ありがとう、安心保証のバカ映画!! 映画『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』ネタバレ感想

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら [DVD]こういうことを書くと「ほんとに俺ってクズだな~」と思っちゃうけど、やっぱり“盛大に人が死にまくる映画”って楽しいものでして。
本作も、そんな“盛大に人が死にまくる映画”。
しかも、その「死」が、いい意味でバカバカしく描かれたコメディ作品だ。(ブラック・コメディというよりも、スプラッタ・コメディと言うべきか。)
恐らく「こんな映画を好きなヤツとは友達になれない!」と憤る人もいそうな作品なんだけど、僕にとっては「この映画を好きになれないヤツとは友達になれない!」と思っちゃうくらいに大好きな作品で。
一言で言ってしまえば、この映画『最高!』です。

作品概要

2010/カナダ 上映時間:88分 R15+
原題:Tucker and Dale vs Evil
配給:アース・スターエンターテイメント
監督:イーライ・クレイグ
出演:アラン・テュディック、タイラー・ラビーン、カトリーナ・ボウデン

<あらすじ>
気のいいタッカーとデイルは念願だった別荘を手に入れ、休暇を過ごしにやってくるが、近くでキャンプをしていた大学生グループから人里離れた山小屋に住む殺人鬼と勘違いされてしまう。さらに、2人が川で溺れかけていた女子大生を助けたことが誤解を生み、血まみれの死人が続出する事態へと陥っていく。

感想

84 100点満点 scored by ultimate-ezタッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら

本作は、名門私立大学生の男女(要するに“リア充”グループ)が、旅行中に出会った“明らかに怪しげで汚らしい二人組の男=タッカーとデイル”を殺人鬼だと思い込んでしまうことによるすれ違いドタバタ劇を描いたコメディ映画。

そんな二組のすれ違いは、
「人見知り克服のためにあそこの大学生の女に話しかけてみろよ!」
「お、おう。。。やってみるよ」
というノリで声をかけたデイルに対し、
「うわー!!見るからにヤバそうな男が声をかけてきた!しかも手には“鎌”を持ってる!殺される!!!」
と大学生グループがガチビビリで逃げ出すところから始まる。

デイルに対しては「なんでお前は、声をかける時にわざわざ“鎌”を手にしたんだ?」、大学生たちには「なんでそんなにもMAXテンションでビビってるんだ?」とツッコみたくなるんだけど、その“ズレ”が最高におかしい。

なんとかその場は流れて数時間後。
タッカーとデイルが別荘(と言っても格安で購入したボロッボロのあばら屋)の近くの湖で釣りをしていると、2人に気付かない大学生グループがやってきてノリノリで半裸で水泳を始める。(どうでもいいけど、欧米の映画の大学生たちは、いつもこういうちょっとエッチな遊びをしてるなぁ!あー、うらやましい!!)
その後は、「水着に着替えているアリソン(ちなみに、超かわいい)を覗き見るタッカーとそれを諌めるデイル」→「2人の声に気付いたアリソンが驚いて湖に転落」→「気を失って浮上してこないアリソンをデイルが救出」→「それを見た残りの大学生たちが「アリソンが殺人鬼に捕まった!!」とパニック」→「「仲間が溺れたのに助けに来ないなんて薄情な奴らだ。とりあえず別荘で介抱しよう」とアリソンを連れ帰るタッカーとデイル」→「それを見た大学生たちが「アリソンがさらわれた!」「きっと食われるんだ!」と大騒ぎ」
・・・という感じで、登場人物がことごとくバカなことに起因する勘違いが数珠つなぎに連鎖して、タッカーとデイルは“殺人鬼”としての地位を固めていく。

日が明けて、「アリソンを助けなきゃ!」とタッカーとデイルの別荘への潜入を試みる大学生たち。
一方その頃、デイルはアリソンの介抱、タッカーは別荘の修繕をしているんだけど、やっぱりそこにはバカな勘違いの連鎖が。
「タッカーがチェーンソーで裏庭の木を切っていると、誤って“ハチの巣”を切断」→「ハチの群れから逃げるためにチェーンソーを持ったまま逃走」→「それを見た大学生たちは「うわー!殺人鬼がチェーンソー振り回して追いかけてきたぁぁ!!!」とまたもや逃走」と展開するのだ。

しかも、逃走中に大学生グループの1人が、森に転がっていた丸太に激突。そのまま丸太に突き刺さって死亡してしまう。
(『ファイナル・デスティネーション』シリーズをも凌ぐほどに、人体が脆い!)

もちろん、大学生たちはコレを「あの二人組の殺人鬼に殺された!」と考えてしまうわけで、やられたらやり返せ!とばかりに再度タッカーとデイルの別荘へ向かって行く。今度は明確な「殺意」を持って。

ちなみにその頃、アリソンはデイルと和解して仲良く庭仕事をしているんだけど、その様子を見て「見ろ!自分の墓を掘らされてるぜ。。。」と解釈する大学生たちがステキ!
いやー、このバカども、最高です!

