グラップラー刃牙が好きならば、ラストの展開はアツい!! 映画『闇を生きる男』ネタバレ感想

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『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』に続き、(たぶん)人生で2本目のベルギー映画。
ベルギー映画をリメイクした『LOFT~完全なる嘘』というオランダの映画もありましたが、本作はそのオリジナル版の監督が撮った映画です。

ベルギー映画って、アメリカ映画やフランス映画といった映画先進国の映画に比べるとどこか不思議なバランス感覚といいますか。
こんな言い方をするのもなんですが、「あまり洗練されていない」という印象を受けるんですが、本作もそんな感じ。
決しておもしろくないこともないんですが、やたらと“暗〜い”映画で。
でも、その割に、そこから何かしらのメッセージ性を感じさせるかといえば、それもイマイチよくわからない映画でした。

『闇を生きる男』の作品概要

2011/ベルギー 上映時間:124分
原題:Rundskop
配給:アース・スターエンターテイメント
監督:ミヒャエル・ロスカム
出演:マティアス・スクナールツ、イェルーン・ペルスバール、バーバラ・サラフィアン

<あらすじ>
ベルギーのフランドル地方で畜産業を営むジャッキーは、ある日、精肉業者から怪しい仕事の依頼を受ける。商談に出かけると、そこにはジャッキーの幼なじみで、過去のある出来事をきっかけに関係が絶たれたままだった男、ヂエーデリクがいた。同じ頃、家畜ホルモンの不正使用を調査中だった捜査官が殺される事件が発生し、そのことをきっかけにジャッキーの暗い過去の秘密が暴かれていく。

『闇を生きる男』の感想

37 100点満点 scored by ultimate-ez闇を生きる男

というわけで、少なくとも「大絶賛!」とは言い難い映画だった本作。
終始「つかみ所がないな〜」と感じる映画なんですが、そもそも、“フランドル地方の風土”故のネガティブさみたいなものが根底にある映画で、「ベルギーのお国事情はさっぱり。。」という僕の無知さが原因という面もありそうです。

ある意味、本作は「マフィア映画」でもあるんですけど、いわゆる“映画”に出てくるマフィアやヤクザとは全然違っていて、本作に登場するマフィアは「ホルモンマフィア」と呼ばれている輩。
ホルモンマフィアっていうのは、「禁じられているホルモン剤を牛に不正投与⇒急激な成長を促し利益を得ている人たち」のことなんですが、「カネ」の周りに悪い人たちが集まってくるのはどこの国も一緒とは言え、“ホルモンマフィア”なるものの存在すら知らなかった僕には、その存在だけで驚きの対象です。
(“ホルモンマフィア”っていう名前の響きの時点で、なんていうか!インパクツ!

本作は実際に起きた事件を元に作られているようで、“ホルモンマフィア”も実在している(いた?)存在。
いやー、全然知らなかったけど、ベルギー恐るべし!

と同時に、こういう“自分が知らない世界”を教えてくれるのが、映画なわけで。
邦画やアメリカ映画、フランス・イギリス・イタリアあたりのヨーロッパ主要国の映画だけじゃなく、たまにはあまり馴染みがない国の映画を観るのも、面白い発見があるものです。

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さて、そんなわけで早速話が脱線気味ですが、本作のあらすじはざっくりとこんな感じ。

主人公のジャッキーは父親の跡をついで畜産業を営んでいる男。
一見するとちょっと血なまぐさい、”屠殺場”的な場所で働いている男です。
顔はなかなかのイケメンで、肉体は猛烈にマッチョ。
やたらめったら怒っている印象から、どこか「闘牛」っぽい印象を受けます。
(現代のRundskopは「牛の頭」という意味らしく、ジャッキーのキャラクターを意味しているのかな〜という感じです。)

イケメンマッチョなのでモテないわけはなさそうなんですが、仲間から風俗に誘われても、なぜかそれを拒否。しかも全力でブチ切れながらの拒否!
超まじめキャラなのかと思いきや、実は彼には壮絶な過去があったことが判明します。
(ちなみに、ベルギーの風俗的なお店は、ガラス越しに本人の容姿を直に確認してからお買い上げいただけるシステムのようです。日本でも大阪の飛田なんかは似たようなシステムらしいですが、画期的ですね!いいね!

