脚本がウンコでも、編集がうまけりゃ映画はそこそこ面白い!! 映画『崖っぷちの男』ネタバレ感想

Poster高所恐怖症の人にとっては、ポスターの時点ですでに超タマヒュン(a.k.a.チンサム)画像。
その画像のインパクトから前情報なしでレンタルしてしまった本作。

高層ビルの窓のふちに立っている男の姿から、『リミット』や『フォーン・ブース』といったシチュエーションスリラーを想像していたんだけど、しっかりと「どんでん返し」のあるミステリーだったところにまずはびっくり。
まあ、ミステリーとしての脚本はかなり大味で、「突っ込みどころ」も満載のヒドいものだったりもするんですが、小出しにされる「謎」の散りばめ方が非常に巧く、終盤までひきつけられる映画ではありました。

「脚本がウンコでも、編集がうまけりゃ、映画はそこそこ面白い!」
そんなことに気づかされる映画だったという感じです。

作品概要

2012/アメリカ 上映時間:102分 G
原題:Man on a Ledge
配給:ディズニー
監督:アスガー・レス
出演:サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、ジェイミー・ベル

<あらすじ>
30億円のダイヤモンドを強奪した罪で収監された元刑事のニックが脱獄。ニューヨーク・ルーズベルトホテル高層階から身を乗り出し飛び降りようとする。制止しようと説得する警察に対しニックは、最近の任務に失敗して後がない女性刑事リディアを唯一の交渉役として指名するが……。

感想

55 100点満点 scored by ultimate-ez崖っぷちの男

というわけで、かなりずさんな脚本の映画ながらも、編集での見せ方がうまくて、結果的にはなかなか満足できる映画だったのが、本作『崖っぷちの男』。

ただ、ツッコミどころは本当に多かった!

例えば、主人公ニック・キャシディは、「警備中に“ある宝石”を盗み、細かい欠片に砕いて売りさばいた」罪で収監された元警官なんだけど、こんな人が本当にいたら警察の中では超有名人に決まってるわけで。
ビルの窓から外に出て飛び降りようとしているニックを阻止すべく、大勢の警官がビルを囲み、部屋の中からも交渉人が説得を続けるんだけど、あれだけ大量の警官たちの中で誰ひとりとしてニックの正体に気づかないっていうのはさすがにありえないでしょ。
しかも、警官隊の中の一人ダンテ(タイタス・ウェリヴァー)は、ニックを嵌めた一味の一員なわけで。
確かにダンテが直接ニックの顔を見ることがないように編集されてはいたものの、こんなに誰も気づかないもんかね!

その後、ニックが盗んだとされる宝石の持ち主であるデヴィッド(宝石商にして不動産王。クソ野郎。)が登場。
実は、ダイヤを盗まれたことにして手に入れた保険金4000万ドルで、リーマン・ショックによる破産の危機を免れていたことが判明する。
つまり、ニックは無実で、嵌められていただけなんですよ。
ニックは以前、警察仲間のウォーカーが麻薬密売に手を付けていたことを内部告発したんだけど、そのことでウォーカーと交流のあったデヴィッド一味に目を付けられ、「濡れ衣」役に選ばれてしまったというわけだ。
結果25年の禁固刑をくらってしまうニックだったが、父親の葬儀のため一時的に刑務所から出ることを許された隙をみて逃亡⇛本作のメインストーリーである「飛び降り騒ぎ」へとつながっていく。

さらに物語が進むと、ニックの飛び降り騒ぎが「陽動作戦」であることが明らかになる。

ニックの騒動の影で、ニックの弟ジョーイと、その彼女のアンジーでデヴィッド所有のビルに侵入。
「ニックが盗んだとされる宝石を今度は本当に盗み出し、ニックの無実を証明する」というのが真の目的だった。

、、、というのが本作のざっくりとしたあらすじです。

ただ、そもそも「警備中に“ある宝石”を盗み、細かい欠片に砕いて売りさばいた」っていうのは、事実として起こっていない出来事なわけで。
さすがにこの事実を証明することなく逮捕、しかも禁固25年の判決なんて出せるもんなんでしょうか?
警察の中にもデヴィッドの共犯者がいたことに加え、デヴィッドがかなりの権力者だってことで「冤罪」を作り出すことができるのかもしれないけれど、そういった描写はまったくないですからね。

さすがにアメリカの法律って、ここまでユルユルじゃないでしょ!!