そんなわけで、大学生たちはタッカーとデイルに復讐するために2人の別荘に襲いかかるんだけど、またまた変な偶然が重なって、大学生たちは勝手に自滅していく。

ようやく異常な事態が起こっていることに気がつくタッカーとデイルだが、目の前で勝手に人が死んでいく理由に説明がつかず「こ、、、こいつらはきっと『自殺サークル』なんだ!」という、それはそれで“なんでやねん!”という超解釈。

いや〜、本当に登場人物がバカばっかり。最高です!

T d

その後、大学生たちは通りがかりの保安官に助けを求めるも保安官まで死なせてしまったり、アリソンがグループの仲間に対し「タッカーもデイルもいい人なのよ!」と説得してみるも、「殺人鬼に心を奪われてしまったのね。。。この前心理学の授業で習ったわ!『ストックホルム症候群』ってヤツね!」と全然噛み合わなかったりと、勘違いは晴れないまま。

最後には、大学生グループのリーダー格の男チャドの以外な過去と、今回の事件の関連性が判明するという展開があったり。
暴走するチャドからアリソンを守るために、デイルが男らしく立ち上がったり。
展開はどんどんと加速していくんだけど、終始「バカが大騒ぎする」という軸がずれないまま物語は一気に走り抜ける。

『ストックホルム症候群』ではなく本当に恋が芽生えかかっている様子のアリソンとデイル。
そして、今回の事件で一番の被害者かもしれないにもかかわらず、二人の様子を微笑ましく見守るタッカーという、実に平和的で愛おしくてステキなエンディングを迎えつつ、オープニングのPOV風の映像の意味に気付いて「おぉ!」という驚きも残すという、こういうおバカ映画とは思えないほどキレイでステキにまとまったエンディングだった。

そのエンディングでのデイルのセリフが、また秀逸。
「俺は楽しかったよ。人が亡くなったのは残念だが、それ以外は充実してた。君と過ごせた時間が嬉しかったんだ」
『タッカーとデイル』という作品に対する僕の感想は、まさにこの言葉によって代弁されているんです!
そう!僕はこの映画を見れたことが嬉しかったし、この映画を観ている時間はとても充実していた。

そうだよデイル!俺も楽しかったよ!

というわけで、とにかくいい意味でバカバカしくって、すごく楽しい映画『タッカーとデイル』。

ただ、冒頭でも書いたように、ツッコミどころは満載で、とてもじゃないけど「完璧」とは言いがたい映画であるのも事実。
人の死に様はかなり大味で、「それくらいじゃ人は死なないだろ!」と言いたいシーンも多いし、パニクって拳銃で自分を誤射して死んじゃったヤツに関しては、「お前は、この映画にいらんだろう。。。」と失望感すら覚えてしまう。
チャドの過去についても、「シリアス展開」のつもりかもしれないけど、「あの“過去”があったからチャドはああいうことになった」というのはあまりに乱暴なロジックで、それこそ「差別」とか「偏見」を助長するような話になるんじゃなかろうか。

また、個人的には「タッカーとデイルが実は気の良い奴らだった」ということが判明する演出は、予告編の「アリソンが部屋で目覚めるまでは、あくまで“殺人鬼”と思わせたままにしておいて、パンケーキのくだりで本性を明かす」という演出の方が好みだし、シナリオとして整理されているように思えた。

そういうわけで、「ここはちょっと。。。」と思うシーンも少なくない映画ではあるんだけど、それでも僕がこの映画を大好きな理由は、何度も言うようだけど、「バカ」を貫いてくれたところ。

ちょっと前に『ムカデ人間』っていう映画を見たんだけど、あの映画は決してギャグ展開があるわけじゃないんだけど、少なくとも序盤は“限りなくブラックなユーモア”に溢れた映画で。事実、僕は下世話な気持ちを携えた半笑いの状態であの映画を観ていた。
ところが、映画の後半、その“半笑い”が凍りつくような“嫌~な気持ち”になる展開が待っていて、どうしようもないほどの“後味の悪さ”を味わったものだった。

本作『タッカーとデイル』も、最初からずっとニヤニヤしながら観ていたんだけど、最初の一人が死んだシーン(上述のチェーンソーのくだり)で、『ムカデ人間』のトラウマが蘇ってきちゃいまして。
「ここから、まさかのヘビーな展開が待ってたりするの。。。」という不安に襲われてしまったんですよ。
ただ、その次のシーンで、ドリフの爆発演出か?っていうくらいにベタな「顔中をハチに刺されたタッカー」が画面に出てきて大爆笑。
と同時に、「このままバカ映画であり続けてくれるんだ!」という安心感に、無常の幸せを感じてしまった。

ありがとう、安心保証のバカ映画!!

というわけで、今日もまた長々と書いてしまったけど、文句なしに楽しめる“盛大に人が死にまくる映画”、『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』。
『悪魔のいけにえ』『13日の金曜日』『死霊のはらわた』などのオマージュも満載で、至福のホラー映画なのも間違いない。

最近は『死ぬまでに観たい映画1001本』という本をリファレンスにしている影響で、“文化的価値の高い映画”を観ることが多く、ああいう映画が素晴らしいっていうのはもちろんんあるんだけど。。。

やっぱり好きです、バカ映画!!

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