そして、その“壮絶な過去”というのが、男なら直視できない超絶ヘビーなものでした。

ジャッキーが暮らす地方は、ご近所のほとんどが畜産で生活を成り立たせているような地域なんですが、その一体を牛耳っているシェパーズ家という一家があります。
少年時代のジャッキーは、ある日、友人のヂエーデリクと一緒に父親の仕事について行く形でシェパーズ家を訪れます。
シェパーズ家には、ジャッキーやヂエーデリクと同い年くらいの娘(ルシア)がいて、その子がなかなかの可愛い子ちゃんなもんで、ジャッキーとヂエーデリクはルシアを見ながらひそひそ話。“男子”らしくニヤニヤとしていたわけです。

そこへ現れたのがルシアの兄でブルーノという男。

ブルーノは、ジャッキーたちより一世代上くらいの年齢(小学校3〜4年生くらいのジャッキーたちに対し、中学生or高校生くらいのブルーノ。まあ、この年齢においては“絶対に逆らえない伝説のパイセン”くらいの立ち位置という感じ)
別にルシアをバカにしたわけでもないのに、なぜか激昂しています。
後にわかることですが、このブルーノという男はちょっと頭が壊れ気味の男で。
「おい!おまえルシアとやりたいのか!じゃあ金払え!ゥオラァァッ、シャぁぁッッ!」と謎のテンションでキレまくりです。

その場は、双方の親の登場でなんとか収まったものの、それから数日後に再びブルーノと遭遇してしまうジャックとヂエーデリク。
しかも、取り巻きを引き連れたブルーノが、新しく入手したエロ本を“使おう”としている時という最悪のタイミングでの再会です。
興奮状態のブルーノはジャックを追いかけて、そのまま羽交い絞め。
ズボンとパンツを下ろして「この野郎!おまえのキンタマを潰してやるぞ、ゥオラァァッ!」という謎のテンションで石を持った両手を振り上げて挑発!
それを見た取り巻きも「フォォォ〜!!」と変なテンションなんですが、ブルーノの発言は挑発ではなくガチ!
本当にジャックのキンタマめがけて石をフルスイングしてしまいます。

嫌〜な音がして、激痛のあまり気を失うジャック。
ブルーノだけはさらにテンション上がってますが、さすがに周りの取り巻き立ちも「そこにシビれる!あこがれるゥ!」とはならずにドン引きです。

やがて、ブルーノはドン引きしている取り巻き連中を連れて悠然とその場を去り、その場面を草陰から見ていたヂエーデリクも、あまりのことに怯えまくり。
気絶しているジャッキーを置いたまま逃げてしまいます。

ジャッキーが再び目を覚ましたのは病院。
医師がジャッキーの父親に言うことには、「ジャッキーはこれから第一次性徴期を迎えるが、睾丸が無いとホルモンが分泌できず、体の成長も止まってしまう。そのため注射によるホルモン投与が必要」とのこと。
ちなみに、「ジャッキーが“男”として生きていけるのか?」という点を気にする父親に対する医師の見解は、「射精はできるが勃起は出来ないかも」とのこと。
「射精:可/勃起:不可」というのがイマイチどういう状態なのかわかりませんが、風俗を嫌悪していたジャッキーには、こういう過去があったからだったというわけで。
体がムキムキなのも、成長に必要不可欠なホルモン剤の注射を20年間続けてきたから、というわけなのでした。

いやー、それにしても、この上なく“壮絶”な過去。
正直、直接的なシーンは(局部の描写は無いものの)正視に耐えず。“タマヒュン”“チンサム”なんていうレベルを軽く逸脱していましたよ。。。

その後、ブルーノの行為を訴えようと、ジャッキーの父親はヂエーデリクに証言を依頼するんですが、ヂエーデリクの父親が「シェパーズ家に逆らうと、この辺りで仕事を続けられない」ってことで証言を拒否。
結局、ジャッキーとヂエーデリクの仲もそれきり。疎遠になってしまいます。

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そんなジャッキーとヂエーデリクが再会するのは、“事件”から20年後。
ジャッキーのもとに“うまい話”を持ってくるのがヂエーデリクなんですが、その“うまい話”っていうのが、冒頭でも触れた「ホルモン・マフィア」がらみの話です。

そんなわけで「不正ホルモン」話に首を突っ込むことになるジャッキーなんですが、そのタイミングでホルモン・マフィアを追っていた警察官が射殺されるという事件が発生。
事件の際に使用された車の所在なども絡んできて、ジャッキーは「ホルモン・マフィアによる警官殺し」という大事件にも巻き込まれてしまいます。

ちなみに、ジャッキーに近づいてきたヂエーデリクは20年の時を経てガチホモに成長しており、警察の一人に“色恋”を仕掛けられて警察のスパイだったという展開。
“タマ”をなくしたジャッキーではなく、親友が“タマ”を失う瞬間を目撃したヂエーデリクの方がゲイになっているというのは、なかなか興味深い展開でした。