1 large

さらにツッコミは続きます。

ジョーイたちが宝石を盗み出すシーンはかなり緊迫感があり、様々なトラブルに遭遇しつつも、それを乗り越えていきついには宝石を手にする流れはなかなか手に汗握るものがあります。
ただ、そもそもいくつかの「トラブル」が無ければ、ジョーイたちは宝石手に入れられてないんですよ。

ビルの異変に気づいたデヴィッドが部下に金庫の確認をさせなければ、「金庫室のキーコード」を知ることもできなかったわけだし、「宝石」を保管していた<真の金庫>を確認したデヴィッドが、“何故か”宝石をポケットにしまうことがなければ、最終的に「宝石」を手に入れることはできなかったわけで。
ニックは2年間ずっと刑務所にいて、綿密な打ち合わせができなかったのかもしれませんが、どんだけ「偶然」にたよった計画なんだい!!

さらにもう一つ。

あらすじの中でも書いたように、ニックが一時的に刑務所を出られたのは父親の葬式に出席するため。
だけど、無実を証明してエンディングを迎えたところで、実はいままでいろいろ助けてくれていた「ホテルの客室係のおっさん」が親父だったことが判明するんですよ!

ん~?
まあ、これはこれでハッピーなエンディングではあるんですけど、、、さすがに「お父さんの死(嘘)」&「葬式(ごっこ)」で一時釈放が許されるほど世の中は甘くないんじゃないかな!!

そして、エンディングの中で最後のツッコミどころ。
エンディングの一連の中で、ジョーイがアンジーに「指輪」を渡してプロポーズする展開があって。
その指輪が明らかにデヴィッドの金庫から盗んできた指輪で、「おいおい、例の宝石以外盗んじゃダメだろ!やれやれだぜ」という、『グーニーズ』や『天空の城ラピュタ』なんかの「ちゃっかり盗んでたもんね~、ガハ!ガハ!」的なハッピー展開が始まるんだけど、、、
いやまあ、こんなこと言うのも野暮だし、お兄ちゃんの無実を証明するために命がけでがんばったのはわかるけど、、、「屋上を爆破してビルに侵入、警備システムをぶっ壊して宝石を盗む」っていう行為がお咎めなしで済んだりはしないんじゃないか〜!!

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とまあ、こんな感じで。
非常にざっくりした脚本のせいで、終始ツッコミまくりの鑑賞になってしまいました。

ただ、それでも楽しめたのは、「ニックが窓の外に立っている理由」が段階的に判明していくという展開が非常にスリリングなところ。
いろんなところにツッコミを入れつつも、小出しにされる「謎」の真相が気になってしょうがないわけです。

ニックの元相棒マイク・アッカーマンが<「味方と思いきや、敵」と思いきや、味方>という、ファイナルファンタジーⅣのカイン的な動きをするところも、なかなか楽しませてもらいました。

しかも映画の終盤、さすがに全部の「謎」が開示されたあたりで、今度は一気にアクションが加熱。
高層ビルの窓縁をジャンプしていく映像は、かなりのタマヒュン(チンサム)映像!
この映画が3D公開されたのかは知りませんが、これは高所恐怖症の奴はチビりますよ!

さらに、宝石を持って逃げおおせようとするデヴィッドを捕まえるべく、ニックがビルからダイブするシーンもスゴイ!
ここは「ニックが命がけの行動に!」とは思えず、「なんかしらで助かるだろ、さすがに。」としか思えない展開ではあるものの、映像的には超スリリング。
僕は「高所恐怖症」の癖にバンジージャンプ経験者なんですが、あの「周りの景色のディテールが頭の中に飛び込んでくる感じ」「上下の感覚が完全に失われる感じ」は、まさにバンジージャンプの主観映像そのものですよ。

この飛び降りシーンこそが、チンサムでタマヒュンな最高の映像体験でした!

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とういわけで、散々ツッコミを入れながらも、結果的には「チンサム映画」として非常に満足度が高く、「謎」の見せ方もシンプルながら非常にうまかった本作。

例えばこれで、「何かしらの思想をもったメッセージ性」なんかが入ってくると、「お前、こんなウンコな脚本書いといて、よくもまあそんな偉そうなことが言えたな!」と憤ったりもするんでしょうが、この映画は最後までそういうものが無くて。
何かを考えさせられたり、余韻を残すこともなく、ただ瞬間瞬間を楽しむための作品としては、明らかに「これでいい!」

しかも、映画の最中「ツッコミを入れる行為」を楽しんでいたりもするわけで。
そういう意味では、無数の「ツッコミどころ」も、もはやこの映画のエンターテイメント性!!不満点ではないわけですよ!

映画を見終えた今となっては、もはや「サム・ワーシントンは、なんで『ワシントン』じゃなく『ワーシントン』と表記するんだろう」なんていうクソどうでもいいことくらいしか記憶に残ってない映画ではあるんですけどね、、、
まあ、「ウフ〜☆なんか、忘れちゃったけど楽しかったぁ。オッケ~☆」って思える時間ってステキじゃない!

何も考えずに楽しめる映画『崖っぷちの男』。
小難しいことを考えたくないならばオススメの映画なのでした。特に高所恐怖症の方に!

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