐し、地球のエネルギーを吸い生きている存在で。
そんな「テット」に対し、地球を取り返すべく戦いを仕掛けていた人類の生き残りこそがスカヴだったわけです。

というわけで、「テット」が人類の暫定拠点だったというのは。タイタンに移住する話も。ジャックはテットに利用されていた「駒」だったというわけです。

まあ、世界観がひっくり返る展開ではあるんですが、いかんせん、予告編でモーガン・フリーマンが出まくっていて、かつ、いかにも「レジスタンス」な佇まいから“スカブ=モーガン・フリーマン”っていうのは映画の序盤でモロバレだったわけで。

ここはちょっと予告編でうまいこと隠して欲しかったッス。。。

ネタバレ②:ジャックとヴィクトリアはクローン人間だった!

ビーチ(モーガン・フリーマン)と知り合ったことで真実を知ってしまったジャックですが、「テット破壊を手伝ってくれ!」という依頼にはなかなか乗れず。
じゃあ、「放射能汚染区域に行ってみろ。そこに真実がある」との言葉を受け、今まで立ち入ったことのない汚染区域へ。
そこで見たものは、、、もう一組のジャック&ヴィクトリア!

そう、実はジャックとヴィクトリアは「テット」により精製されたクローン人間。
最初は「テット」による人類殲滅の先兵として、後に「ドローン軍団」のメンテ要因として、数千人という規模で量産されていたんですよ。
放射能汚染区域というのは、そんなクローン同士が鉢合わせしないように区分けされていただけの区域だったというわけです。

いや〜、これは素直に驚きました。

ネタバレ③:ジャックとジュリアは夫婦。さらにジャックとジュリアとヴィクトリアは同じ宇宙船の搭乗員だった

ジャックに残っていた記憶は、「テット」襲来以前の記憶で、そこにジュリアが存在していたのは二人が夫婦だったから。
さらに、ジュリアが乗っていた宇宙船ですが、実はジャックとヴィクトリアも同じ宇宙船の乗組員だったことが判明します。

宇宙船は元々、「タイタン移住計画」に向けて打ち上げられたものだったんですが、航行中に「テット」が出現。
即座に「テット」の調査へとミッションが変更されたんですが、ジャックとヴィクトリア以外の乗員は人口冬眠中。
そのまま調査を進めていたんですが、「テット」に近づいた時点で宇宙船は操作不能に。
ジャックの判断で「冬眠ルーム」を切り離し(信号によって地上に戻れるはずだから)、ジャックとヴィクトリアを乗せた司令船は「テット」に吸い込まれてしまいます。

ジャックとヴィクトリアは「テット」に取り込まれ量産化され、記憶を消されて人類を攻撃。(もともとジャックへ好意を持ち、その反動でジュリアへの敵意を持っていたくさいヴィクトリアは、本当に記憶を消されているのかはちょっと怪しいんですが。。)
“人類の希望”としてタイタンへと旅立ったジャックが、人類に“絶望”を告げる兵士になる、という展開と、それを仕掛けた「テット」が残酷でヤラシイ感じ。
なかなか素晴らしい「悪」です。

ただ、ここでもちょっと気になるのは、不時着した宇宙船のフライトレコーダーの存在。
回収されたフライトレコーダーによって、ジャックとヴィクトリアがテットに吸収される様子がわかったんですが、、、フライトレコーダーが搭載されていた「冬眠ルーム」は切り離されていたはず。
なぜフライトレコーダーに記録が残ってたんだろうか。。。

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というわけで、もろもろのネタバレを経て真実を把握したジャックは、スカヴへの協力を決意。
改造ドローンに爆弾を乗っけて「テット」へ向かわせようとするも、寸前でドローン軍団に襲われてしまいます。
なんとか撃退に成功したものの、改造ドローンは破壊され、ビーチも重症を追ってしまいます。

しかし、「ここまできたんだやったるわい!」ということで、バトルシップで「テット」まで赴くことを決めるジャック。
ジュリアもそれに付いて行くと言い張り、それを了解するジャック。
ジュリアを寝せた冬眠カプセルをバトルシップに積み込み、テットを目指し飛び立ちます。

ここで最後の展開として非常に面白かったのが、テットとジャックのやりとり。
テットはジャックの言葉の嘘を見抜くことができるらしく、「嘘をついたら入れてあげないよ!」と強硬姿勢。
とは言え、「お前をやっつけるために爆弾持ってきたよ!」と言ったからといって中に入れてくれるはずもありません。
じゃあ、ジャックは訪問の目的をどう告げたかというと