そんな“警官殺し事件”と時を同じくして、ジャッキーはルシアとも再会します。
いまだにルシアに対する恋心を持っているっぽいジャッキーはルシアに接近。
ルシアは、目の前のゴリマッチョが、兄によってタマを潰されたあの少年であることには気づきません。

とまあ、ここまではまだなんとなくジャッキーの気持ちに共感しながら見ていたんですが、ここからの展開はちょっとついていけない感じ。

というのも、クラブでルシアにちょっかいを出している男(別にルシアはそんなに嫌がっている様子もない)を追いかけ、フルボッコ。
「二度と目覚めないかも」という完全に“植物状態”というレベルにまでノしてしまいます。
さらに、“タマ”を潰した張本人ブルーノの消息も掴むジャッキー。
ブルーノは少年時代以上に精神を病んでいるらしく、今は病院に収容されているんですが、その病院にまで押しかけ、もはやまともな返答も出来ないブルーノを徹底的に脅しまくる始末。
心底怯えきったブルーノの表情は、これまたなかなかインパクトのある映像に仕上がっていました。

いや〜。
投与している“ホルモン”の影響やトラウマ的な過去の影響もあって、そういう意味では同情の余地が多分にあるとはいえ、ジャッキーの常軌を逸した暴力性はなかなか共感はしがたい!

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その後、ブルーノの病室に残された痕跡から、ジャッキーこそが“あのときの少年”であることに気づいてしまうルシア。
少しづつジャッキーに心を開き、好意を持ち始めていたんですが、「自分に声をかけた男をフルボッコ」の件と「ブルーノへの復讐行為」にドン引き。
ジャッキーへの気持ちは、一気に冷め切ってしまいます。

その頃、「ホルモンマフィア」の罪をかぶせられてしまったジャッキーは警察から追われる身へ。
ヂエーデリクの協力で一旦は逃亡に成功し、行き場のないジャッキーはルシアのアパートを訪ねるんですが、すでに“想い”のないルシアは、ジャッキーの所在をあっさりと通報してしまいます。

そして、ここからがクライマックス。

警察が迫っていることを知ったジャッキーは、ルシアの家のバスルームで手持ちのホルモン剤をありったけ投与
錠剤をガブガブ食らい、何本も注射を打ち。バッキバキの肉体で、大挙する警官を迎え撃つわけです。

そう。その姿、まさにジャック・ハンマー!!
『グラップラー刃牙』好きならば、この映像だけでアガります!!

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Yes!マックシング!!!

いやー、ここに至るまでのの長い(そして、あまりおもしろくない)展開も、この瞬間への助走と考えれば許せるほどに、このシーンはアツイ!!!
ただし、バキ的な意味でアツイだけで、映画としてはまあ、、、まあね。。という感じなんですけどもッ!

その後、“ダイヤモンド”とも称される「日に30時間の鍛錬という矛盾のみを条件に存在する肉体」で大暴れしたジャッキーは、警察側にも多大な損害を与えながらも、警察の銃撃を受け死亡。
親友だったヂエーデリクが最後の最後に味方になってくれたものの、最後までとことん悲惨だった人生に幕を閉じます。

いや〜、巨凶範馬の血を引いてるんなら、あれぐらいの人数にやられてしまっちゃダメだけどね〜!だから親父に「ヤツは範馬の血が薄い」なんて言われるんだよ!(あれ?これ、何の感想だっけ?)

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というわけで、「グラップラー刃牙的な意味ではアツい!」という一点を除いて、どこまでも暗く、ズッシリとくる映画だった本作『闇を生きる男』。
舞台となるベルギーのフランドル地方が持つ、多言語・多人種を抱える地方の確執など、そもそも映画の前提となる“背景”を理解できていない部分もあるとはいえ、「何を思えばいいんだろう。。。」というスッキリしない余韻を残す映画でした。

最終的に僕がかろうじて受け取ったテーマ性といえば、「結局、運命は変えられない」という不条理さだけなんだけど、これをテーマと受け取ってしまっていいのだろうか。。。

というわけで、あらすじを追いかけながら長々と駄文を書き綴ったわりに、なんともしょうがない着地をしてしまった今日の感想文。
結果的に「ジャック・ハンマーっぽいところがヤバかった」というアホ丸出しの感想になってしまったことについては、謝男(シャーマン)ばりの“比類なき土下座”でもって誤りたいという気持ちでいっぱいなのでした。

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