THIS IS 美学!!映画『ドライヴ』ネタバレ感想

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超かっこよくて、超おしゃれ!
こういう、作品を見ると、素晴らしい映画を観れたことへの感動と同時に「同じ人間に生まれたのに、どうして世の中にはこんなに“センス”がほとばしってるヤツが存在するんだ!チクショー!!」的な嫉妬心で胸が掻きむしられます。
いや、ホントに僕だって欲しかったよ、センス!!

作品概要

2011/アメリカ 上映時間:100分 R15+
原題:Drive
配給:クロックワークス
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン

<あらすじ>
「きみに読む物語」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング主演で、昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。

感想

94 100点満点 scored by ultimate-ezドライヴ

というわけで、強烈なセンスが溢れる、おしゃれでかっこいい映画『ドライヴ』。
ストーリー自体は「愛するものを守るため、男は最後の戦いをしかける。」というありふれたものなんだけど、あらゆるシーンが「普通だったらこういう撮り方、こういう見せ方はしないよな~」という驚きに満ちていて、そこら辺の映画とは“何かが違う”ってことが感覚的にも理解できる作品だった。

なんせ、オープニングからして、“普通じゃない”。
「昼はスタントマン、夜は逃がし屋」という肩書き、『ドライヴ』という作品名、そして予告編の見せ方。
そこから予想されるのは「カーチェイス」がキーになる作品のはず。
でも、そこからして全然予想外なのだ。

本作の主人公は“逃し屋”として淡々と仕事をこなし、いかにも“プロ”な仕草を見せる。
強盗犯を“5分間だけ”待つという姿勢もプロっぽい。
ギリギリ間に合った強盗犯を乗せ、車を発進させるんだけど、早速自分たちを探していると思しきパトカーを発見。
さあ、ここでアクセル踏んで、フルスロットルのカーチェイスだぜ!!!

と、思うじゃないですか?
それを、あろうことかこの映画では、パトカーを発見したタイミングで、車を止めるんですよ。

「えぇ~?」と思うし、後部座席の犯人たちも「えぇ~?」っていう顔をしているんですけど、確かに、ここはアクセル全開でパトカーとカーチェイスを繰り広げるよりも、身を潜めてやり過ごした方が確実。そして、どちらが“プロの仕事”か?と考えると、「止まる」方がプロっぽい行動なわけで。
一瞬、「何でやねん!」と思いかけるようなシーンで、普通の映画と”なんか違う”ってところなんけど、ただ奇をてらっただけの演出ではなくて、明らかに理にかなっているっていうのが素晴らしい!

その後、パトカーに発見されてしまうんだけど、その時は、ちゃんとアクセル全開のカーチェイスを展開。それでも、ただひたすら逃げるのではなく、基本は「うまく身を隠す」という逃げ方を徹底していて、どこまでも、「普通の映画」とは違う。

最終的には人混みにまぎれる形でキッチリと仕事をやりきるんだけど、ここにも仕掛けが。
主人公が仕事に出発する前に見ていたテレビを見ているというシーンがあるんだけど、そのテレビ番組の内容こそが、「その日の人混み発生ポイント=強盗犯を安全に逃がせる場所」についての情報収集シーンだったという伏線がばっちりと決まるわけですよ。
実際、オープニングの一連のシーンの中で、「主人公がテレビを見ているシーン」って、ちょっとだけ違和感のあるシーンなんですよ。
主人公って、ぼーっとテレビを見て“暇つぶし”をするようなキャラじゃないよな~という違和感が。

で、やはりというべきか、その違和感がきちっと伏線として機能するってわけです。これは、うまい!

というわけで、映像的に超かっこよくて、超おしゃれなのに加えて、「普通じゃないシーン」に溢れていて、なおかつ「理」にもかなっていて、さらに「伏線」もばっちり決まってる映画ってこと。
そんな強烈なインパクトが、オープニングでの十数分のシーケンスだけでも感じられるって、、、いやー、最高です!!

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さらに、この作品で印象的なのが、間違いなく、あの「エレベーターでのキスシーン」
僕はこれまで何本くらいの映画を見てきたのかわかりませんが、こんな奇妙で不思議な味わいのキスシーンは初めてで、今なお「一体何を見たんだろう?」というなんともいえない後味が残っている。

でも、考えてみればこのシーンも、すごく「理」のあるシーンなんですよ。
というのも、本作のストーリーをあえて安っぽく表現すると「愛する人のために戦う男の話」で、「愛されたいわけじゃない、愛した女を守りたいんだ!」と言っておいて、”人殺し”をする話。
凡作では、女の方も男を愛するようになったりもするんだけど、、、何だかんだ言っても、やってることは「人殺し」ですからね。
愛し愛されていた相手が人殺しとわかった瞬間。それって“世界が一変する”ような出来事だし、“超ドン引き”するのって、すごくまともなリアクションなんじゃないでしょうか。

そして、その“超ドン引き”っていう感覚を、登場人物だけじゃなく、映画を見ている僕たちにまで味あわせるってのが、このシーンの意図なんじゃないかと思うんですよ。
だからこそ、一見するとアンバランスにすら思えるほどの落差をつけたんじゃないかと。

“超ドン引き”を共感できるからこそ、彼女のリアクションに対して「そりゃ、そうなるわね。。」と思うし、それでもなお彼女のために“人殺し”を続ける主人公の姿に、美学とも言うべき気高さを感じるのだ。

そう、突き詰めるとこの映画、“美学”の映画なんですよ。
それを証明しているのが、最終的に主人公の名前は明かされず「THE DRIVER」としか表記されないところ。。
これってまさに、日本人にはおなじみの美学「せめて、お名前だけでも!」「いや、名乗るほどのものじゃございやせん」ってヤツ!!

いや〜、しびれるね。
(ま、好意を持ってた人が目の前であんなことするのを見てしまった彼女は、トラウマ級のショックを受けたことでしょうし、彼女に言わせりゃ「美学じゃねぇよ!!」って感じでしょうけども。。)

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というわけで、映像作品としての表現という意味でも、男として生き方としても、「超かっけー!!!!!」と痺れる作品。
“センス”あふれる監督が、男としての”美学”を突き詰めた作品を撮ると、こんなにもたまらない作品が生まれてしまうのか!!

そして、主演のドライバーを演じたライアン・ゴズリングは、『ブルーバレンタイン』だったり『ラースとその彼女』だったりと、「人生観を変えるほどの“何か”をもった映画」にどんどん主演していて、この人の“仕事選びスキル”が半端ないね~という点も注目なのでした。

それにしても、2012年は映画の当たり年なんじゃないだろうか。
『ヒューゴ』だったり『灼熱の太陽』だったり『ヒミズ』だったり。『プロメテウス』『アベンジャーズ』『ダークナイトライジング』あたりが集約されてるのもスゴイことだし。

本当に、ありがたいかぎりです!!

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