映画『テッド』ネタバレ感想ーあえて言おう!『テルマエ・ロマエ』みたいだったと!ー

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先月くらいからやたらとCMを目にしたせいか、かなり気になっていた映画『テッド』を見てきました。
一見かわいいクマのぬいぐるむテッドが下ネタ連発で下品な言動を繰り返す様子に大爆笑!それでいて最後には感動で涙が止まりませんでした!、、、みたいな感想を書く準備はしていたんですが…。

現実は、小笑いの繰り返しと、「うん、まあ、そうなるよね。。」的なベタベタの泣かせ演出の映画で。
決してつまらないわけではないし、嫌いな映画ではないんだけど、期待を大幅に下回っていたという感じでしょうか。
設定やプロットが『宇宙人ポール』とかなりかぶっているうえに、『宇宙人ポール』に何一つ勝てていないところも、「期待はずれ」と感じてしまう原因かもしれません。

「おもしろいといえばおもしろいけど、爆笑することはない」「感動するといえばするけれど、泣くほどでもない」。

そんな風に、映画に対して「熱量の低い感想」しか持てなかったわけですが、この感覚ってどこかで経験したことあるな~と思ったら、、、
あれですね。『テルマエ・ロマエ』を見たときの感覚に酷似してますね!

どさくさにまぎれて『テルマエ・ロマエ』までdisってしまいましたが、「期待をしていなかった映画での小笑い」だった『テルマエ・ロマエ』に対し、『テッド』は「結構期待していた映画での小笑い」なわけで。
そういう意味では『テルマエ』の方がまだマシで。なんかもう、ほんとにがっかりしちゃいました。。。

作品概要

2012/アメリカ 上映時間:106分 R15+
原題:Ted
配給:東宝東和
監督:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス

<あらすじ>
いじめられっ子の少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるよう、神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り、2人は親友になる。それから27年が過ぎ、ジョンとテッドはともに30代のおじさんになっていた。一時は「奇跡のテディベア」としてもてはやされたテッドも、幻惑キノコで逮捕されてからは堕落し、下品なジョークと女のことばかり考える日々。そんなある日、ジョンは4年間つきあっている恋人から、自分とテッドのどちらかが大事なのか選択を迫られ……。

感想

52 100点満点 scored by ultimate-ezテッド

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さて、冒頭から散々「がっかり」「期待はずれ」と言ってしまったわけですが、実際のところ、『テッド』という映画自体はそれほど悪い映画ではなかったと思っていたりもします。

むしろ、この映画って見る人が見たら、おそらくスゲーおもしろい映画なんだと思うんですよ。
というのも、『テッド』の笑いって、ある映画やドラマを知ってる人だけで盛り上がる排他的な内輪ノリの笑いで。
言うなれば、「アメトーーク!」型の楽しみ方をするための映画なんですよ。

冒頭で名前を出した『宇宙人ポール』なんかも、そういう意味では同じ種類の「笑い」を使った映画ではあるんですが、あれは『未知との遭遇』や『E.T.』という、かなり有名な映画をネタにしていて。
少なくとも「『宇宙人ポール』を観たいと思う層であれば当然知ってるネタ」でアメトーークをやっているから、笑えるんだと思うんです。

一方の『テッド』では、『フラッシュ・ゴードン』という映画をネタにしているんだけど、、、クイーンの主題歌はさすがに知っているけど、正直言って、映画の方は全然ピンと来ないんですけど・・・。

途中、大きなネタとして、フラッシュ・ゴードンを演じたサム・ジョーンズ本人がカメオ出演するくだりもあるんだけど、元ネタにピンと来てない以上、ここもそんなに盛り上がりきれなくて。
まあ、そもそも「本人をカメオ出演させる」って、既に何度も見たことがあるネタで。しかも、『ゾンビランド』のビル・マーレイなんかと比べると、明らかにスケールダウンしているわけで。
「今更コレで大爆笑はできないなぁ〜」と言わざるをえませんよ!
(ノラ・ジョーンズのカメオ出演、しかもテッドと一回ヤッたことがあるという話はちょっとおもしろかったけど!)

そんなわけで、「自分が知らないネタで盛り上がっているのを横目で見ているようなモヤモヤ感」を味わいつつ、どこかで観たことある「定番の笑い」を見せられているような映画で。
結局、「うんこちんちんおっぱい」の下ネタ部分でしか笑ってなかったような気さえしています。

うーん。なんというか、非常にもったいない!

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ただ、この「もったいなさ」の原因が、映画というよりもマーケティングの方にあるっていうのが、この映画のよろしくないところ。

この映画のターゲットは「『フラッシュ・ゴードン』を知っている人」であることは明らかなのに、やたらとテレビ広告を打ちまくって「見た目はかわいいクマなのに下品なおっさんキャラ」を前面に出しちゃってて。
それをやっちゃうと映画の情報が本来のターゲット以上のユーザーにまで届いてしまうことは避けられなくて。
その結果、映画の想定ユーザーからは程遠い「僕」みたいな奴が映画館に足を運んじゃうわけですよ。
それでも興行成績的には大成功しているみたいなんで、別に問題はないのかもしれないけど、こういう「ニッチな笑いの映画」を興行成績のためだけに消化してしまうのはどうなんでしょうかね。。

