「グッと来るシーン」+「最高のキャスト」+「失笑の演出」=「変な映画」。 映画『ハウスメイド』ネタバレ感想

超傑作映画『シークレット・サンシャイン』のチョン・ドヨン主演作ということで手に取った本作『ハウスメイド』。

・・・。
うーん。。。え~っとですねぇ。。。

まあ、外国映画ということで、僕が知らない文化があるのは当然で、そこに「リアリティがない!!」なんてことを言うのは安直なのかもしれないとは思いつつも、「さすがにコレはないわ~」と、失笑を禁じえないシーンが満載で。。。
駄作と切り捨てられない魅力を感じるのも確かなんだけど、まあ、「変な映画」だなぁ、というのが個人的な感想といったところでしょうか。

作品概要

2010/韓国 上映時間:107分 R15+
原題:下女
配給:GAGA
監督:イム・サンス
出演:チョン・ドヨン、イ・ジョンジェ、ソウ、ユン・ヨジョン

<あらすじ>
上流階級の家にメイドとして雇われたウニは、優しい主人のフンと双子を妊娠中の妻、6歳の娘、そして昔から働くメイドのビョンシクに囲まれ、日々を忙しく過ごしていた。ある日、ウニは求められるままにフンと肉体関係を結んでしまうが、それ以降、邸宅で次々と不可解な事件が起こりはじめる。

感想

36 100点満点 scored by ultimate-ezハウスメイド

とういわけで、全体を通しての印象は「変な映画」だった『ハウスメイド』。

それでも、ただの駄作というわけではなく、確かな魅力があるのも事実。
その「魅力」が、異常なほどに濃いキャスト陣によってもたらされているものなのは間違いない。

筆頭はもちろんチョン・ドヨン。
『シークレット・サンシャイン』のとき以上に表情の幅が広く、見る角度によって「純粋無垢な少女」に見えたかと思えば、「疲れきったおばはん」に見えたり。
この演技力はさすがという感じ。
結構グッとくる、生々しいバランスの肉体(おっぱい)も惜しげなくさらしていて、そこにもまた「あざす!!」という気持ちになる。

周りのキャスト陣もすばらしく、先輩メイドのおばちゃんビョンシクを演じたユン・ユジョンや、妊娠中の妻ヘラの母親(すいません。名前がわかりません。。)の存在感はただごとじゃない。
他にも、家の主人フン(イ・ジョンジェ)の権力者っぷりはイケメンじゃないからこそ際立つし、妻ヘラのいかにも整形美人といった顔(そのかわりめっちゃ美人!!)など、それぞれが「完全なハマリ役よりも、ちょっとだけ過剰」というバランスで、各人の演技を見ているだけでも十分に楽しめる作品だった。

ただ、冒頭で書いたように、この映画が「変な映画」になってしまっている原因は、この「ちょっとだけ過剰」なバランスにあったりして。
“言外のなにか”を表情で語り過ぎるもんだから、それぞれが本当は何を考えているのかがいまいちよくわからないんですよ。

そして、それが特に顕著なのがチョン・ドヨンで。

彼女は、「メイドとして入った家の主人に良いように扱われてしまう女」という役どころなんだけど、どうもそういう風に見えなくて。
というのも、無理矢理関係を迫られているはずなんだけど、それに逆らえない「弱い子」とか「アホな子」に見えなくて、チョン・ドヨンに表現力がありすぎるが故に、どうしても「もっと複雑な何かを持っている人」に見えてしまう。
そのせいで、あっけなく堕ちていき、翻弄されていく様子に、「え?そんな単純なヤツだったの??」と、違和感を覚えてしまった。

まあ、この「違和感」なんですが、そもそも脚本自体に問題がある気も。

本作は、1960年代の映画『下女』のリメイク作品で、僕はオリジナル作品を観ていないので何ともいえないし、60年代の当時であれば普通のことだったのかもしれないけれど、ウニにしろ妻のヘラにしろ、その母にしろ、ここまで単純な男尊女卑社会っていうのがどうしても現実として受け入れられないのだ。
だから、ウニが何を思ってフンを受け入れ、最後にああいう行動を取るに至ったのかってところがどうしてもピンとこなくて、なんだか受け入れがたい話になってしまった。

