こんなチームはイヤだ。 映画『インセプション』ネタバレ感想

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感想を一言で言ってしまえば「よくわからなかった」という感じ。
正直、開始10分で「うーん、まったくわからん!」とサジを投げたくなる展開で、基本的にはまったくついていけなかった感すらあります。

背景に綿密な設定があるのは理解できるし、それをちゃんと理解したうえで観ると納得がいくのかもしれないんだけど、いやいや「“映画内で”、もうちょっと説明してくれよ!」といいたくなってしまって。
まあ、『ダークナイト』シリーズのもろもろや、『プレステージ』の“あの理屈”をまったく説明しなかったことを考えると、これがクリストファー・ノーラン監督の作風ってことなのかもしれませんが、それにしてもねぇ。

もしかすると僕の頭が悪いからよくわからなかったんじゃないかってことに薄々気がついてもいるんですけど、、みんな、初見からこの映画についていけるもんなんでしょうか?うーん。。。

作品概要

2010/アメリカ 上映時間:148分 G
原題:Inception
配給:ワーナー・ブラザース
監督:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、エレン・ペイジ

<あらすじ>
人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる。

感想

58 100点満点 scored by ultimate-ezインセプション

さて、そんなわけでツッコミどころ満載の一作だったわけですが、一番の問題点はやはりその説明不足ぶり。
特に、オープニングから序盤の展開はかなり難しいものがありました。

本作のオープニングって、実は物語終盤のシーンになっていて、オープニングで提示されるシーン“までに”起ったことが映画の本編という、ちょっと複雑な構造で。
まあ、こういう構成自体は特別珍しいわけでもないんですが、本作の場合はそもそもの設定も複雑で、物語の真のスタートが「夢の中」の世界。
しかも、ただの「夢の中」じゃなくて、「夢の中で観ている夢の中(第2層目の夢の中)」なんですよ。

その「夢の中の夢の中」では、主人公のコブがいきなりトラブルに巻き込まれているんですが、焦っているため口からでる言葉はほぼ専門用語。もちろん、説明なしの専門用語です。

う〜ん。この時点で、もはや僕も何を言っているのかわからなくなってきています。。。
これが、映画がはじまって10分の展開ですから、ほんとに、どれほどの観客がこの展開についていけるんでしょう?
もはや、「編集のみ」で名作になった映画『メメント』を手がけたクリストファー・ノーランの編集力はみじんも感じられませんよ!

ここはせめて、オープニングでは「主人公は夢の中に入って、アイデアを盗む事を生業としている」ことの説明のみに留めておいて、「夢は多重構造を成し、複数の層がある(その先には「虚無」という層がある)」なんてことについては、その後の別の場面で説明すべきだったんじゃないでしょうかね。

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そして、もう一点。

本作のメインの物語となる「最高難度のミッション」のためにいろいろな分野のエキスパートが集められて「最強チーム」が作られるんですが、そのエキスパートたちの中に、「設計士」を担当する女の子が登場します。
最強チームの中では彼女だけが夢の中へ入った経験が無く、映画内で唯一「初めて夢の中へ入る瞬間」を描かれている人物。
そういう意味では、彼女だけは映画を観ている人に一番近い視点を持っていて、彼女こそが本作の世界観への案内人の役割を担うべきだと思うんですよ。
例えば、コブが彼女に「夢の中への入り方」や「夢の中でのルール」を説明すれば、それがそのまま映画を観ている人への説明にもなるわけなんだから。

でも、最初こそ案内人の役割を果たしているかのように見えた彼女も、想像以上のペースで世界を受け入れてしまって。。。
少なくとも僕は「まだ何も理解していない」状態なのに、いつのまにか彼女はベテランの動きをしているんですよ!!

結果、夢の中は「なんでもあり」っぽいのに、コブたちがなんで苦戦しているのかがよくわからないという状態になってしまい、鑑賞中にずっとモヤモヤだけが募ってしまいました。

本音を言えば、「どうやって夢に入るのか?」「あの機械はどういう仕組みなのか?」ってところも説明してほしいけど、そこはまあグッとこらえつつ、せめて「一体夢の中では何ができて、何ができないのか」くらいは整理して見せてくれないと、緊迫感すら持てませんよ!

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とは言え、「じゃあもう少しちゃんと説明されていたら傑作だったのか?」と言うと、、、まあ、そうとも言えなくて。
プロット自体にも、かなりの「粗」が。。。

一言で言ってしまえば、コブを始めとする主人公チームの面々、どいつもこいつも明らかにプロ意識が低い!!

これもまた映画全体のわかりにくさの原因の一つなんですが、この映画って「計画通りに進んだ計画」っていうものが、映画内で一つもないんですよ。
もちろん、「全て計画通り!」で進行するのも映画としては面白くなくて、「トラブルを乗り越えていく緊迫のシーン」が面白さを生むんでしょうが、せめて一回は成功例を観ておかないと、「最高難度ミッション」の大変さもよくわからないし、そもそもコブたちが何をしているのかもよくわかりません。

ともかく、夢の第1層の時点でいきなり「敵から襲われる」というトラブルが発生。
しかも、このトラブルが、一つ前のミッションとまったく同じトラブルってところで、「前回の反省をまったく活かせていない」わけです。
(この「敵から襲われる」について、「ロバートは訓練されていた!潜在意識が生み出した自己防衛本能だ!」という説明のみってのも、まあ、よくわからないんですけどね!)