もちろん、この映画の関係者の方々も、本作の広告規模や公開規模が映画のスケールと合致していないことには自覚的っぽくて。
『フラッシュ・ゴードン』ネタをはじめとした「アメリカ人向けアメトーーク!」の部分を少しでも理解させようと、字幕にかなり苦労の跡が見えるんですよ。
単純に直訳するだけではなく、「星一徹」「くまモン」「ガチャピン」などの固有名詞を使うことで日本人の感覚でも映画のニュアンスを理解できるように意訳しまくっていて。
確かに、「テディ・ラクスピン」って言われてもポカーンとなるところを、「くまモン」にしておくと、言いたいことはわかりやすくなっているのは事実でしょう。

ただ、そういう「工夫」をやり過ぎたせいか、逆にあざとくも感じられて、「狙いすぎてスベってしまっている」んです。
そして、そういう「狙いすぎたスベり」の積み重ねのせいで、「テッドが死んで、ただのぬいぐるみに戻るところ」や、「祈りの力で再びテッドに命が宿るシーン」など、古いアメリカンドラマを思わせるような、“あえて”チープな見せ方をしているシーンまでもがスベってしまっているのが残念。

まあ、字幕の「工夫」が必要だったのは、やはり「過剰な広告」によって本来の想定ユーザー以上の客を呼び込んでしまったせいなわけで。
スベりの原因だって、そもそもはやっぱりマーケティングの失敗にあるんだと思うんですけどね。

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とまあ、散々不満を書いてきたわけですが、僕はこの映画を決して「嫌い」ではなくて。
いろいろ不満はありつつも、これがあったから『テッド』を観てよかった!と思えるポイントってのが2つありました。

1つは、「くまのぬいぐるみ」というテッドのルックスがもつ破壊力。

「テッドが一人暮らしをはじめ、引越しを手伝ったジョンを見送る時」「テッドが開いたパーティーが原因で、ジョンが恋人と破局してしまい、テッドに怒りをぶつけた時」「ジョンに「お前よりくまモンのほうがいい!」という暴言を言われた時」。
そこで見せる<愛玩のためだけにつくられた「くまのぬいぐるみ」が、悲しそうな顔で佇む>という画がもつ“ほっとけなさ”
この、“ほっとけなさ”の破壊力がやばい!
もはや前後の文脈すら関係なく、その「見た目」だけで気持ちが惹きこまれてしまいます。

僕は『トイストーリー3』という映画が生涯ベスト映画だと思っているんですが、あの映画に出てくるロッツォというくまのぬいぐるみは真性のクズ野郎。
でも、回想シーンの中でロッツォが“悲しそうな顔で佇む”シーンがあるんですよ。
その後のロッツォの行動はやっぱり最悪なんだけど、そのシーンがあるせいで、どうしてもロッツォを心から憎みきれなくて。
これはもう、人間の本能に直接訴えているってことなんですかね?

本作『テッド』でも、「くまのぬいぐるみが悲しそうな顔で佇む」ことの破壊力が効果的に使われていて。
これは「うまい」というより「ズルい」のかもしれないけれど、条件反射的に心を鷲掴まれてしましました!

そして、もう一つのポイントは、ジョンとテッドとロニー(ジョンの彼女)という3人の関係性。

ジョンを演じてるのがマーク・ウォールバーグってところが重要なんですが、この3人の関係性が映画『ザ・ファイター』に酷似しているんですよ。
“弟の弟による弟のための映画”である『ザ・ファイター』は、男3人兄弟の末っ子の僕にとっては愛すべき映画の一つ。
そして、マーク・ウォールバーグの周囲に「姉御肌の彼女」と、「ロクデナシの身内」がいるという本作の構図は、まさにマーク・ウォールバーグの周りにエイミー・アダムスとクリスチャン・ベールがいた『ザ・ファイター』そのもの。

本作『テッド』とは全然関係ないんですが、『ザ・ファイター』のあの幸せな空気感を思い出してしまったせいか、本作にもやはり「幸せ」を感じてしまいました。
いやぁ、やっぱりマーク・ウォールバーグはいい面するな~。

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というわけで、決して悪くはない映画ながら、日本における広告規模が明らかに映画のスケールを越えていて、「期待はずれ」と思わずにはいられなかった本作。
もう少し小さな公開規模で知られざる名作として公開されていれば、もしくはDVDで鑑賞していたら、もっと好印象をもてたのかもしれません。
これが、本当にもったいなかった。

ただ、そういう外部要因だけが問題なのではなく、本作そのものにもやっぱり問題はあるんですよ。

中盤、テッドとジョンが本気のケンカを始めるシーンで、それまでのBGMが消えて環境音が強調されはじめ、カメラワークも揺れ出し、被写体との距離も近づいて、「お!何かが起こるのか!」と思わせる緊迫の瞬間があって。
あのタイミングで、もう一展開の“何か”があれば、映画全体の印象もガラリと変わったのかもしれないけれど、ここも結局はありがちな展開に戻ってしまうのは残念としかいいようがありません。

結局、どういう見方をしても「もったいない!」「おしい!」映画なのは間違いなく。
かといって、「嫌い」でも、「最低な映画」というわけでもなく。
いいとこもあれば悪いとこもある、ただただ普通の映画で。

そんなこんなで、冒頭に書いたことの繰り返しになりますが、『テルマエ・ロマエ』みたいな映画だな~という、ぬるま湯のような感想を持つことしかできないのでした。

(ま、世界一セクシーな女優ミラ・クニスのお姿にグッと来たので、それで満足している自分もいるんですけどね。)

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