ハウスメイド

他にも、この物語にノレない要素ってのはいろいろとありまして。

最後までウニの唯一の味方として存在していた先輩メイドのビョンシクですが、そもそもウニがとことん追い詰められた原因はビョンシクがヘラのお母さんにウニがフンとの子供を妊娠しちゃったことをチクッたからなわけで。
ビョンシクは何を思ってああいう行動に出たのか、そして何でその後はウニの味方をし続けたのか、そして最後に捨て台詞とともにフンの屋敷を出たのか。
その辺りの行動が支離滅裂にしか見えなくて、正直「ぽか〜〜ん」となってしまった。

また、ウニが最後に行う復讐も、ちょっと甘いんじゃないかな~と思えてしまう。
ただ、このラストの展開の復讐方法自体は、ホントに大好きというか、確かにちょっとだけ心が震えるような展開ではあるんです。
力では対抗できないし、ほとんどのことを「なかったこと」に出来る権力を持ったフンという男。
その男への復讐として、「最愛の娘にトラウマを植え付ける」っていうのが、もうこれしかないってくらいの的確な「復讐」で。
家族全員の目の前で、「リビングのシャンデリアで首吊り+焼身自殺」っていう映像のインパクトが思いのほか凄まじく、ゆる~い展開にちょっとだれていた映画を一気に引き締める強烈なシーンにもなっていた。

ただ、当の娘がさほど深刻なトラウマを抱えたようには見えず、エンディングのシーケンスの中で「両親に対してちょっとだけシニカルな視点を持ちました」程度の変化しかしていないように見えてしまって。
両親は両親で、「やれやれ。参ったね(笑)」くらいのテンションで。
なんだか、命を懸けた復讐の結果がこれか~、とガックリしてしまった。
少年マンガで育ったガキの意見かもしれないですが、「一矢報いることすらできていない」この復讐劇。
もう少しスッキリしたかったもんです。

ハウスメイド2

まあ、それでも、本当はそれこそ些細なこと。
この映画の一番の問題点は、ところどころに「失笑」してしまうポイント、否、深刻なトーンなのに思わず噴出してしまうポイントがあるってことだろう。

フンに初めて迫られたウニが、突然「Oh!コレが欲しかったのよ~!!!」と叫びだしたあたりで、「ん???」と思ったんだけど、そんなのは序の口。
ウニに対して「口で奉仕しろ!」と迫るフンが、いざ奉仕を受けはじめると、『However』を歌うTERU(GRAY)のようなポーズで満足気にアヘ顔を晒すシーンで、ため息交じりの笑いがこみ上げてきて・・・。

そして、一番の衝撃はあのエンディングですよ。

上述のとおり、両親に対してシニカルな視点を持ってしまった娘ナミの誕生日を盛大に祝っている様子が描かれるんだけど、そこで例の整形美女である嫁のヘラが、なぜか妖艶に「Happy Birthday」を歌うシーンが長々と続くんですよ。
野外、しかも家族の誕生日なのに、マイクスタンドをねっとりと掴んで、完全にケネディ大統領の誕生日を祝うマリリン・モンローになりきったかのような湿り気たっぷりの歌い方で。

えー、このシーンなんですけどね。
娘の視線が妙に冷めてる理由って、ウニの行動なんてまったく関係なく、お母さんの痛すぎる行動に引いてるだけなんじゃないの!!!

ハウスメイド3

というわけで、ウニが自殺するシーンのインパクトと、キャストの濃い面子を堪能できるという意味で「最悪」とまでは言わないものの、数々の「謎」としか思えない要素のせいで、「なんだこれ?」のトンデモ映画になってしまった感のある本作。
復讐劇であるはずの作品なのに、復讐を受けたはずのフンが最終的に送っている人生が、金持ちで、奥さん美人で、性的な意味で満たされつつ、子どもも順調に生まれて。気に入った女がいたら適当に手を出しても誰からも特には咎められず、「まあ、手を出した女だけはなんか面倒だったけどね!」程度で済んでしまっていて。
男目線から言わせてもらえば、最終的にフンはまあまあ羨ましいという復讐モノとしては最悪な感想を持ってしまう点もどうなんでしょうか。

もっと、「絶対にこんな風にはなりたくない!!」と思わせる、THE復讐劇を展開して欲しかったと思うのでした。
そう、『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』みたいにね!!(まあ、アレはアレで、アレですけど。。。)

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