襲撃を受けながらも気にせず車の中で眠り第2層へ向かうも、第1層の車の揺れの影響を受け第2層は無重力化(?)。
「爆弾の爆発によるキック(夢から目覚める方法)」の予定だったんだけど、無重力ではうまくいかないので、爆弾設置作業は全部やり直し、という具合にトラブルが続きます。

ちなみに、そもそものトラブルの発端は、第1層で撃たれてしまったサイトーが「このまま夢の中で死んだら、現実世界の昏睡状態の肉体は目覚めず『虚無(夢の最下層)』へ落ちてしまうので、それだけは避けなければいけない!」というところにあったはず。
なのに、最後はロブたち4人は自分の意志で普通に『虚無』へ行き、銃による自殺であっさりと現実に戻れてしまって。
あんなに焦っていたはずの数々のトラブルが、実はそんなに大事じゃなかったという展開もどうかと思いますけどね!!

まあまあまあ。

それでも、これは許容範囲内。
最大の問題は、主人公コブが誰よりも「プロ意識」を持っていないってとこなんですよ。

コブの精神状態が原因のトラブルがやたらと多いし、自分の目的のために他のメンバーの都合はガン無視。
最後、サイトーを助けるために虚無に残ったことも、「仲間を助けるため」ではなく、「自分の犯罪歴をちゃんと消してもらうため」にしか見えないし。
それ以前に、コブが“嫁さん”を連れてこなければ、虚無に行く必要すらなかったというのが、もう、どうしようもありません。

この男、どう見ても、この仕事をしたらダメな人なんじゃないですかね!

そんなわけで、「チームによるミッション」を扱う映画としては、本作『インセプション』のチームは非常に出来が悪く、「チームモノ映画」としてもどうしようもない映画でした。

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さて、散々文句ばかりを書いてきた『インセプション』ですが、本作の良い所を探すとしたら、やはり一番は映像美でしょう。

これほどまでにCGの技術が進歩した現在において、「実写」にこだわった画作りをしている意味を感じさせるような「実写の重み」を感じられるのは、文句なしにステキ!
CGを使うことが安易な制作方法というわけではないけれど、今でもなお「実写」だからこそ生み出せる映像表現があるというところに、一見の価値があります。

まあ、その「映像」へのこだわりのせいか、「映像的には美しいけど、ストーリー上は必要ない」と思えるシーンも少なくなく、これもまた本作の特徴だったりするんですけどね。
まったく!ストーリー上必要なはずの「説明シーン」を優先してくれよ!

また、個人的に本作の終わり方は大好き。
コブは常に「コマ」を持ち歩いていて、たまにそれを回して「今いる場所が“現実”なのか“夢の中”なのか」を判断していました。(現実だと「コマ」はしばらく回転すると止まってしまうけど、夢の中だと「コマ」の回転は止まらないからね。何でかって?知らないよ!)

ただ、最後に家族との再会を果たしたコブがいつものように「コマ」を回して、それが「止まるのか回り続けるのかわからないところ」で映画は終わってしまって。
これはつまり、コブが手にした幸せが「現実なのか夢なのか」に含みを持たせた終わり方ってことなんだけど、このシーンのいいところは、コブが「コマ」を見ないってところ。

これはつまり、「今いる場所が夢か現実か」を常に気にしていたコブが、ずっと追いかけていた幸せにたどり着いた時「これが夢でも現実でもいいや。」と思ったってことを、言葉を一切使わずに表現しているシーンなわけです。

「夢」にとらわれたろくでなしにすら見えたコブが「幸せ」を前に見せたこの行動が、ものすごく印象的なエンディングで。
散々文句を言いながらも、このエンディングは素直にグッときてしまいました。

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というわけで、とにかく「気になるところ」「ツッコミどころ」が多い映画で、長々と感想を書いた末に「映像美」と「最後の1カット」くらいしか褒めるところが無かった本作『インセプション』。
それでも、何故だか不思議と「面白くない」とは思えない作品でもありまして。
結局のところ、冒頭で抱いた印象と同じく、面白いか否かも含めて「よくわからない作品」だったという感じです。

一言、はっきりと言えるのは、「この作品を仲間うちで見て、その後酒を飲めば、それはおいしいお酒になるだろう。そして、一晩くらいなら余裕で語り明かせるだろう」ということ。
映画そのものというより、その余韻(映画を見たことでインセプションされた“何か”)を楽しむことのできる作品なんでしょう。

そして、この余韻(イインセプションされた“何か”)を楽しませるために、あえて作中での説明を排除したのなら、それは監督の思惑通りで、僕は、すっかりハマってしまった奴の一人なのかもしれないという事実に、さらなる困惑を避けられないのでした。

長々と感想を書いて、オチが「よくわからない映画だった」な上、文章が非常に読みにくかったことと思いますが、それほどまでによくわからない映画だったというわけで、、、いや〜、ごめんなさいね!

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