ジュリアを生かし、人類を存続させるため

と告げるわけです。

それを聞いた「テット」は、「ジュリアと一緒に約束通りタイタンに連れて行って下さい。 地上の奴らはやっちゃっていいんで、オナシャス!」という意味と捉え、進入を許可するわけですが、これは当然ジャックが仕掛けたトリック。
冬眠カプセルから出てきたのはジュリアじゃなくてモーガン・フリーマン!!(ここ、マジでかっこよかった!このおっさんが画面に登場したときの存在感はやはり唯一無二!!)
そう、ジャックの言葉の意味は「ジュリアを生かし人類を存続させるため、ジュリアには安全な場所に置いて、俺らだけで特攻にきたんでヨロシクッ!」っていう意味だったわけです。(まあ、冬眠ポットの中身はカラっぽでもイケたんじゃない?と思わなくもないけど、モーガン・フリーマンがクソかっこよかったのでコレはコレで無問題!!)

人は皆死ぬ。問題は、どう死ぬかだ。
という古代ローマ叙情詩の一説を口にし“人間らしい”死に様を見せるジャック。
「テット」は無事に破壊され、地上のドローンも同時に行動停止。
ついに、人類による地球奪還が成し遂げられるわけです。

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というわけで、地球はぼろぼろの状態とはいえ、人類の勝利によるハッピーエンドを迎えた本作。

ジュリアの冬眠ポット以外はドローンに破壊されたはずなのに冬眠ポットが2台あるという、ジョジョの奇妙な冒険のDIOの棺おけが2つあるんじゃないか問題を髣髴とさせる矛盾点なんかが気になったりはするものの、「綺麗な映像」「二転三転するプロット」、そして何より「最後のトム・クルーズ&モーガン・フリーマンのしてやったり顔のかっこよさ」に結構満足してたんですが、物語はまだちょっとだけ続きまして。。。

場面はジャックの隠れ家。
ジュリアの冬眠ポットが運ばれた“安全な場所”だったんですが、どうやらそのままその山小屋で生活を続けていたらしいジュリア。
その傍らには2、3歳くらいの女の子。
ジャックとジュリアが過ごした一晩に仕込んだのか、冬眠前にすでに宿っていたのかは謎ですが、ジュリアは一人で子どもを育てながら暮らしているようです。

そこへ、突然現れた小さな男の子。
「ママ〜、誰か来たよ〜」と興味をしめている女の子と、少年に気づいて顔を上げたジュリアの前に、続々と姿を見せる元・スカヴの面々。
「ようやく見つけた」的なナレーションと共に現れたのは、、、ジャック!!
そう。爆死したジャックとは別のジャックが、ジュリアの元へと現れるのです。

「僕はジャック・ハーパー。家に戻った」というジャックの独白ナレーションで今度こそ映画は終わります。

…。

いやー、まあジュリアが幸せだったら別にいいんスけどね。
ジャックとジュリアの結婚生活の記憶はクローン化以前のものなんでジャックの“ジュリアのことを愛している気持ち”に嘘はないんだろうし、ジュリアが妊娠したのが冬眠前だったとしたら倫理的にも全然問題ないわけで。
「クローン同士が記憶を共有している?」みたいな似非科学的な矛盾は存在してないので、別におかしいところはないんでしょうけど、、、本当にあんたらはそれでいいの?
「ところでもう一人のヴィクトリアはどうしたの?」って言う点も気になるんですが、それ以前に「別人なんだけど、本当にそれでいいの?」という疑問を、どうしても拭い去ることが出来ません。
いや、もちろん親子三人で暮らした方がいいに決まってるし、本人たちがこれを“再会”と呼ぶのならそうなんでしょうけど。

う〜ん、モヤっとするなぁ。。。

というわけで、絵的にもお話的にも“よくできてる”と思うし、特に映像面のクオリティはすごいので「映画館で観たほうがいい作品」だとは思うものの、あまりにスッキリしない後味をどう収めればいいのかがわからなくなる“モヤっと作品”なのでした。
「予告編で全部ネタバレ」とか、「設定に無理がありすぎ」なんていう理由からゲンナリしてしまうSF映画は数あれど、こういうモヤッと感でノレないSF映画は個人的に初めての経験。
スパッとDisれる駄作SF映画の方が、スッキリ出来る分楽しめるのかもしれないな〜、なんてことを思ってしまうのでした。。。

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